ところでなぜ【ゲームオブスローンズ】は受けないの?
米国HBO制作。1話あたり制作費10億円というトンでもテレビドラマ【ゲームオブスローンズ】
剣と魔法とゾンビとドラゴンてんこ盛り、世界じゅうで大ヒット!
なのに日本での知名度は皆無!?なろうに投稿してるひとの半分くらいはこの【いわゆるなろうで言う中世ふうファンタジー】観とくべきじゃないの!?
と、大いなる疑問を感じたので書いてみました。
好きな作品を貶められたと思ったかたにはごめんなさい。
ファイナルファンタジーの映画が始まったって聞いて、「え!?」て思った。
【ウォークラフト】を観に行くつもりだったけど、予定変更。だって15年前のあの160億円かけた駄作思いだすでしょ……
新作も予告観ただけで俄然FF映画のほうが痛々しそうだし。「なんだろうこれ、【ゲームオブスローンズ】観ただけでプロダクションデザインしたのかな……?」みたいな。
そう、なんで筆者がファンタジー映画に固執するかというと、やっぱ「なろう」利用者なんで、どんなのが受けそうなのか研究()してたから。
それで気付いたこと……異世界ファンタジーがこれほどまでたくさんものされているにもかかわらず、日本では【ゲームオブスローンズ】がヒットしない。
【ロードオブザリング】はソコソコ、【ハリーポッター】シリーズはおたくも愛好者が多いみたいだけど【ゲームオブスローンズ】は受けない。
なぜなのか?
アメリカ人が数百億円もかけて『ロードス島戦記』(アルスラーン戦記でもいいけど)を実写化してくだすったようなもんなのだから、もうちょっと話題になってもよさそうな。
まあ日本国内では、地上波全国放送しないかぎり認知されがたいのだけど。
さらにその放送で実況版が盛り上がらないとブレイクには繋がらない。細田版【時をかける少女】はそうやって盛り上がった実例だ。
海外作品だとさらに敷居か高くなる。
LOTRとハリポはキャラクターが見分けやすかったが、【ゲームオブスローンズ】は登場人物の大半がヒゲ生やしたロン毛のおっさん……日本人がいちばん苦手なキャラばかりだ。
6シーズン見続けている筆者でさえ、たまに人物の見分けがおぼつかなくなる。
それにたぶん、シリアスすぎ。
ドラゴンやゾンビも出るが、ハーマイオニーはいない。
安達祐実をチョイブサにしたような女の子はいる(男装のうえに暗殺者に成長してゆくという、おたくに愛されそうなキャラなんだけど惜しいね!)
【サラ・コナー・クロニクル】版サラ・コナーと【ターミネーター・ジェニシス】版サラ・コナーが豪華共演しているうえに盛大におっぱいもその他も披露しているが、たぶんそれでは補えないだろう。
悲しいことに、美術的な世界観はなろう作家が漠然と言う「中世ヨーロッパ」そのものなのだが、わたしのように「参考のため」観ているかたとか、いらっしゃいます?
そんな筆者のファンタジー遍歴は『ロードス島戦記(OVA)』に始まり(原作は文章がアレで無理でした)
アン・マキャフリイに挫折。
そしてR・A・マカヴォイにドハマリして翻訳作品を全部読み(と言っても悲しいことにたった6冊……)
デイビッド・エディングスとロバート・ジョーダンでまた挫折(20冊ほど読んできりがないのでやめた)。
タニス・リーとル・グインで持ち直し(『闇の左手』と『銀色の恋人』はファンタジーじゃないけど)
『指輪物語』で「やっぱ無理!てにおはが無理」となり、現在に至る。
マンガは青木邦夫の『ユニコーンの乙女』と伊藤 勢の『モンスターコレクション』のみ。
そして家庭用ゲーム機は1999年に生まれて初めて購入したので 、全盛期のドラクエもFFも知らない。これが致命的であった。
つまり筆者は日本で受けるファンタジーが分からず、いま復習してる真っ最中なんです。
だから国産ファンタジー大作のはずのFFには期待してしまいます。良くも悪くも和製ファンタジーのエッセンスを掴めそうだから。
……いや、ホント言うとファンタジー物の夜中アニメも最近がんばって観てるから、たぶんそっちのほうが参考になるしコスパ良いんだけど、「こうしないと受けないよ」っていう縛りというか法則性しか見出せなくて、ちょっと変化球求めてたので。
こう言うといろいろディスってるようだけど違うの!
