営業所の成績が落ち始める
この作品は、全て妄想であり、創作です。
男は前年度より基準が倍近く上がったため、達成率の悪くなった営業所で、毎日ピリピリしていた。
私は私で、男に対して腹ただし気持ちが影響したのか、今までのような純粋なやる気が完全に失せていた。こう言う時はアポも入らないし、追加契約も取れないものだ。
悪い流れは、重なるもので、決まりかけていた契約がキャンセルされたり、つまらないクレームを引いたりした。
しかも受験時期を迎えた息子の実力テストが思うようでなく、加えて所属していたテニス部でトラブルを起こした生徒が近所だったため、担任が我が家にまで事情を聴きにきたりと、何やら落ち着かない日常が続いた。
そんな時、理香子の成績だけが、絶好調だった。まさに飛ぶ鳥を落とす勢い。毎日毎日、生き生きと輝いている。去年の私だ。男は頼みの綱である私が思うように成績が上がらない事にイラつき、朝礼で、毎朝、嫌味たっぷりなじりながら、理香子を褒め上げた。
『佐藤チーム長はご家庭に夢中で、なかなか成績に気が回らないようですがね?』
私は耐えた。
何故耐えたのか良く分からないが耐えた。
理香子の私に対しての態度がまた笑えた。絶対に私と男を近づけないのだ。私が男に何か質問しようとデスクに行くと、さっと自分もやってきて、話を遮った。まぁ、理香子にしても、私と二股かけられてるのかどうかの不安がいつもあったんだろう。
営業所で理香子だけが新記録を達成して惨めに終わった月のある日、事件は起きた。
本社に匿名の手紙が届いたのだ。
私達の営業所の風紀が、いかに乱れているか。男がマネージャーとして赴任して来てからどれだけの所員がマネージャーと男女の関係になったか。はたまた、それを利用して、男が力ない営業員にどれだけ無理をさせて、契約が上がらない時は名義借り契約をやらせているか。放っておいてお客様に新聞社にでも告発されたら、みなさん共倒れでしょう。1度本社がお調べ下さい。正義の味方より。と言う内容のものだ。
これには、多分、マネージャーじゃなくとも営業チーム、全員青ざめた。誰もが一回は名義借りに手を染めた経験があっからだ。
果たして、私も昔、お客様から正規に頂いた契約が、締め切り前日でキャンセルが出た事があり、ご事情をお聞きしたらご主人がリストラに合われて支払いに自信が無い旨を聞いた。締め切り前日のキャンセルで、その時は当時の上司になんとかならないかと、泣きつかれてお客様に教材費のお金を立て替えた事がある。50万だ。でもお客様がもの凄く恐縮されて、そのお金はすぐに戻って来た。しかもその時の娘さんが希望高校に合格して、佐藤さんが一時的に助けてくれたからだと、そこのご家庭と今もお友達付き合いをさせて頂き、紹介まで頂いた。
まあ、立て替え禁止とは言え、その後に繋がった例もある反面、私は男から理香子のチームに対抗して、いや、対抗させられて、なんだかんだで4本の名義借りを契約を入れた。
とりあえず高給取りの私であったが、さすがに支払いが続き、経済的にも頻拍して来ていた。
私の観察したところ、どうやら理香子も似たり寄ったりらしい。最近いつも同じような服着てるし。
本社監査が入った時、男も理香子も完全に落ち着きを無くしていた。たぶん理香子の性格だと年がら年中男に会って束縛しているのではないか?最近常にマネージャのそばに理香子が張り付いていて相談にもいけない・・というのが営業所のもっぽらの評判であった。どんな調査が本社から入るのか2人は真っ青であったろう。
私は自分の事などすっかり棚に上げて、おかしくて笑ってしまった。
さて、男も追い込まれて来たのでしょうか?




