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予防逮捕サブスク

作者: 妙原奇天

1. 兆候の閾値 — 「衝動は予報できる。雨具のように。」


心拍が一段、跳ねた。

ポケットの中で、やさしい鈴の音が鳴る。


「小休止の合図です。最寄りのセルに空きがあります」


駅ナカの透明な小部屋は、冷蔵ケースみたいに明るかった。椅子がひとつ、鏡がひとつ。座ると、膝の上に薄いブランケットが落ちてきた。ブランケットの端に、ロゴが刺繍されている。〈PreCrime+〉。


「本件、逸脱確率は二一パーセント。先に反省しておきましょう」


壁面スピーカーの声は、歯医者の待合室と同じくらい穏やかだった。

私は両手を膝に置き、指を組んだ。思い当たる節は、いくつもあった。昨夜は眠りが浅かった。今朝は朝刊の社会面を長く見ていた。会社での発言に、上司が苦い顔をした。電車では二度、苛立ちが喉元に上がった。アプリはその全部を見ている。歩数、視線、心拍、ため息の深さ。逸脱確率は天気のように更新される。折りたたみ傘みたいに、私はセルに入った。


ガラスの向こうで、通行人が私を見た。見てもすぐ忘れる種類の視線だ。

五分が過ぎると、スピーカーが言った。


「本件の反省ログを作成しました。“人混みの長い列での不快”にタグ付け。次回から早めの誘導を行います。ご協力に感謝します」


私はうなずいた。たぶん、少し楽になっていた。

改札に戻ると、通知が来た。〈先回りの安心で、今日も健やかに〉。広告はやさしい。私はそのやさしさに、少しだけ安心した。


会社では、透明のセルについて議論が続いていた。総務の回覧メールには数字が並ぶ。軽微な暴力の発生率は下がり、窓口対応のクレームは薄くなり、道路脇の草むらに捨てられる怒声も減ったという。数字は平坦な安堵を示した。上長は机を指で叩いて言った。


「予算、削れそうだな。刑務所も空いてきたんだろ」


部署の隣の席の男——隣人、と私は呼んでいる——は、よく話す。

「週末さ、十五分の拘束、予約したんだ。スパみたいでさ。静かで明るいし、毛布がふわふわなんだよ。『#週末反省ルーティン』ってタグつけると、結構“いいね”がつくんだ」


私は画面を覗いた。彼のタイムラインには、小さなセルの写真が並んでいる。笑顔の絵文字は、透明の壁に反射していた。


「罪の前払いって、便利だよな。やってないのに、懺悔だけ済む。お得感ある」


彼の声に悪気はなかった。悪気の前払いも、きっとどこかで済んでいるのだろう。

私はうなずいた。アプリは通知を途切れなく送ってくる。〈あなたの“次の平静”を準備しました〉。私は新しい靴を買うときのような気分で、ボタンを押した。


夜、家に帰ると、小さな封筒がポストに入っていた。〈PreCrime+プレミアムへのお誘い〉。紙の封筒は久しぶりだった。中には、小さなカードが一枚。銀色の箔で、目立たない言葉が印字されている。


——軽犯罪の試用権(15分)


私は読み直した。

「……試用権」


同封の説明書は親切だった。罰金の対象にならない範囲で、倫理の境界線を“体験学習”できる。拾わなかったゴミ、横入り、私語、小さな落書き。制限時間内であれば、制度側が「教育的配慮」により処理する。改善のための「気づき」を得る。言葉はやさしかった。やさしい言葉ほど、角が丸い。


私はカードを机の隅に置いた。

鈴の音が鳴った。心拍が、一段、跳ねた。


2. 安心の週末 — 「安心は軽い。羽毛の枕は跡を残さない。」


その週末、街は静かだった。

ニュース番組は明るい声で、犯罪件数の推移を示した。グラフはきれいな右肩下がり。司会者は笑顔で言う。


「刑務所の稼働率も、いよいよ半分を切りました。『空の牢』とも呼ばれて——」


中継先の刑務所は、広く、白く、空っぽだった。

取材に応じた所長は言った。


「かつては満床でした。今は夜の気配が薄い。風が通るんです。風鈴みたいに」


画面の端に〈協力:PreCrime+〉のテロップが一瞬現れて、消えた。

SNSでは、透明セルの自撮りが流行している。〈#軽く拘束〉〈#やさしい反省〉〈#罪前払い〉。隣人は新しい投稿を上げていた。毛布の上に並べられたミントタブレット、角砂糖のような「安静ガム」。椅子の角にさげられた利用者用のカード。コメント欄には、「羨ましい」「予約取れない」「それどこ支店?」と並ぶ。


