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幕間3 とある国の物語

ギリギリ0時を過ぎてしまった……。


設定に少し変更があります。

世界名がスキルスキナからナレルスキナに変更。

それにともなって主人公たちの今いる大陸名がスキルスキナとなります。

1話目もそれに合わせて若干修正しております。


いつも応援や感想を頂きありがとうございます!

「全く、色々調べたがさっぱりじゃ。一体なんだこのスキルは?」

「そんなことボクに言われても困るしぃ。ボクだってわからないしぃ」


 本当、突然呼ばれたかと思えばその話? そんなことボクにだってわけがわからないしぃ。


「全くお前はいつもいつも、大体その格好はなんだはしたない」

「爺ちゃんは古いんだしぃ。今は着物(・・)でも、こういう風に自分なりにこーでぃねーとするのが流行りなんだしぃ~」


 花柄の可愛らしい着物を見せつけながらくるくると回転してみせる。古い感性だと、ボクみたいに丈を短くしてると、けしからん! とか、はしたない! とか言い出すんだしぃ~。

 

 こんなに可愛いのにどうしてわからないのかな? ボクの自慢の美脚だってこんなに惜しげもなく披露しているんだしぃ、むしろ感謝して欲しいぐらいだしぃ~。


「え~い、やめんかみっともない! とにかくだ、お前はその何だ、【腐女子】などというスキルをなんとかする必要がある」

「そう言われても、ボクにだってわけがわかんないしぃ~。でも、これがそんなに問題?」

「問題大ありだ! そのスキル名はあまりに不気味過ぎる。噂によるとスキルの中には人に悪影響を及ぼすものもあるらしいからな。その名前からして、屍食鬼に変貌する前触れかもしれん。説明にも腐女子になれるとだけあったようだしな。あまりに不吉。恐らくお前にはもうそれほど残された時間はあるまい」

「孫を脅かして楽しいしぃ?」

「わしとてこのようなことは言いたくないがな。お前にあまりに危機感がないから言わざるを得んのじゃ」


 そう言われても困っちゃうんだしぃ。だってボク、自覚ないしぃ~。


「大体、これってどうにかできる話しぃ?」

「うむ、確かにここブシドスキナはスキルについては他の大陸ほどスキルの情報が多くない。そこでじゃ、お前はこの世界で最もスキルが重要視されているという大陸、スキルスキナに渡るのじゃ」

「渡るって、海をってことだしぃ?」

「そうじゃ」

「え~めんどいしぃ~」

「黙れ黙れ黙らんか! 全くお前は今年で成人を迎えたというのに、やれ綺麗な着物が着たいだ、やれ誰々と誰々のカップリングが最高だや、わけのわからないことばかり言いおって将来のことなど何も考えておらんではないか!」

「そうだ! この際だからお爺ちゃんがボクを養うしぃ。お金いっぱいあるんだしぃ。その代りほら、一杯サービスしてあげるしぃ~」


 チラッと裾を捲ってアピールするしぃ。だけど――


「このこの、愚か者がぁあああぁあああぁああ!」





 結局ボクは逆に爺ちゃんの逆鱗に触れたみたいだしぃ、そのまま村を追い出されちゃったしぃ~。


 全く、こんな可愛い孫が色々とサービスしてあげるって言っているのに冷たいんだしぃ。

 だからって本当に襲われたら流石に困っちゃうけど。


 まぁ路銀は貰ったしぃ。確かにこのままってわけにもいかないだろうしぃ~、やっぱ行くしかないのかなぁ。


 でも、こんな可愛い子に一人旅させて、爺ちゃんも冷たいしぃ~。


 ふぅ、それにしても疲れたしぃ。大体船のあるタテハマまでまだ結構あるんだしぃ~。


 とりあえず出るときにお母さんが作ってくれたおにぎりを食べるしぃ。うん、梅干しすっぱいし~、でも美味しいしぃ~。


 グビグビ、うん、お茶も美味しぃ~。さてと、一休みにはこれも、ぐふっ、欠かせないしぃ~。


 特殊な空間術式が施された忍袋から二冊の絵巻を取り出したしぃ。うん、やっぱりサスケくんとムサシくんのカップリングは最高だしぃ~。


 あぁ! もうこれだけでおにぎり十個はイケちゃうし~! でも困っちゃったことに、これを途中で買っちゃったから実は路銀が底をついちゃったしぃ~テヘペロっ。


 ふぅ、絵巻は堪能したけど、お金どうしよう……大体、そもそも腐女子ってなんだしぃ~? 意味判らないし~。


 ふぅ、まぁいいか。なんか頭の中でキャラ付けするのも疲れちゃった。もう普通にしよ。


 でもやっぱり航行代まで使ったのは失敗だったかな? でも仕方ないよね。だって新作のノブっちとハンゾっちのカップリングものが一杯出てたんだもの。


 武将と忍とか鉄板だし、買わないほうがどうかしてるよ。でもやっぱりセキバハラによっておいて良かったな。


 あそこはボク達みたいな人種の聖地だからね。おまけに他の大陸に渡ったら暫く通えないし。


「おい嬢ちゃん」


 そう考えると、やっぱり面倒だよね。そりゃさ、こんなスキルを授かれば心配になるのも――


「おい! 聞いてんのか!」

「うん? え? 何? ボクにようだしぃ~? もしかしてナンパだしぃ~?」


 振り返ると屈強な男が五人たっていたよ~。なんか腰に刀を差しているし、侍、でもないかな。これは浪人かな?


