Ⅴ、暗い部屋、円柱型水槽
≪??≫
「糞っ…!!」
暗い部屋で男は壁を殴った。
壁はびくともせず動かない。
「僕の何処が駄目なんだ…あの子は、あの子は、翼が嫌なのか…?」
男は溜息を吐き、薄っすら発光している円柱型水槽に近寄る。
軽く中を覗き込むと、
ぼこり、と音を立て中に居る【何か】が反応した。
「…星歌……?」
「ああ。元気かい?リサ。」
リサ、と呼ばれた女は星歌の声を聞くと笑顔を浮かべた。
「嗚呼…星歌……私は元気よ…大好き」
「そうか。元気ならいいさ」
「大好き…星歌」
リサの告白に顔を顰めた星歌はこう言った。
「そう言えば、もう1人の所有者は順調に発現の準備をしているよ?」
リサの顔が強張った。
「その子…私より大切なの?」
「ああ。そうかしれないな」
その返答を聞くや否やリサは水槽を叩く。
「嫌よ!嫌!その子を殺して!!!私より大切なんて許さないわ!!」
星歌はそれを聞くとにやりと笑い、こう言う。
「リサ、お前が早く"翼"を発現させれば僕の興味はお前に移るかも知れないな」
「本当!?」
「ああ。多分な」
リサは嬉しそうにこう言った。
「星歌…大好き…私、頑張るよ」
星歌はこう答えた。
「ああ。頑張れよ」
そして近くに在ったボタンを押した。
「もう寝る時間だ…御休み為さい、リサ。」
水槽の中は水泡に包まれリサの姿も見えなくなった。
後には星歌と暗闇が残された。
リサ…162cm位のイメージ。金髪に黒目な感じ。