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第1章 第1話

初めまして。

連載小説を書くのは初めてですががんばります。

よろしくお願いします。

一人暮らし。

その名の通り、親元から離れ一人で暮らすこと。

親にうるさく言われない。

遅く帰っても大丈夫。

いつでも友達を呼んでも大丈夫。

遅くまで起きてても何も言われない。

自分の好きなように出来る。

……エトセトラ。

若い間に味わえる自由を謳歌したくて俺みたいな歳のやつはみんな憧れるものだ。

だが、甘い。

なんでも自分でやらなくちゃいけない。親元にいたときはかからなかった苦労が自分に全部かかってくる。

そしてなによりお金がかかる。

そう、金だ。

なにをするのにも金がつきまとう。

食べるも金。

飲むのにも金。

暮らすにも金。

金、金、金、金、金、金、金。

親元にいれば解らないが、生きるだけでこんなにもお金がかかると実感する。

貧乏人には、それはたまらないわけで。

つまり、俺、桜井大和(さくらいやまと)にはたまらないわけで。

貧乏暇なし。その言葉はとても的を得ていて、俺は寝る時間を削って働いている。

今だって、早朝のバイトを終えて帰って来た所だ。

我が事ながら自分の勤労学生っぷりをほめてやりたい。

今の時間は朝の7時ぐらい。

俺と同じぐらいの年齢の奴は今頃から起きるんじゃないんだろうか。

ちくしょう。俺も寝てぇよ……

でも愚痴も言ってられない。

今日の晩飯を今の内につくっておかないといけない。

夜はバイトだし、終わってから作る余裕なんてない。

さて、カレーを作るか。

カレーはいい。

味自体が濃いので何をいれてもごまかしが聞くという意味で失敗もしない料理だ。

どこかで聞いた話、戦地に赴く兵隊さんもカレーが好きらしい。なんでもそのままじゃ食えないものをカレーにぶっこむことで食すことができるからだそうな。

その話に倣ってこんな感じでちょっと賞味期限が少し過ぎちゃったやつもそのままだと危ないがカレーに入れてしまえば食える。

ビバカレー。

残り物が片付けられる、コストが安い、日持ちする。

まさしく、貧乏人の味方だ。

……なんか自分が妙に所帯じみていていやになってきたな。

若い身空で、こんな事考えてしまうのが貧乏人の力なのか……。

少し自分の力に悲しみを抱きながらカレーをつくる。

よし、後は煮込むだけだ。

「いやー、うまそうだねー。大和のカレー」

ふいに後ろから声をかけられる。誰だ!?

「……光一?」

後ろを振り向いたそこには、俺が通う真台学園(しんだいがくえん)の制服を来たつんつん頭の男が立っていた。

「まさしく! 光り輝く一番星とかいて光一とは俺の事でっす」

つんつん頭の侵入者こと、俺の幼なじみでもある先丘光一(さきおかこういち)がなぜか家にいた。

当の光一は何食わぬ顔でそこにいる。というかなぜか誇らしげだ。

「なんでいるんだ?」

「なんでって冷たいねぇ。大和を迎えに来たんじゃないか」

「いや、お前いつも迎えになんて来ないだろ…… 言い方が悪かった。どこから入ってきた」

光一は大仰に体を動かして言った。

どこか動きが気持ち悪い

「正々堂々と! 裏口から!」

「いや正々堂々なら正面から入れよ!?」

「いや正面から行くなんてつまらないじゃん」

「そういう問題じゃねえよ。何のために玄関があると思ってんだよ」

光一はいつもこうやって自分が面白いと思った行動しかしない。

それが、倫理とか理性とかそういった物が二の次になってしまう時もあるのが困りものだが。

昔、ボウリング言った時自ら玉になって転がってった時もあったな……※よい子はまねしないでください。

今となってはピンを倒した時のドヤ顔とかいい思い出だけど、あのときはさすがに他人になったな。

まあ、でも根はいいやつなんだ。きっと。

「玄関は、靴をしまう為にあるんだ」

神妙な顔をして訳のわからない高説をのたまう光一。

「あんなでかいスペースが靴入れるだけに存在してたまるか」

「じゃあなんであるんだよー」

「いや普通に解れよ!? んで? なんでこんな朝早くにうちに来たんだ?」

「今日はなんか早く起きちゃってさー。んで散歩してたんだけど、大和の家からなんかカレーの味がするじゃん? 腹減るじゃん? 裏口から入るじゃん?」

「いや、どんな展開だよそれ」

「そういうわけで、カレーよこせ」

屈託ない笑顔で差し出された手がすごい憎ったらしい。

「やらねえよ。これは俺の晩飯だし、まだ煮込み終わってないから出来てない」

事情を聞くと光一は少し困った顔で。

「マジかよ。どうしよう俺まだ朝飯くってないんだけど」

「知るかよ! 学校行くときにコンビニでも寄って買って食え」

「でもなぁ、大和のカレーうまいから食いたいんだけど」

「別にうまくはないと思うが…… 三日分ぐらいはあるから明後日の夜みんなで食おうぜ。確か家に来るんだろ?」

「それはそれでいいな。解った。じゃあコンビニ行こうぜ!」

「まあ待て、もう少しで煮込み終わるから。あ、終わった」

とてもいいタイミングで煮込み終わる事を告げるタイマーが鳴り響く。

「早くー、早くー」

いつの間にか家から出たのか外から聞こえる光一の声。

「解ったから、もう少し待てって」

腹を空かせた光一がせかすのがうざいのでそそくさと学校に行く準備をする。

家を出れば日が早朝より出ていて、夏の残暑を感じるこの季節ではその陽射しが暑い。

照りつける太陽の下、俺と光一は真台学園へと向かった。


読んでいただきありがとうございます。

普段はシリアスなものを書いてたりするんですが、今回コメディーに挑戦してみました。

少しでもクスってなったら幸いです。

感想、ご意見お待ちしています。

更新は不定期になるかと思いますので予めご了承ください。

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