和製ファンタジーの傾向じたいが筆者にとって大いなる謎なんで、なんとか理解したいな~と。
そんで、いつかは作品を書いてみる……と。
遠い先のことになりそうですけどね。
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これ書いてずいぶん経つけど、いまでもチラチラとアクセスされてて、先日ポイントまで振られてもらっちゃった。
なのですいませんありがとうございます追記。
こんなものはブログでこっそり続ければ良かろうとは思ったが、最近フェイスブック実名プレイばかりで、更新サボりガチなので(ばんびさんせっかく勧めて頂いたのにごめんよぅ汗)
ということでコメントで指摘頂いたとおり【英雄】なのだ。
ヒーローってなんだ?
我々はなろうでヒーローを書き続けている。ヒーロー像だ。それはぶざまなダメ人間とかヨゴレーなアンチヒーローを含む。どんな奴を書くにせよ、そのとき書きたい、と思った人物像を描き出しているのだ。超外道やクズでもそれが筆者の理想像ならヒーローである。
とりあえず、ファンタジーにおける主人公であろうからには、【英雄】でなければならぬ。
で、最近は壮大なサーガ描くのは面倒なので手っ取り早くチート、それもステータスポイント表示させて主人公ツエー。それが主流らしい。
ところで自分は最近の、プロ作家が描く主人公が大嫌いです。具体的に言うと【ブリーチ】の一護とか【ハガレン】のエドとか。
なにが気に入らないって、物語開始時点でもう人格が固まってる。それでなんだか偉そうに上から目線で達観したようなセリフ吐いて、作者も「かっこいい俺」的役割しか振る気無いから、フルボッコされても薄笑いして立ち上がって、なんか覚醒技披露するようなイメージしかない。
こう考えてる時点で自分は積んでるわけですが(涙)
つまり最近のトレンドは、かっこ悪さを極力廃した神視点の主人公が程々ドラマチックに活躍しつつ格好つけ続けるだけという、成長しない型なわけです。最初から完成しているので特訓しません。
それより問答無用な「覚醒」のほうがカッチョエエし。
ラノベ的に言うと「さすがお兄様」というトコですか?
ようするに、メジャー作品もラノベもやっていることは同じだけど、ラノベはことさらものすごい安直、っていうことに……なるのかねえ。
だがなろうの同志貴兄、わたしはひとつ発見したぞ。
なろうのファンタジーは一歩外に出ただけで尼レビューにボロカスに叩かれるが、それでもユーザーが無自覚な部分に価値がある(いやひょっとして……いやたぶん気付いてるかもしれないけど)。クラス転生ものに顕著な主人公造形、あれは「私小説」なのだ。だからストレートなはずのヒーロー物が妙に歪になる。
自分は私小説はゲイのカミングアウトと同レベルだと思うけど、そういう意味では立派な文芸であろう。文芸なんて大げさな……とおっしゃる向きもいようが「文」の「芸」、というからにはタレント芸人と同じでっしゃろ。
ただし自分の臓器摘出して売ってるようなもんだから、書籍化まで果たして承認欲求満たしてもダメージ大きそうだね?
物書き、とくに創作作家ってウソ書くのが仕事だし、できれば筆者の人となり(と知能レベル)が垣間見えない作品のほうが読者にとって親切(最近話題になった東大のミステリー作家を持ち出すまでもなく)だと思ってるたちなので……
ていうところでなにが言いたいのか分からなくなったのでつづく(←続くんか!)
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4/12追記
まことにありがたいことに、いまだ多数のアクセス&ご意見が寄せられ、返信コメントをしたためてたりしてると、なにかぼんやり浮かんでくるモノがある。
で、西洋ファンタジーとの対比としてのなろうファンタジーについて、箇条書きしてみたです。
イ) 変化を嫌う・現状維持。
つまり冒険と引き替えに日常を手放すつもりはない、冒険に伴う不便な生活なんて想像もした
くない。極端な例ではスマホ太郎など、異世界行っても置いてきた世界のネット情報を漁りたい のだ。
ロ) なので基本ゲーム感覚(これ大事!)