私はカードを引き出しに入れた。引き出しを閉じる音が、静かな部屋に残った。

アプリの鈴が鳴った。〈在宅セルのトライアルはいかがですか〉。画面には、折りたたみ式の小さな「自宅用セル」の広告。透明のパネルを立てれば、家の一角が、簡易な反省室になるという。私はスワイプして、閉じた。


夜更け、通りを歩いていると、ビルの谷間で、小さく笑う声がした。透明のセルの影が並んでいる。足元の白線が静かに光る。セルから出てきた若い男が、友だちに言っている。


「すっきりするよ。十五分。少し泣ける。終わったら、甘い匂いがする」


「罪の匂い?」


「いや、柔軟剤」


笑い声。すぐに消える笑い声。

私はプレミアムのカードのことを、思い出した。封筒の紙は薄く、光を通す。机の端で、わずかに反っているはずだ。


ベッドに横になった。天井の模様が、しばらく動かなかった。

眠りに落ちる直前、アプリの小さな更新が入った。〈プレミアム特典に新しい項目が追加されました〉。私は目を閉じたまま、画面を指で探った。ぼやけた明かりの向こうに、「路上落書き(3分)」「注意義務の不履行(5分)」「会話の割り込み(2分)」と並ぶ。その下に、薄い灰色の文字があった。「推奨:倫理の小分け体験(合計15分)」。

私は画面を伏せた。眠りは軽かった。羽毛の枕のへこみは、朝には消えた。


3. プレミアム特典 — 「特典は線を引き直す。細く、低く。」


審査官に会ったのは、月曜日の昼だ。

私は会社の帰りに、センターに寄った。白い受付。白い廊下。白い応接室。審査官の名札も白い。顔は地味で、声は事務的で、ため息だけが人間だった。


「プレミアムの件ですね」


「特典の——『軽犯罪の試用権』について、確認したい」


審査官は端末に何かを打ち込んだ。

「制度上、罰金や前科の対象にならない範囲内で、行為の“境界感覚”を身につけていただく趣旨です。行為の“重さ”を事前に体験し、同様の衝動の際に、セルへの早期誘導と合わせて抑止効果が——」


「体験学習」


「ええ、教育です。ほら、横断歩道に飛び出す子どもに、白線の意味を教えるでしょう。大人にも、白線の意味は必要です」


「でも、白線を踏んでいい時間を売るのは、白線の意味を変える」


審査官は少し黙り、ため息を小さく吐いた。

「意味は社会が決める。社会は便利さで、意味を折りたたむのです」


「私は……たぶん、便利が好きです」


「皆さんそうです」

審査官は笑った。笑顔は薄いが、壊れてはいなかった。

「ちなみに、使用ログは匿名化され、研究に活用されます。『小分け』は、破壊を避けます。家具の搬入みたいに」


「家具?」


「大きな善悪は、戸口で引っかかる。分解して、あとで組み立てる。運びやすいサイズにすれば、どこへでも通る」


彼はカードを返した。

「よい一日を。よい抑止を」


私は頷いた。

出口の自動ドアが開いたとき、外の光が白い廊下を流した。

カードは軽かった。境界も、軽く見えた。


帰り道、私はカードを一度だけ、取り出した。

画面に「路上落書き(3分)」が浮かぶ。試用の説明は親切だ。水に溶けるチョーク。指定エリア。通行の妨げにならないこと。私は指先で、時間のスライダーをなぞった。三分は短い。短いと、怖さが小さい。小さいと、罪は玩具に見える。玩具は、すぐ飽きる。


私はポケットにカードを戻した。

ビルの壁に、古い落書きが残っているのが見えた。誰も消さなかった薄い文字。古い分、読むのが難しかった。

私は足を止めた。文字はゆっくりと意味になった。


——ここではないどこかで、本気で会おう


私は立ち尽くした。

鈴の音が鳴った。逸脱確率、二四パーセント。

私は近くのセルに入った。毛布はふわふわで、室温は快適で、明かりは均一だった。


「本件、逸脱の気配に“未練”が含まれます」


スピーカーの声が、少し遠く聞こえた。

私は目を閉じた。未練。だれの。いつの。


4. 倫理の小分け — 「小さく破れば、壊さないで済む。」


街は「安全な破り方」でにぎやかになった。

朝の通勤路に、区役所作成の小さなポスターが貼られた。〈試用権の正しい使い方〉。イラストの人物が、白線の手前で立ち止まっている。右下に、QRコード。読み込むと、ガイドが開いた。


