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未曾有さん

大坂という魔界から帰って来た僕の疲労は計り知れなかった。


家に帰った僕は、

無言で晩御飯を食べて

無言でお風呂に入り

無言で歯を磨いて

無言で寝る準備をして

無言で目をつぶった。


「あれ、いつも通りじゃね。疲労関係なくね?」


そんなことは言ってはいけない。ムードというのは大事なのだから。


話は、一行目に戻る。

大坂という魔界から帰って来た僕の疲労は計り知れなかった。

僕の愛する『異世界ミンティア』の主人公も魔族を倒しに行ったときはこんな気持ちだったのかと思い、僕は、一人で優越感に浸っていた。


(そうか、僕は主人公になれたんだな。そして、僕は明日、神代さんに告白する。本当の主人公になるんだ。)


そんな僕の思考の風船は、妹の空の襲来によって叩き割られた。


「うわぁ。びっくりした。空、入るならノックぐらいしろよ。」

「う、うーん。んー?う、うーん」


なんか空の様子がおかしいような。

疲労で睡眠欲しかない僕の頭でこの状況を必死に推理する。


「空は、僕よりも早くに寝ていた...そして、さっき空は一階に降りていく音を僕は聞いた。

おそらく、トイレか冷蔵庫に行ったのかな。そして二階に上がってきて、僕の部屋に来た。

そして、このいつもとはおかしい様子...

まさか...こいつ...寝ぼけているのか!!」


途端に僕の眠気は覚めた。どうしてって?僕は知っているんだ。

こいつは寝ぼけたら、訳の分からない行動をよくとるんだ。

つまり、空は今、未曾有の化け物なんだ。


未曾有の化け物(通称:未曾有さん)の襲来に動揺している僕を気にせずに、この未曾有さんは部屋の中をぐるぐると回っている。

ふらふらしながら、部屋の中をぐるぐるぐるぐるぐるこさ...おっとこれは関係がない。


部屋の中を徘徊し続ける未曾有さんを見て、僕は気付いた。

「あれ、今日は被害がない日かもしれない。いつもなら蹴りとかくらわされたり、ドアの前で座禅をしているのに...」


「よし!無視して寝よう!」

部屋の電気を消して、僕は眠りについた。僕は疲れているんだ。部屋の中で幽霊だろうが何だろうが動き回っても寝れる自信がある。そして、僕は眠りについた。


ふと僕は目を覚ました。

(ん?何か布団の中があったかい。そして窮屈だ。動きにくいぞ。まさか金縛りにあったのか?まさか、未曾有さんがぐるぐる回っていたのが降霊の儀式だったのか。)


まさかの被害である。未曾有さんは降霊術まで覚えてしまったのだ。

(とりあえず、体を動かさないと...くそ、体が思うように動かない。でも、ちょっとずつだけど、動いている気がする。とりあえず、電気をつけないと。)


数十分の格闘の末に僕は電気をつけることに成功した。

(さぁ、幽霊め正体を拝んでやるぜ!)

意気込んだ僕は、勢いよく首を幽霊の方に動かした。

その時に、気づくべきだったんだ。どうして、金縛りにあっているのに首が動いたのかについて...


振り向いた僕は、幽霊を見て、嫌、僕の横で僕に抱き着きながら寝ている空を見て、正真正銘の金縛りにあった。


(ん?    ん??   空?。  空だ?。  空ぁぁぁあ!!)


驚いたといっても僕の金縛りは簡単には解けないみたいだ。それに、空の抱き着きが強すぎて、なかなか身動きが取れない。

「これは、もうあきらめて寝るしかないのか。」

「いや、この状態で朝になってみろ。絶対に空は怒る。間違いない。それだけは避けねば。」


時刻は2時、長い長い戦いが始まりそうだった。


神代さんが来るまで残り9時間...


不定期の更新ですが、なるべく早く更新しますので、よろしくお願いします。

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