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Ⅱ、僕の名前。君の名前。私の名前。
≪如月 雷華≫
自己紹介しようか。
「僕の名前は、如月 雷華だよ」
「ら、いかさん…?」
女の子は僕の名前を反復させる。
小さい子を見ているみたいで可愛かった。
「君の名前は?」
女の子は僕を見つめて、はっとした様に言った。
「わ、私の名前は、翠簾野 華月ですっ…」
「かづきちゃん?可愛いね」
華月ちゃんは僕の言葉を聞いて、こう言った。
「雷華さんは…何者なんですか?」
「え?」
「此処は…此の屋上は……一般の人は入れない筈なんです」
「そうなの?」
「貴方は…何者なんですか?」
「何者って…唯の入院患者さ」
華月ちゃんは其れを聞くとほっとした様な表情になった。
とても安心したような表情で。
「雷華さん…」
「何?」
「ありがとうございます」
「何で?」
「私…久しぶりに人と話しました…」
「え…」
重い病気なのか。
はたまた令嬢とかそういう立場なのか。
「うふふ…嬉しいです…」
そのような気配をまったく感じさせずに屈託無く笑う笑顔は、まるで天使の様だった。
ばたんっ!
扉が開く音が背後で聞こえた。
「…!」
イメージ的には
華月→153㌢㍍位
雷華→168㌢㍍位
の身長差をイメージしてます。