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4.適性試験

初ルビですw

使い方間違ってたらすいません(汗

 確かにこのままざわついた状況が続いても自己紹介が始まるとは思えん、結果オーライではあるがこの縦髪ロールは俺の好きなタイプではないな。

 どうせ学校でも上位カーストにいたのだろう。


「まずは(わたくし)からですわね、私の名前はシャルロットよ、ほらあなたも」


 シャルロットがそう促すと半歩後ろで控えていた青色

、というより水色の髪の娘が少し前へと出てくる。


「えと、ウェンディです…」


 2人ともなかなか可愛い顔をしているが俺の事は騙せんぞ。

 キャラメイキングができるこのゲームで外見など信用出来ない。

 可愛いからと言って心を許してしまえばその時点で負けである。この認識がある俺には通用しないがなっ。


 そんなことを考えてると前から俺のおでこをつんつんとつつかれた。

 何事かと目を開けると幼児体型の俺よりも一回り小さい女の娘がいた。

 茶色い髪を後ろでまとめられた、つまりポニーテールをした女の娘だ、上目遣いでこちらを見ている。

 ドキン、と俺の鼓動が高鳴る。

 俺にロリコンの趣味はないはずだ…上目遣いだと思ったのは背が小さいから勝手に上目遣いになってしまっただけだ。

 さっき俺には通用しない宣言したばかりではないか、落ち着いてどうしたの?って聞き返せばいいだけだ。


「どうしたの?」


 よしよし、上手くいったぞ、おはようで噛んでいた数分前の俺はもういない!


「次の自己紹介、あなたの番だよ」


 見た目の割にはクールな喋り方だ。

 というか自己紹介のことをすっか忘れていた、好きな食べ物でも言っておけばいいだろうか?


「俺、あいや、私の名前はフィーネ、好きな食べ物はハンバーグよ、よろしく!」


 我ながら完璧である、だが周りを見ているとクスクスと笑っている。

 なにかおかしなことを言ってしまっただろうかと自分が言った言葉を振り返るがみんなが何に対して笑っているのか皆目検討もつかない。

 うながみさんにすら笑われている。


「ふふ、フィーネちゃん、見かけによらず男の子みたいな食べ物が好きなんだね」


 だって男の子なんだもん。

 いや、今は女だったのか、マカロンが好きですとか言っておけばよかったな。


 耳をすませていると好きなものはぬいぐるみだとか趣味はアクセサリー集めだとか言ってやがる。


 見た目だけではなくキャラ作りもオンラインゲームの一つの大事なことだと気づいた時、教室の準備を終えたのか茜ちゃんが入ってきた。


「適性試験を行う教室の準備が終わった、ついてきてくれ」

「はいみんなー、廊下に出た人から1列になって茜ちゃんについて行ってねー」


 また、縦髪ロール、いやシャルロットが仕切ってやがる。仕切る人は大事だと思うがこいつはどこか気に食わない。


 俺がじーっと眺めていると目が合ってしまった。


「あなた、自己紹介の時からじろじろとなんなのかしら?何か言いたいことがあればはっきりと言って欲しいのだけれど。」

「いや、なんでもない、です」

「そう、じゃあ早くあなたも列に混ざってくらるかしら?」


 くそ、なんでもないですじゃねぇよ。

 上位カーストのやつにあんな凄まれたら尻すぼみしてしまうのは下位カーストの習性なのだ。

 ゲームなのにはやくもカースト争いに負けてしまった。これだから学校は嫌いなんだ。







 適性試験は五十音順で、俺達のクラスからはアウレアから始まった。アウレアは好きなものがぬいぐるみと言っていた女の娘だ。

 アウレアは属性が無属性だと知り、泣きそうな声を出していたが、アウレアが既に発現させていたスキル魂付加(ソウルエンチャント)の事を案内人から聞き、狂ったように飛び回りよろこんでいた。

