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5.スキルがない?なら作ればいい。

皆様に面白いと思ってもらえるような作品を作れるよう頑張るので、良ければ評価や感想をお願いします!

 俺は案内人のおかげで平常心を取り戻し、カーテンの奥へと向かう。

 平常心を取り戻せたおかげで二つの疑問が浮かび上がる。


 あれっ、案内人ってただのプログラムだよな?

 案内人がさっき俺に投げかけた言葉には感情がこもりすぎている気がする。

 というかこのゲームには勇者や魔王といった設定はなく、適当にモンスターを狩ったり、町おこしをしたりと自由度の高いゲームだったはずだ。


『…』


 案内人がなにか知っていそうな雰囲気を醸し出していたが、それは後でじっくり聞くとして。

 今はそんな事よりも俺の適性試験に集中しなければならない。

 属性が1つしか発現しない可能性もあるがその時はその時だ。

 2つより1つの方が扱いやすいはずだ、与えられた属性を完璧に使いこなしてやるさ。

 そう決意しカーテンの奥の魔晶石(ラクリマ)へと向かう。

手をかざすと魔晶石が反応し文字が滲み出てくる。

 これが俺のステータスになるのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【名前:フィーネ】

【属性:光、闇】

【ユニークスキル:帝王(エンペラー)

【ユニークスキル:案内人】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 光…。

 光属性だ…。俺が求めいてた属性だ…。

 勇者になれるものにしか与えられないという属性。

 しかしまてよ、勇者になれる資格がない者はどうなるのだろうか。

 これはゲームだ、ゲームとは本来皆が楽しめなくちゃいけないものである。しかし適性試験で[風]や[水]といった[光属性]以外を与えられた者は勇者になる資格がないと言われているようなものだ。

 勇者がいるパーティに所属し魔王を倒し名を轟かせた、というならば話は別だが、資格のない者はこのゲームを楽しめそうにない。

 自分はせっせとゴブリンを倒しコツコツとレベルを上げていく中で、勇者は功績を残しとんどん有名になっていく。

 とてもじゃないが俺は耐えられない。


 よく考えてみれば不思議なことなど多々あった。

 まず最初に、この滑らかな視点に、触った感触。

 まるで本物、いや本物だ。

 ゲームを始める時に身につけたものは黒いヘルメットのようなものだけだ。

 脳に何かを刺されたような感覚はなかったから、あのヘルメットからなんか出てきて神経につないでいる、という訳では無いと思う。

 次にこの学校という制度だ。

  他の人とログインする時間も揃うはずがないのに学校なんて通わせれるわけがない。

 そして適性試験。

 今までのゲームではだいたい属性は自分で決めるものだ。

 ランダムで選ばせてしまえば今回のようにある者は強くなり、ある者は弱くなる。

 そんなのはゲームとは言わない。

 そして最後に、案内人だ。

 今までに挙げたものは無理やりにだが頑張れば理解することが出来る。

 だがこの案内人だけはどうしても理解することが出来ない。

 もしこれが本当にゲームならば、突然脳内に響く声などプログラム以外の何物でもない。

 案内人が自分のことを「このゲームの案内人」と言ったこともプログラムされていたものならばなんら不思議ではない。

 だがこの案内人は妙なのだ。

 感情が豊かすぎる。

 俺が光の精霊のことを聞いた時、案内人は「びっくりした」「寂しかった」「構ってください」と言ったのだ。

 「びっくりした」などはいきなり話しかけられた時何回かの確率でそう言う、とプログラムされていたのかもしれないが、戦闘中にそんなことされては迷惑極まりない。

「寂しい」「構って」などはもってのほか、感情が宿っているとしか思えない。



 聞こえているんだろ案内人。

 そろそろ説明してくれてもいいんじゃないか?」



『ばれちゃいましたか?なら仕方ありません、みなさんに説明するので一度カーテンの外へと出てください』


 俺は案内人に促されるまま、カーテンの外へ出る。

 うながみさんに属性やスキルのことを聞かれたが今はそれどころではない。

 俺の属性を公表してシャルロットが突っかかってくれば案内人の話どころではなくなってしまう。

 うながみさんには「ごめん」と一言言い残し話を進めさせてもらう。

 

