第三話 唐揚げと時々トマト
「ジョニーです」
「デップです」
「「二人合わせて…」」
「…あ、石川だ!」
クルヌンティウスは黙ってツプタンコスにラリアットを決めた。
「今漫才の練習中だったでしょおおおおおおおおおおお!?なんなの君なんなの!?やる気あるの!?やる気のない子はうちには要りませんって面接で言ったでしょ!?憑依合った…」
「やめて!僕が悪かったら著作権に触れるのとファニーボーンに触れるのはやめて!」
「「どうもーありがとうございましたー。」」
いつもながら冴えわたる漫才路上ライブを繰り広げた。そう、彼らはこれを職業として食いつないでいるのだ。今日だけの話なのだが。
「今日の収穫はカンタブ一個か。」
「本当にカンタブのような人生だなぁ。」
そんなピロートークも今日までなのだろう。彼らはこれから待ち受ける運命を知らないのである。
「よう、君たち、また会ったな。」
「…お前は…石川!?」
クルヌンティウスは驚きのあまり激しく腰を前後した。
「お前たちに言いたかったことが一つだけある。」
「心して聞こうじゃないか…だぜよ!」
緊張のあまりツプタンコスの口調が高知県までワープしたことをよそに石川は語り始めた。
「実はな…お前らがカンタブと呼んでいるあれ…プルタブって言うんだ…本当は。」
「…なん…だと…。」
衝撃のあまりツプタンコスは身を削ってまで作り上げた漫才人生の一片にも価値が見いだせなくなり、出家する決心を固めるのであった。