「へへ、なんだ可愛い面してるじゃねぇか。そうだな、大人しくするなら可愛がってやってもいいぜ?」

「だけどその前に金目のものと、そのなかなか上等そうな着物を脱ぎな」

「下着も一緒に脱いでくれてもいいけどな」

「あぁ、どうせやることやるしな」

「手間が省けるってもんだぜ」

「うん、だが断るしぃ~」

「「「「「は?」」」」」


 全く何かと思ったら浪人でもない追い剥ぎかぁ。こんなのじゃいくら集まっても萌えないよね。むさいのばかりだし。やっぱりイケメンがいないと。


「おい待てよ嬢ちゃん。こっちがおとなしくしてると思ってつけあがっていたら痛い目、え?」


 ボクの肩を掴もうとした腕がヒュルヒュルと回転しながら宙を舞った。

 全く、汚い手でボクの自慢の着物に触ってほしくないんだよね。


「ぎ、ぎゃぁあああぁあ! こ、こいつ、俺の、俺の腕をーーーー!」

「て、てめぇ!」

「やる気か!」

「俺たちは全員、野牛流(やぎゅうりゅう)の使い手だぞ!」


 ふ~ん、攻撃に特化した野牛流か。でもこいつら馬鹿? こんな追剥みたいな真似して流派を名乗るなんて。


 あ、でも、こいつらならもしかして――


「おじさん達本当に野牛流だしぃ~? 牛歩流とかの間違いにしか思えないしぃ~」

「「「「己、貴様愚弄するかぁ! ぶっ殺す!」」」」


 四人が一斉に刀を振り上げた。もう殺す気満々だね。でも――


「なんだ、やっぱ牛歩流だしぃ~」

「「「「え?」」」」


 四人の腕や足が飛んだ。全く本当に遅々だよね。

 まぁでも仕方ないか。ボクってば昔から護身術として爺ちゃんから――


「そういえばいい忘れてたしぃ、ボクこれでも九頭流小太刀術で結構イケイケだしぃ、て、アハッ、もう喋る気力もないよねぇ」


 命まで奪わないけど、それじゃあ刀を持ったりまともに歩くのはキツイかもね。


 でも、襲ってきたのはそっちだし。


「どれどれ? あ、結構持ってたしぃ~これなら使った路銀以上の稼ぎだしぃ。それじゃあ、ありがとうだしぃ~」


 こうしてボクは、連中から逆に頂戴したお金で船に乗ることが出来たんだよねぇ~。


 さてさて、スキルスキナとやらには、何か楽しいことがあるかなぁ~?






◇◆◇


『全くお主は! せっかく我と自由に交信出来るというのに、なぜこうも間を置くのじゃ! 放置か? 放置プレイなのか!?』

「いや、一度連絡したよな? 髪使いのときに」

『あれからどれだけ経っていると思っているのじゃ! 大体今回だって私から合図を送ってようやくであろう!』


 全く、そう言われてもこっちもようもないのに神様にいちいち連絡とれないだろう。


 それにしても、まさか向こうから急に念でスキル使え~と呼びかけてくるとは思わなかった。

 それならもうそれでいいだろと思ったけど、あまり長いメッセージは送れないらしい。規則的な縛りで。


「それで用ってなんですか? 俺も眠いので手早くお願いしたいんですけどね」

『お前、我こう見えて神じゃぞ? 女神なんじゃぞ?』

「えぇ、とんでもない誤字っこのね。そのおかげで俺もヘアも結構苦労してるんだし、今更崇めろと言われても……」

『む、むぅ、それを言われると辛いのじゃ』

「それに、途中で出会ったキャラバンと一緒にシルバークラウン目指すことになって結構大変なんですよ」

 

 途中でブラックウルフの集団に襲われていたのを助けたのがキッカケだったんだけど。


 それで随分と腕を買われてしまった。それはそれで別にいいのだけど、このキャラバンの運が悪いのか、元来そんなものなのか、魔物や盗賊によく襲われる。


『うむ、あのキャラバンか。じゃがいい修行になると思うのじゃ』

「……なにか知っているのか?」

『へ? いや別に何も知らんのじゃ!』

「いやおかしい! その言い方は絶対なにか知ってる! さてはまたお前誤字ったな!」

『し、失礼な! そんなことしてないのじゃ! ただあの商人は禍福倚伏というスキル持ちというだけなのじゃ、て、あ……』


 禍福倚伏? 


「なんだそれ?」

『ふぅ、まぁどうせお主の神鑑を使えば判ることか。その商人のスキルはいいことと悪いことが交互に起きるのじゃ。交互と言っても周期はその時によってまちまちじゃがな』

「……そんなスキルがあるのかよ。それ意味あるのか?」

『当然使いようによって非常に有意義じゃ。悪いことの後はいいことがあるのじゃからそれを理解できれば商人としても成功できるのじゃ』


 そうか。そういえば商人としては大分稼いでそうだったな。だけど、その分危険なことにも巻き込まれやすいから、強い護衛を欲していたってことか。


「なるほど、いい情報が聞けたよ」

『うむ、我を敬うのじゃ』

「そうだな。助かったよありがとう。それじゃあこれで」

『うむ、今後も精進、て違うのじゃ!』


 違うのか。


「まだ何かあるの?」

『そもそも本題がまだじゃろうが。全く、それにこの話は聞いておかないとお主絶対後悔するのじゃ』


 そう言われると……気になるな。


「一体どんな話なのですか?」

『なんじゃ現金なやつなのじゃ。それならばスキルダス様どうぞこの私にご知恵をお貸しください、と心から願えば教えてやらんでも……』

「じゃあ寝まーす」

『待て待て冗談なのじゃ! 全くゴッドジョークの聞かん男なのじゃ』


 そんなジョークはいらないって。


「それで、結局どんな話なのですか?」

『うむ、それじゃが――お主を今より更に強くするために大事なことでのう、ズバリ! ラビリンス(神試の迷宮)についてなのじゃ!』

誤字っこ女神様から気になる情報が出たところで!次からが新章になります!

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