「みんな、少し私の話を聞いてもらっていい?」


教室全体を見渡し確認する、反対するものはいないようだ。


「私、というより案内人からの話なんだけど、みんなにも関係あることだからちゃんと聞いてれると助かるわ」


『突然呼び出してしまってごめんなさい、みんなも知っていると思うけど私は案内人と呼ばれている者です。そして貴方達を召喚したのも私。』


 教室の中がいっせいに騒がしくなる。それはそうだ今までゲームだと思いプレイしていたものがここは異世界です。的なことを言われたのだ。

 気なつけは俺も憧れていた異世界転生者だ。

 だが今はそんな悠長なことを言っている場合ではない。ここまで騒がしいと禄に話もできない。


 パン、パン、と手の平を打ち付ける音が聞こえ、皆、その音の方向へと目を向ける。


「みなさん、一度落ち着きましょう?まずは案内人の話を聞いて私達が今何をすべきか考えることが大切だと思いません?」


 シャルロットだ。

 ただのでしゃばりかと思ったが人をまとめる力や状況を見抜く目も持っているようだ。

 俺がシャルロットの方を見るとシャルロットもこちらを見ていた。

 俺達はうなずきあい、再び俺が話を進める。


「案内人さん、ここがゲームの中ではなく異世界ということは理解できたわ、でもどうして私達をこの世界に?」

『それこそさっき茜ちゃんが言っていたことと関係があって。

 最近魔王候補と呼ばれる魔物が数多く誕生してることが確認されてね、それに比べてヒューマン側の魔導師や剣士の数が圧倒的に足りてないんだ、このままだと私たちの世界は魔物に、一方的に蹂躙され破滅するしかなくて…君たちを呼び出したわけだ』


 なるほど、と、簡単に納得できるような事ではない。俺達はただVRの世界とやらを体験したくてあのゲームを買ったのだ、生死を賭け魔王候補とやらを倒しに来た訳では無い。


「悩んでいても仕方が無い、その魔王候補とやらを倒さないと返してくれないんだろ?それより僕の適性試験がまだ終わってないんだ、やってもいいかい?」


 口を開いたのは、自己紹介の時俺の順番を教えてくれた娘だ。確か名前はミラだったか。

 背が低かったので印象に残っていた。

 まぁ、ミラの発言でほとんどの人も納得してくれたらしいし、話の発端は俺だから最後は俺が締めくくろう。

「たしかー」

「確かに、ミラさんの言う通りね、このまま話し合っていても拉致があかないわ、はやくその魔王候補とやらを倒して自分の世界に帰りましょ?そのためにまずは今日は休養をとって明日の訓練に備えましょう!」


 全部持っていきやがった。

 このゲームだと思っていた世界に疑問を抱いたのは俺だというのに…。


『まぁいいじゃないですか、というかその…もう少しごちゃごちゃ言われると思ってたんですけど、あっさり終わっちゃいましたね』


 そうだな、あのミラって娘、えらく達観していたな。

というかその俺だけに伝えるやつとみんなに伝えるヤツどうやって使いわけてるんだ?


『これは念話というスキルのスピーカーをONにしただけですよ』


 スキルにスピーカーという概念があった事に驚きなんだが…それって俺も使えるようになるのか?


『それはわかんないですね、これからのあなたの行動で獲得できるスキルも変わってくると思いますし』


 俺の行動で変わるもんなのか。

 そういえば俺の属性の下にユニークスキルというものがあったがあれはなんなのだ?


『ユニークスキルは普通のスキルと違って常に発動しているスキルの事ですよ』


 常に発動しているスキルか。ならあの帝王(エンペラー)とかいうユニークスキルはどんな効果なのだ?


『今見せますね』


 突然、頭の中に文字が浮かび上がってくる。


【スキル名:帝王(エンペラー)

【効果1:仲間とスキルの共有(出来ないものもある】

【効果2:倒した相手のスキルを奪う】

【効果3:このスキルで繋がっている者同士で嘘をつくことは出来ない】


 へぇ、敵倒したらスキル貰えるんだ。


『フィーネさんが、シャルロットさんのスキルを奪いたいって思ったことがこのスキルに繋がったんじゃないんですかね?』


 そういえば獲得できるスキルは俺次第って案内人も言ってたしな。

 強く願ったらスキル貰えたりするんだろうか?

 いや、それはないな願えばスキルを貰えるなんて、そんなに世界は甘くないよな?

 ウェンディも欲しいスキルがあったっぽいこと言ってたけど発現してなかったしな。


 スキルについては謎ばかりだ。

 謎といえばもう一つのスキル「案内人」だ。


 おい案内人、このスキルの案内人ってお前のことか?


『はい、そうですけど?』


 そうですけど?じゃねぇよ、お前ってスキルだったのか?


「いやぁ、それが最初は思念体だったんですけどね?なんかフィーネさんの冒険について行くって言葉を発した途端スキルとして認められちゃったというかなんというか?」


 じゃあなんだ、お前は新しいスキルを生み出したとでも言うのか。


『そうなっちゃいますかね。てへぺろ?』


 てへぺろじゃねぇよ…。

 

 やっぱスキルって簡単に作れるんじゃね??と考えていると適性試験を終えたミラが出てきた。


「ミラちゃん、どうだった?」


 何気なく聞いた問の答えは俺の想像を遥かに超えるものとなった。


「呪い」

「えっ?」


 思わず聞き返してしまったがそれに答えずミラが去っていく。

 今までいろいろなゲームをやってみたことがあるが呪属性など聞いたこともない


 そもそも呪属性なんてあるのか?


『これは私も聞いたことがないですね、きっとミラちゃんの強い思いが新たな属性を生み出したんじゃないですかね』



やはりこの世界はスキルも属性も手軽に作れるようだ。

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