 大好きなぬいぐるみと一緒に冒険できると知り嬉しいのだろう。

アウレアはしないと思うが、あのスキルを龍の骨などに使ったら大変なことになりそうだ。

 シャルロットがこのスキルに目覚めていたらここにいるみんな殺して下僕にしてしまいそうだな、と考えちらっとシャルロットの方を見やる。


 どうやら次はシャルロットの後ろにいたウェンディの番のようだ。

 ウェンディは恐る恐ると言った感じでカーテンの中へと入っていく。

 魔晶石(ラクリマ)が、光を放ちカーテンに人影が浮かび上がる。


 カーテンをそっと開きウェンディが出てきた。そこへシャルロットが駆け寄る。


「お疲れ様ウェンディ、どうだった?」

「はい、属性は水でした、スキルは、発現していませんでした…」


 だろうな、名前がウェンディで炎属性とか考えられないし。爆炎のウェンディとかいたら面白そうだな。


「スキルが発現しなかったことは仕方ないことよ、あのアウレアって娘がちょっと特別だったのよ。

その証拠にあなたの前に適性試験を受けた人、アウレア以外に発現させている人はいなかったでしょう?」

「そうですが、シャルロット姉さんのお供として付いてきたのに、このままじゃ足を引っ張ってしまいます…」

「そんな事はどうだっていいわ、私の属性やスキルがどうなるかまだわからないけれど、何があっても私があなたを守るわ。」

「姉さん…」


 泣ける話じゃねぇか。

 シャルロットが俺に対して高圧的な態度をとってなかったら結婚を前提に交際を申し込んで断られるとこだったわ。

 あの優しさを少しでもいいから俺に向けて欲しい。


 シャルロットの優しさを垣間見ておれにも優しくしてくれる淡い妄想をしているうちに次はうながみさんが適性試験を受ける番のようだ。


「うながみさん、頑張ってね」


 正直、適性試験で何を頑張るのかわからないが、きっと女子なんてこんなものだろう。


「うん、がんばるっ」


 うながみさんは小さくガッツポーズをとりカーテンへと吸い込まれていった。



 ウェンディと同じで属性は水だろうか?

 ほとんど聞いていないがわだつみさに関してあれだけ熱弁していたのだし、それで水属性じゃなかったらなんだか少し可哀想である。


 再び魔晶石が光輝き、カーテンに人影が浮かび上がる。どうやら適性試験が始まったようだ。


 しばらくして魔晶石から出ていた光が収まる。

 するとカーテンから、嬉しそうな顔をしたうながみさんがでてきた。


「うながみさん、どうだった?」

「フィーネちゃん、私雷属性と水属性、2つも属性を与えてもらっちゃったの!」


 水と雷の相性がいいことはわかるが、そのまで喜ぶようなことなのだろうか?


