SCANDAL
え!?なんでいるんだ?
ということは神代さんのよこにいるやつが,あの噂のよしきなのか!!
え,どうしよう。
正直,イベントどころじゃないんだけど...めっちゃあの2人気になる。
「お待たせ!!今日の司会を担当する。葉賀生井廻だ!!もうこれ以上待てないベイビーちゃんばっかりみたいだし,これより『異世界ミンティア』の重大イベントの一つ目を発表するぜ。」
\うぉぉぉ!!待たせやがってよぉぉぉ!!もうまてねえぜぇ!!フォォォォォオ/
上がっていく会場のボルテージ,
しかし僕のテンションは下がるどころか訳の分からない方向に上がっていた。
「あの2人が気になる...けど...僕はイベントが見たい。そして,会場は盛り上がっている...乗るしかない!!このビッグウェーブに!!」
僕は誓った。あの陽キャ2人よりもテンションぶち上げてやると...
どうしてこうなった。
「それじゃ,会場のみんな,カウントダウンだ!!いくぞー!」
「\5 4! 3!! 2!!! 1!!!! 0!!!!!/」
「フォォォォォオ!!なんの発表なんだろう!!!」
「いくぜ!!まず1つ目の発表だ!!一つ目は,コミカライズ化だ!!!!!」
「\ええええええええええええ!!!!!!!!!!/」
やばい,僕は歴史の生き証人になりそうだ。
まさか,『異世界ミンティア』が漫画化するなんて,え,凄い。
二つ目,二つ目の発表は何だろう。(ワクワク)
「うぉぉぉぉぉ!!!次の発表をくれぇぇぇぇい!!」
\ワーワーワー/
「おっとっと,そろそろ次の発表をしないと俺の頭が吹っ飛んじまいそうだ。でも,その前にみんな悪いニュースといいニュースどっちを聞きたい?」
\いいニュースにきまってんだろうがぁぁぁ!!/
「わかった。わかった。そんなみんな大きな声で言わないでくれ。頭がおかしくなっちまいそうだ。ちなみに悪いニュースなんてない。これでいいだろ?」
なんだこの司会。
だんだんテンションがあがったのか,おかしくなってないか?
それになんで,こいつちょいちょい言い回しが洋画にありがちなことばっかりなんだ。
「気を取り直して,2つ目の発表にいくぜぇ!!」
\うぉぉぉぉぉ!!!2つ目は,なんだ!!楽しみが止まんないぜぇぇ!!/
「2つ目の発表は...『異世界ミンティア』がゲーム化だぁぁ!!!」
「えええええええええ!!ゲーム化!!そんなことがあっていいのか。」
「みんなびっくりしているみたいだな。アプリで,みんなの持っているスマートフォンで,『異世界ミンティア』が遊べるぞ!!」
\やべえええええ!!ウー婆ちゃんにあいてぇぇぇよ!!ウー婆ちゃーーん!!/
みんなウー婆ちゃん好きすぎるだろ。
もっといるだろキャラクターは,∞とか,タクヤとか,
なんだか今は好きなキャラを呼ぶ時間みたいだ。
勿論,僕はこのキャラクターだ。
「ウー婆ちゃーーーーーん!!!!!」
「じゃあ,これで最後の発表だ!!耳の穴をかっぽじって聞いてくれよ!!」
\うぉぉぉぉぉお!!まだ発表があるのかよぉぉ!!はやくくれぇぇい!/
もうコミカライズにゲーム化にお腹いっぱいだ。
これを超えるような発表があるのか。
「3つ目の発表は俺もびっくりだ。俺だって信じられないさ。」
\うぉぉぉぉお!!絶対にやばい発表じゃねぇかぁぁ!!はやくいええええ!!/
「3つ目の発表は......『異世界ミンティア』アニメ化だぁぁぁ!!!」
「\あぴゃああああああああああああ!!!!!!!!!/」
「WHAT??いま,アニメ化って?うそ?マジ?」
会場が生き物のように震えているのが分かる。
ぐ,すごい気だ...
「まだ落ち着くのは早いぜ!アニメ開始は来年の春で主題歌を担当するのは,アンダーバーワールドだ!」
アンダーバーワールド!!
とっても有名なバンドじゃないか!
あんな熱血バンドが『異世界ミンティア』の主題歌を担当するなんて,とんでもなくいい作品になりそうな予感がする。
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もうその後のことは,あまり記憶にない。
ただ終わった後の僕の服装を見ると,汗でびしょびしょになっていた。
おまけに,涙か汗か分からないが,顔もびしょびしょになっていた。
僕はどれだけぼーっとしていたんだろうか。
もう時刻は20時になっていたし,会場には僕以外誰もいなくなっていた。
「いや,流石に怖いわ。帰ろう。」
それにしても,漫画化・ゲーム化・アニメ化なんて,お腹いっぱいな発表だ。
本当にサイコーだな。もはやスキャンダルと言ってもおかしくないぐらいだ。
それもこれも,あの小桜桃さんのおかげだ。足向けて寝れないよ。家,知らないけど...
それになんだか,のどが渇いたし,少し近くの公園でジュース飲もうかな。
会場から近くの公園は,だいたい3分ぐらいの場所にある。
そして,何よりも人が少なくて安らぎの場所として,僕の中で有名なんだ。
「そろそろ,公園だ。なんか誰かいるな?2人いるぞ。めずらしいな。」
暗い公園ではだれかはよく見えなかった。
しかし,2人のうちの1人がものすごい勢いで,僕の方に走ってくるのが分かった。
「ひぃぃぃ。怖い。」
怖くなってどうしようもなくなった僕は少しだけ目を背けた。
しかし,走ってくる人は僕の横を通り過ぎていった。
「あの女の人...泣いていた。もしかして...」
僕の中に一つの疑問の種がまかれた。。
次の日,僕はその疑問の種に水をあげながら,登校した。
登校してすぐに僕の疑問の種はすぐに確信へと開花した。
「ねぇ,知ってる?2年生の神代さんって,サッカー部のよしきにふられたらしいよ。」
「え,本当?あの女,よしきにべたべたして気持ち悪いんだよね。最高の気分。」
「なぁ,知ってるか?神代さん。よしき先輩に振られたらしいぞ。」
「え,マジかよ。やっと俺にもチャンス到来か?」
「それにひどい振られ方らしいぞ。」
「え,よしき先輩プレーはすげぇけど,ちょっと見損なったわ。」
「神代さん振られたらしいよ」「神代さん振られたらしいよ」
「ねぇ,知ってる?」「知ってる?」「知ってる?」「振られたらしいよ」
「最高の気分。」「そんな振られ方したのかよ。」「やば」「振られたらしいよ」
学校中に噂が広まるのは,時間の問題だった。
それがマドンナとなるとなおさらだ。
テレビの週刊誌のようにスキャンダルと察知したやつらが悪意なく広める噂。
聞いた人は,また誰かにおもしろおかしく伝えられる。
そして,それはいつのまにか凶器になって,当事者に突き刺さる。
そんなスキャンダルは陰キャの僕の耳に入るのもあっという間だった。
「おい!ベイブ知ってるか?神代さん振られたらしいぞ!!」
僕の心の中には神代さんを心配と思う反面、
こうなることを願っていた自分がいた。




