Ⅳ、噓か真か
≪如月 雷華≫
「あの…」
聞こうと思った。
何故、殴ったのか。
翼とは何か。
目の前に居る痩せた青年に聞きたかった。
だけど口が動かない。
声にならない。
震える息を何とか言葉にしようと唇を開いた。
「貴方は…貴方達は……な、何者何ですか?」
上手く喋れなかったが、彼は其れを聞き、僕を見た。
気のせいか軽く眼を伏せた気がした。
「私達ですか?私達は華月の主治医です」
「じゃ、じゃあ!何でさっき喧嘩をしていたのですかっ?」
彼は眼を伏せ、こう言った。
「君は知らなくていいのさ」
雷華は呆気に取られた。
何故?何故、何故。
僕に真実を教えて。
噓は入らないんだ。
例え其れが辛い真実だとしても僕は受け入れられる自信があるから…。
「教えてください!」
「すいません、君にはまだ無理なんです」
軟らかく、しかしはっきりと示された拒絶の意を雷華は汲み取った。
これ以上言っても聞いてくれない。
そう思った雷華は眼を伏せた。
「華月、帰りますよ」
「あ、はい」
雷華は其れを見て、自分が病室を抜け出してきた事を思い出す。
ヤバイ…!
そのことを知ってか知らずか華月が
「又、会えるといいですね…私、楽しみです…」
と擦れ違い際に囁いた。
「…っ!!!!」
雷華は2人が出て行った後も暫く屋上に立っていた。
琉李…178cm位
星歌…176cm位
琉李は不健康そうな痩せ型のイメージ。黒髪色白。
星歌は均整の取れた体格のイメージ。茶髪。




