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最弱スキル紙装甲のせいで仲間からも村からも追放された、が、それは誤字っ子女神のせいだった!~誤字を正して最強へと駆け上がる~  作者: 空地 大乃
第五章 冒険者編~はじまりの章~

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第85話 サーチスからの依頼

 サーチスからの依頼――遺跡探索というのは冒険者として心踊る。だけど問題もある。


このギルドは今はかなり危ない状態だ。三日以内にせめて利息分の五十万オロを用意しないと借金のカタでギルドを取られてしまう。


「冒険者としてサーチスの依頼は受けようと思うんだけど、シルビアはそれでいいかな?」


 俺は念のためシルビアに確認を取ってみた。


「勿論です! ギルドとして依頼は大歓迎ですし、なんだかともてやりがいがありそうな依頼です」

 

 良かった。まぁ断る理由はないと思うんだけどね。


「それなら決まりということでいいんだね?」

「あぁ。ただ一つ、出来れば鑑定と解体を今一つだけでもお願い出来ないかな?」


 依頼に来て間もない相手にこんなことを頼むのは気が引けたが、手持ちの素材は正式な鑑定士と解体士が処理したものでなければ売ることすら出来ない。サーチスならその両方が今できる。

 

 手持ちのレッドライジングだけでもサーチスに作業してもらえればとりあえず利息分はなんとかなるんだ。


 さっきドヴァンが先走ってしまっていたけどその時はそこまで嫌そうに思えなかった。それなら引き受けてくれる可能性はある、そう思ったのだけど、サーチスは僕を見ながら何かを考え始めた。


「……確かに鑑定するのはやぶさかではないといったけど、何をそんなに急いでいるのかな? 何か理由が?」

「あ、いや、それは……」


 サーチスに聞かれて答えあぐねてしまった。依頼をしてくれそうな相手に、実はギルド存続の危機なんだとは言いにくかった。


「……鑑定というスキルを持ってしまったからかな。僕はあまり隠し事されるのは好きじゃないんだ。僕に鑑定と解体を急いで頼む理由が答えられないと言うなら仕方ない。やはり他のギルドに」

「ま、待ってください! 事情は私から話します。今のギルドマスター代理は私ですので」

 

 サーチスの機嫌を損ねてしまってしまったと焦ったが、シルビアが慌ててサーチスに説明してくれた。問題はそれを聞いたサーチスがどう出るかなんだけど……。


「なるほどね。ギルドに借金があって素材を売らなければこの建物ごと奪われると……」

「お、おいまさか考え直したりしないよな? 確かに事情が事情だが仕事はきっちりこなすからよ!」

「そうです! 私たち責任はしっかり持ちますので」


 ドヴァンとヘアがサーチスの考えが変わらないよう説得していた。サーチスは特に何も言っていないが、その目はギルドの様子を確認しているようでもあった。


「……言葉では何とでも言えます。正直言えば今の話を聞いて本当にここに依頼していいのか不安になりました」

「……ッ」


 サーチスの言葉にドヴァンとヘアがショックを受けていた。もしこれで依頼がなくなったら恐らく鑑定と解体をお願いするのも厳しくなるだろう。それだけは避けなきゃいけない。


「……実力には自信がある。言葉で信じられないというならあんたの納得する形で俺たちを試してくれてもかなわない」

「そうでゴブりますな。それが一番手っ取り早いとも思われますがどうでゴブりますか?」


 俺がサーチスにそう話すとジェゴブも説得を試みてくれた。ふむ、と一言発しサーチスが眼鏡を直した。


「わかりました。では、鑑定の許可をください。貴方がたを鑑定して納得の行くステータスであったなら改めて考えましょう」


 サーチスそう答えた。鑑定が条件――勝手に見ないでわざわざ許可を取ってくれるのは好感が持てる。


「それで納得してくれるなら是非お願いしたい!」

「あぁ。俺も問題ないぜ」

「私もです」

「私も右に同じです。ただ先に言っておくと私はゴブリンの一種ですので驚かねないよう」

 

 俺を含めて全員が鑑定を受け入れた。ジェゴブの台詞にはユーモアも感じられた。実際サーチスはちょっと笑ってるように感じたし。ジェゴブのことだからこれも計算なのかもしれない。


「わかりました。それなら鑑定をさせてもらいます」

 

 そういったサーチスの眼鏡が光ったような気がした。どこか射抜くような瞳でサーチスが俺たちを見たわけだけど――


「これは――驚いた。なるほど素直に鑑定を受け入れたわけだ――」


 眼鏡の奥の瞳が見開かれ俺たちのことをそう評してくれた。どうやらとりあえず実力は認めてくれそうだ――

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