「なかなかやるではないか、うながみ。

この世界には精霊というものがいてな、その精霊に好かれないと属性は与えてもらえないんだ、最初に与えられる属性は先天性のものだから精霊は関係ないがな」


 俺が不思議そうな顔をしていると茜ちゃんが説明してくれた。


「へぇ、すごいじゃんうながみさん!属性の相性も良さそうだし、羨ましいなぁ」


 うながみさんがえへへ、と笑っている。

 精霊に好かれなくてはいけない、か。

なるほど、ならば俺が属性を2つ得られる可能性は潰えたな…人にすら好かれていない俺が精霊に好かれるわけがない。


 俺が感傷に浸っているうちにシャルロットの番が来たようだ。

 散々俺にでかい口叩いたんだ、無属性とかしょっぼい属性だったら大笑いしてやる。


 シャルロットはウェンディに行ってくるわね、と言い残し悠然とカーテンへ吸い込まれる。

 魔晶石が起動し、光を放つ。

 これでなんかすごいスキルとか持ってきたら本気で俺の立場が危うい。

 少し罪悪感があるものの、あまり凄いものが発言しないようにと願ってしまう。


 光が収束し、シャルロットがカーテンから出てくる。すごいドヤ顔だ、完全に詰んだ。


 ウェンディが駆け寄り言葉をかける。


「シャルロット姉さん、どうでしたか?」

「聞いて驚きなさい、私も2つの属性を獲得しましたわ!1つが風属性でもう1つが光属性よ」


 これでもかというほど大きな声で自らのステータスをばらす。2つの属性を獲得したことでテンションも上がっているのだろう。


「なにっ、光属性だと?そんなばかな…」

「先生、どうしたんですか?」


 茜ちゃんが声を荒らげ、不安そうにうながみさんが問いかける。


「私もよくわかっていないのだが、本来光属性というものはもう無いはずなのだ、そもそも光の精霊の存在自体がよくわからないのだ。

 300年程前に現れた勇者と呼ばれるものが光を操り魔王を討ち滅ぼしたという伝説のようなものは残っているのだが、果たしてそれがほんとに光の精霊の仕業なのかどうかすら…すべてが謎なのだ」


 勇者だの魔王だの、いきなり話のスケールがでかくなりすぎてね?

茜ちゃんもよくわかってないらしいけど…。

 久しぶりに案内人にでも聞いてみるか。


 おい案内人、光の精霊ってほんとにいるのか?


『おわぁ!?びっくりしたなぁもう、いきなり話しかけないでください』


 なんだ拗ねてるのか、めんどくさい。


『嘘ですごめんなさいちょっと寂しかったので見栄を張っただけです構ってください』


 わかったわかった、いつでもかまってやるから今は光の精霊について教えてくれ。


『約束ですよ?っと、光の精霊ですね、確かにいましたよ、茜ちゃんの言う通り勇者に力を貸していたようですが、勇者の存在が認識されなくなったのと同時に光の精霊の噂もてっきりですね』


 じゃあシャルロットは勇者になれるということか?


『そうですね、あくまで可能性ですけど』


クッ、勇者か…こんなことを知られたらますます調子に乗りそうだ、なんとしてでもこの情報は秘匿したい。


『それは無理ですかねぇ、もう教えちゃいましたもん、シャルロットさんの中の(案内人)が』


 あっ、ホントだ、シャルロットがさっきよりもキラキラとしたドヤ顔をしている。

 この後に適性試験受けなきゃいけないとか苦痛でしかない、絶対なんか言ってくるに決まっている。

 ほらきた。


「あらお次はフィーネさんなのね、私のように光の精霊からの加護を受け取れるといいわね、ま、無理でしょうけど」


 ちくしょうが、俺だってやりたくてモブみたいな人生を送ってきたわけじゃない、出来ることなら物語の主人公のようにトンデモスキルに目覚め次々と敵をなぎ倒し、女の子からキャーキャーと黄色い声援を浴びたい。


 シャルロットの度肝を抜かすような何かが欲しい、馬鹿にされたくない…。

 もういっそのことシャルロットの属性を奪ってしまいたい、そしてあいつが絶望する姿を見てやりたい。


『フィーネさん?ダメですよそんなこと考えちゃ。

私はただの案内人で、属性も持ってないしスキルなんて使えません。

 でもあなたが冒険をするならどこへでもついていけますし、ピンチならサポートすることもできます。

寂しかったら話し相手くらいにはなれますよ?

 この世界ではなーんの役にも立たない私はフィーネさんの中でなら特別な存在になることが出来ます。こんなちっぽけな私でも、でもフィーネさんは属性を得ることも出来るしスキルも獲得できます。

 それにまだ無属性だと決まった訳ではありませんし得られる属性も1つと決まった訳ではありませんよ?

 希望を捨てないでください。』


…案内人も、たまにはいいこと言うじゃないか。

 ここまで言ってもらって頑張らないのは失礼だな。いっちょやってきますか。


『フィーネさん、頑張ってね』


 正直、適性試験で何を頑張るのかわからないが、仕方ないから頑張ってやるか。

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