Ⅲ、開いた先に
≪翠簾野 華月≫
扉が開く。
「…!」
其処には星歌先生が居た。
「華月?何しているのかな?」
笑顔でそう言ったが、眼は笑っていない。
本能的に怖くなって私は雷華さんの後ろに隠れた。
雷華さんは驚いたようだけど、私は必死だった。
「華月。薬の時間だよ」
「嫌!嫌です!」
先生は笑顔を崩さない。
「あの…」
雷華さんが口を開いた。
「なんだい?ちょっと、その女の子をこっちにくれないかな?」
「嫌がっているじゃないですか」
「薬が嫌いなだけだよ」
「でも…おかしいですよ?」
「ほら、大丈夫さ」
「過剰すぎるじゃないですk「早く!」
嫌だ、嫌だよ!
又、痛い事をされるんだ。
この前みたいに背中に長い針を刺したり、
太い点滴を受けたり、
チューブを繋がれたり…他にもある…
怖いよ…助けて…
誰か……!!
「星歌君?此処に居たんだ。あれ?華月?どうした?」
「琉李先生!」
琉季先生は私のもう1人の主治医。
とっても優しくて、痛い事はしない。
だけど時々悲しそうな眼で私を見る。
「琉李!!良かった!華月が僕の言う事を聞かないんだ。手伝ってくれ!」
「嫌です。」
「何故だ?!お前だって翼の発現を望んでいるだろう?」
「しかし、本人が嫌がっているじゃないですか。」
「翼の為には少し位の犠牲だって…」
「ふざけるな!!」
怒鳴り声が響くと同時に、
ばしん
琉李先生が星歌先生を殴った。
「ッ……何をするんだ!!琉季!」
「貴方が彼女の負担を考えなかったからです。之は制裁ですよ」
「…フンッ」
星歌先生は怒って出て行った。
「……」
琉季先生は溜息をつく。
「あの…」
雷華さんが口を開いた。