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最弱スキル紙装甲のせいで仲間からも村からも追放された、が、それは誤字っ子女神のせいだった!~誤字を正して最強へと駆け上がる~  作者: 空地 大乃
第五章 冒険者編~はじまりの章~

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第87話 サーチスと遺跡を探す

 馬車に乗ってサーチスの言っていた荒野を俺たちは目指すことにした。シルバークラウンを出てから南南西の荒野に向かうわけだが、途中の山脈を抜ける必要がある。


「距離はそれなりにあるでゴブりますな。途中で一度シルベスタも休ませる必要があるでゴブります」

 

 地図を確認したながら御者台のジェゴブが言った。こういったルートを割り出したり休憩場所を示してくれたり本当にジェゴブは気が利く。


「先に鑑定してくれて本当助かったよ。遺跡を探すのもそれなりの日数かかりそうだし」


 俺はサーチスに改めてお礼を述べた。仕事が終わってからだと利息の支払いも間に合わないところだった。


「君たちなら問題ないと判断したからさ。仕事ができない相手にあんな真似はしない」

「だったらその期待には答えないと駄目だな」


 ドヴァンが鼻息を荒くさせた。確かに俺たちの実力を買ってくれたわけだから情けない姿は見せられない。


「あの、この依頼が終わった後ですがギルドに所属してもらうことは出来ませんか?」


 ヘアがサーチスの顔色を窺うようにしながら聞いた。ギルドの今後の事を気にしているんだろうな。何せ今の挑戦者の心臓には専属の鑑定師と解体師がいない。


 今回はサーチスが依頼を受ける条件で鑑定と解体を引き受けてくれたからなんとかなったけど、それも一時しのぎだ。だけどもしサーチスがうちの専属になってくれたらその問題は解決する。


「悪いけど僕にその気はないよ」

「……やっぱり俺たちのギルドの規模が小さいからか?」


「そうではないさ。僕にその気がないだけだ。遺跡を探すために旅をしている身だ。一つの場所に留まるつもりがない以上専属は無理な話だ」


 ドヴァンの問いかけに答えるサーチス。専属になるということはギルドに縛られるというのと同義だ。遺跡を探す上ではそれは好ましくないという事なんだろう。


「こればかりは仕方ないな。サーチスにも譲れない物があるのだから」


 俺としても専属になって欲しいところだけどだからといって無理強いは出来ない。


「人にはそれぞれ事情がゴブりますからな。仕方のないこともあるでゴブりますよ」

 

 御者台からジェゴブの声が聞こえてきた。サーチスの事情を汲み取っての発言だと思う。


「……聞いていいか迷ったが、君は人ではなくゴブリンだよね」


 サーチスがジェゴブに聞く。彼女は鑑定持ちなわけだし力を見極めるために鑑定もしてもらってる。そうである以上、当然ジェゴブの種族に気づいていて当然か。


「はい。私はジェントルゴブリン。元々はダンジョンを寝床にしていたしがないゴブリンでゴブります」


 いやゴブリンとは思えない程礼儀正しくて強かったし、しがないとは言えない気もするけど――


「ふむ。そのジェントルなゴブリンがどうして?」

「そうですな。話せばながくなりますが」


 そしてジェゴブが説明し俺たちもその話に加わった。


「なるほど。元々はダンジョンボスだったわけか。それが指輪になってね。とても興味深い話だったよ」

「楽しんでいただけたなら何よりでゴブります」


 御者台からジェゴブが言った。そんなジェゴブをサーチスが興味深そうに見ていた。


「ジェゴブそろそろ疲れてないか? そうなら無理しないで言えよ。変わるから」


 ドヴァンがジェゴブに聞いた。ドヴァンは仲間思いだからね。


「ありがとうゴブります。では次の休憩場所でお願いするかもでゴブります」

「――君も御者が出来るのかい?」


 二人の会話を聞いていたサーチスが尋ねた。


「あぁ。ジェゴブが仲間に加わるまでは俺がやってたぐらいだからな」


 ドヴァンが質問に答えた。確かにそうだ。ドヴァンは片腕で器用に手綱を操る。


「――種族の差は関係ないということか。面白いね」


 ふとサーチスが僅かに微笑んだ気がした。


「そろそろ山脈に入るのでここで一旦休憩にするでゴブりますか」


 そうこうしているとジェゴブから声が掛かった。なので承諾し馬車を一旦止めて休憩に入る――

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