名もなき星のストーリー
私は星。名前が無ければ歴史もない。
そして、この世から消えた。
私は3年間しかこの世に存在していなかったけど、たくさんの思い出がある。
私の魂が残っている間に書き伝えようと思う。
私が誕生したのは3年前の8月だ。
他にも近くで誕生した星があった。その星は私の親友だ。
私はその星を彼とよんでいる。なぜなら彼も私と同じで名前が存在しないからだ。
彼は私と一緒に旅をした。
太陽が私達を照らす時間になると、まわりにある小石を弾きながら歩きだす。
宇宙はとても広くていろいろな星が存在する。
ある日、私と彼は私達の約50倍の大きさの星に出会った。
その星には陸がない。というのも星の全体がすべて水でおおわれているからだ。
その星は名前があり、ジーザスという名前だった。
宇宙でもこのように全て水でおおわれている星は珍しいと、ジーザスは教えてくれた。
聞けば、ジーザスという名前は自分で名付けただけで、特に意味も無いらしい。
私と彼はジーザスと別れ、また歩き出した。
3ヶ月程歩き、次に出会ったのはS,0153という星だった。彼女と呼ぶべき星だ。
彼女の名前はK,0023という昔からあった星に名付けてもらったそうだ。
私と彼は自分達も名前を貰えるかどうか彼女に聞いてみた。
しかし、K,0023は一年前に大きな星とぶつかり、体が砕けてこの世を去ったそうだ。
その時から一人で寂しく彼女は旅をしているらしい。
すると、その話を聞いていた彼が彼女に私達の旅の仲間にならないかと誘った。
彼女は戸惑ったがいくあても無いと言い、ついてくることに決めた。
1年ほど経過した時だった。私達は仲良く旅を続けていた。
すると目の前にたくさんの星が集まっているのが見えてきた。
遠くから見ると川のようになっていて、その川を挟んでとても大きな星が2つ存在していた。
私達は星たちが集まっている場所に行った。
そして、星の一人にこの集まりのわけを聞いた。
この星の集まりは通称天の川という。
この川は織姫と彦星という1年に1度しか会えないといわれているカップルに挟まれて存在している。
そう教えてくれた。
私達はすっかりその集まりに馴染んだ。
私が誕生してから3年が経とうとしていたとき、私達は旅の途中で見つけた小さな赤い光にみとれていた。
もっと近くで見てみよう。彼女が言った。
彼も私も1つ返事で赤い光の方にむかった。
しばらくすると、最初に見たときは小さな光だったものがだんだん大きくなって、今までに見たことない程の大きさへと変わった。
それに、ひどく暑くなってきた。
私達は身の危険を感じ、戻ろうと考えた。
しかし、体が言うことをきかない。
それどころか、赤い光へと吸い寄せされていく。
焦った彼は体を左右に揺らしはじめた。
その行動がきっかけとなり、彼は後ろから光に吸い寄せられてきた岩とぶつかってしまった。
とっさに彼を掴んだ私と彼女だが、止めることができずに一緒に赤い光へと吸い込まれた。
熱く、体が溶ける痛み。
そのなかでも私達3人はお互いを掴み合って最後の言葉を一斉に告げた。
「ありがとう。」
今回は作品の書き方を変えてみました。
個人的にはラストのシーンで初の言葉が出来るところが好きです。