第82話 目撃情報!
俺たちはパルパルの情報を頼りにドワーフの鑑定師を探すことにした。とは言えシルバークラウンで暮らす人は多い。
特徴がはっきりしてるとはいえ、そう簡単ではないだろう。
こればっかりは纏まって探していても仕方ないから手分けして、そのドワーフの娘を探すことにした。
それから暫くして――
「どう見つかった?」
「駄目だ。ここは人が多すぎだぜ。この中から探すのは骨が折れる」
「もうしわけありません。私も見つけること叶わず。不甲斐ないでゴブります」
「私も、ごめんなさい」
「いや、それは俺も一緒だから……」
どうやら皆、有力な手がかりを見つけることが出来なかったみたいだ。
「しかし困ったでゴブりますな。時間もあまりありませんし、またそのドワーフがいつまでも町にいるとは限りませんでゴブリます」
確かにジェゴブの言うとおりだ。
「そもそもそのドワーフ何でこの街に来てるんだろうな?」
「それは大きな街ですし、何か用事があってのことでは?」
ドヴァンが疑問を口にした。ヘアが反応を見せるけど確かにそう言われてみれば……。
「たまたま旅の途中で寄ったという可能性もゴブりますが……しかしドワーフは元々他種族とあまり関わり合わないように過ごすことが多い種族でゴブります。ハーフという事ではありましたが何の理由もなく人の多いこの街に訪れたわけではないかもしれません」
つまりその理由がわかれば行き先も掴めるかもしれないわけか――
「おお! 我がライバルではないか! どうしたんだいこんなところで?」
ん? 何か随分とテンションの高い声が割って入ってきた。見ると一人の青年が近づいてきていた。
この人確か――
「確か英雄豪傑の――」
「あぁ。俺がサウザンド・クリティカルだ!」
あ、はい。自分を指差してニカッと笑った。英雄豪傑のギルドでは仕事があるといって出ていってたけど――
「仕事はいいのですか?」
「ははは。それならもう終わった。二千人の盗賊なと害虫退治より簡単だからな」
いやいや十分おかしい! 二千人って、とんでもないなこの人……。
「ところで我が永遠のライバルよ!」
「え? ライバルって俺?」
「そうだ! ビビッときたのだカルタ。お前がこの俺の永遠のライバルになると!」
何か熱く語ってるけど、盗賊二千人を軽く蹴散らすような冒険者、俺なんて相手にならないんじゃ……。
「ところで我がライバルはここで何を?」
サウザンドがそう聞いてきた。う~んサウザンドはこの街で冒険者を続けていたわけだし、ドワーフの女の子とかいたら見ていたりするかもしれない。
可能性は低いかもだけど聞いてみようかな。
「実は俺たち人を探してまして」
「ほう! 人をか!」
「え、えぇ……」
「何か暑苦しいなこいつ」
「ドヴァン話を聞いてくれるのですから」
「も、申し訳ありませんお嬢様!」
ドヴァンがサウザンドにイメージを口にしたけど、ヘアに窘められていた。
本人は気にしてないようだけどね。
「探しているのはドワーフの子で――」
探してる女性の特徴をサウザンドに伝えた。これで何かわかればいいんだけど。
「その、流石に見てませんよね?」
「うむ。見かけたぞ」
「そうですよね。そうそう上手いこと、て、え? 見かけたんですか!」
サウザンドから答えを聞いて驚いた。まさか見たなんて。
「何やら不届きな連中に絡まれていたからな。ぶっ飛ばしておいたのだ!」
親指を立ててニカッと白い歯を見せてきた。いや本当やってることはとんでもないな。」
「それでその方はいまどこに?」
ジェゴブはサウザンドに確認する。確かにそこが一番大事だ。
「うむ! どうやら何か仕事を頼みたいようでな。うちのギルドの場所を教えてやったところだ!」
「え? 英雄豪傑に!?」
「うむ。ちょっと前のことだぞ」
「あ、ありがとうございます! 皆行こう!」
「おうよ!」
「やりましたね」
「聞いてみるものでゴブりますな。本当にありがとうゴブります」
「はっはっは! こんなことで役立てたなら何よりだ。我が永遠のライバルとその仲間よ!」
俺たちはサウザンドにお礼を言って英雄豪傑に向かうことにした。だけど依頼って一体何なのだろう……てかここで英雄豪傑に勧誘されたら、いや仕方ないことだとは思うけど折角のチャンス、何とか活かさないと!