おやつとティッシュとスマホを手の届くとこに置いてネトゲする感覚。
骨太ヒロイックファンタジーは望まれていない。
ハ) なので新フォーマットに対応するのは面倒。
だれだってゲームの説明書読まないもん。
チュートリアルだって出来れば避けるし。
オリジナルモンスターとかやめて、と編集部が釘刺すくらいですから。
ニ) すると自然、成長=レベルアップなのだがユーザーにとってそれは際限なくスライムを倒して 経験値とゴールドを溜める「作業」であり、退屈なので手っ取り早くチート設定する(ゲームプ レイヤーとしてはそれがもっともヒロイズムを感じるのだろう)。
以上4点でなろうファンタジー(ローなのかハイなのかは良く分かりません)の神髄を語れると思う。
ステータス表示。アイテムボックス。セーブポイントからやり直し可能。そしてチート。上記4点にそれらすべてが該当する。
女の子との出会いも基本、「フラグ立ち」という言葉が象徴するようにADV形式と思われ、「ま、みんなに思い入れあるわけじゃないけど、選択肢増えるぶんにはいーか」と自然ハーレム化する。
なので血の通った付き合いとかではなく、料理対決やラッキーH的なイベント消化描写にならざるを得ない。
一部作品で終盤、ひとり選ぶ段階になって崩壊するのは、ゲームフォーマットなのに「攻略」を何度も繰り返せるゲームじゃなく小説だ、と作者が遅まきながら気付いて混乱するためか。だってその手のADVでトゥルーエンド目指す人少ないから、いざ「添い遂げる」ったってどう書いていいか分からんよね。
もっとも、最近は重婚であっさり解決するようですが……
現状維持、というのには最近の主人公がやたら家を構えたがるのにも顕れている。
ファンタジーでありながら着の身着のまま荒野をさすらう、というのは避けられ、安定した居住場所を求める。
移動も基本、街から街。ふかふかのベッドに水洗トイレ風呂は必須。
異世界飯テロ小説でさえ当てはまる。
他愛のない洋食に舌鼓を打つ異世界人……それは書き手と読者の経験則から一歩も出てないからそうなる。
参考テキストは飯漫画とドラマ、あとせいぜいクックパッド。そして自己肯定のためにそこら辺で食べられる範囲の料理を旨い旨いと異世界人と共有したい。
異世界とは言え生まれてから一度も美食にありついたことがない貴族とかあり得ないでしょ?などと訴えても無益です。
懐石やフランス式フルコースとか描写して見せても、不信を買うだけでしょう。
「不信を買う」というのも大きなポイントです。
なろう式反知性主義とでも言うべきか、とにかく読み手は猜疑心の塊なので、ちょっとしたうんちくを語るだけでウィキ丸写しと罵られます。
ところが……尼レビューやスコ速などでなろう小説の浅い知識が叩かれるにもかかわらず、その路線は継承され勢いを増している。
これはつまり、本を読んでちょっぴり利口になろう、という前向きな考えは、いまは無いんだと思います。
知識はアイデンティティーを脅かすか嫉妬を抱かせるだけで、面倒だから御免被る。……あるいはメジャータイトルならともかく、なろう小説ごときで知らない言葉をググったりしたくない…?
このなろう式反知性主義が(そんなものが本当にあるのかどうかも含めて)現在わが最大の謎だが、これもたぶん経験則から出たくないことと関係ありそう……包囲殲滅戦や孤児院がオモチャにされてることも関連があるかも。なろう小説は読むこと以外に感想欄のマウンティングもセットの娯楽なのだし(考えてみると執筆中の小説にツッコミ入れられるって特殊なことだよね……)
ゲースロどころか2000年以前のファンタジー全般に食指が向かないわけですわ(泣)
さすがにちょっとあきらめの境地。
とにかく、以上に述べた点を踏まえると「なろうファンタジー」が書けるんじゃないかと思います……
考察すればするほど、いっけんネガティブなことしか書き出せないんでアレですが、それほど的外れとも思えません。
ゲースロが受けない理由も書いたし、本気で、上記ポイントを抑えれば、なろうファンタジーになるはず。
異論はありましょうが。
最近得体の知れないポイント爆上げだったので、ご指摘いただいた前書き追加してみました。
引き続きご意見でも苦情でもなんでも受けつけます。面倒くさいです、というかたには分からないことがあったら優しく教えるからね!