——路上落書き(3分):指定エリアの白線内をご利用ください。

——列の横入り(1分):事前に「試用中」の表示をスマホに掲示してください。

——拾得物不返還(30秒):アプリのタイマーが鳴るまでに、元の場所に戻しましょう。

——無賃乗車(30秒):駅構内の「サンドボックス区間」のみ対象です。出口改札は自動で開きません。


小分けにされた倫理は、便利な工具のようだった。使い方さえ守れば、怪我はしない。使い方を守っている限り、怪我はしない。

隣人は相変わらず楽しそうだ。昼休みのカフェで、彼は言った。


「『会話の割り込み(2分)』、試したよ。最初は怖いんだけど、タイマーがあるから、すぐ終わる。終わったら、相手に『今のは試用権でした』って見せる。『なら大丈夫だね』って。笑ってくれた」


「本当に大丈夫だったのか」


「大丈夫を作るのが、制度の仕事だろ。俺たちは大丈夫に乗るだけ」


彼は笑って、セルの写真を見せた。毛布は新色になっていた。季節の色だ。

審査官はテレビに出て、ガイドを説明している。「小分け」は教育の一環で、負荷を軽減しつつ境界感覚を学べる、と。視聴者は頷いた。コメント欄も穏やかだ。「うちの子にも必要」「夫の口の悪さに使わせたい」「介護現場に応用できないか」。社会は応用に熱心だ。


午後、私は公園のベンチで、カードを取り出した。

「拾得物不返還(30秒)」を選ぶ。視界に、ベンチの下の落とし物が入った。ハンカチ。白くて、刺繍がある。私は拾い上げた。タイマーが始まる。三十、二十九、二十八。

私はハンカチを握った。布は薄く、柔らかい。二十。十九。十八。

私は戻した。タイマーが残り十五で止まる。画面に〈よい体験でした〉が表示された。私は苦笑いした。よい体験。どの辺が。


帰り道、横断歩道の前で老人が立ち止まった。信号は青。老人は動けない。私は肩に手を添えた。

その瞬間、アプリが小さく振動した。〈善行の提案:横断支援(2分)〉。

私は画面を閉じた。支援は支援で、提案は提案だ。提案に従った善は、どこまで善か。私は老人を渡し終えた。老人は礼を言った。礼の言い方は、あたたかかった。


夜、ニュースは言う。「重大犯罪、前年同月比で四割減」。同時に、別のテロップが小さく流れた。「市民活動の参加率、横ばい」。ボランティアの現場は、人が集まらないらしい。「やってもやらなくても、評価は同じ」という声が、インタビューに混じった。

私はテレビを消した。暗い部屋が静かになった。静けさは肯定だろうか。不足だろうか。


翌日、センターのロビーで、小さな騒ぎがあった。

「試用権が足りない」と青年が職員に詰め寄っている。

「十五分じゃ足りない。きちんと“体験”するには、もう少し時間が——」


職員は落ち着いて答えた。

「枠の拡大は、倫理審議会の承認が必要です」


青年は肩を落とした。私が横を通り過ぎると、彼は目を上げた。

「あなた、プレミアム?」


私は頷いた。

「どうですか」


「軽い。何も壊れない。壊せない。だから、飽きる」


彼は笑った。笑い方は上手だった。

私の心拍が一段、跳ねた。鈴が鳴った。

私はロビーの端のセルに入った。毛布は洗い立ての匂いがした。

スピーカーが言う。「本件、未充足感が含まれます」。

私は目をつぶった。未充足。どこから来るのか。なにが足りないのか。


5. 中空の街 — 「芯が抜けた街ほど、音は響かない。」


季節が変わる。毛布の色が変わる。ガイドのイラストも、服装が変わる。

刑務所は、さらに空いた。所長は「風が通りすぎて、音がしないことがある」とテレビで言った。看守は掃除の回数を減らし、図書室の貸し出しカードは白紙のまま、棚に戻る。


街は静かだった。静かは、たしかに善だ。騒ぎの少ない日々。怒鳴り声が薄い交差点。商店街のシャッターに、落書きの白線が整然と集められている。白線の中でだけ、言葉が許される。外に出た言葉は、誰かのスマホの画面で、灰色に塗りつぶされる。


私は歩く。歩く先で、隣人がセルから出てくる。

「最近、投稿の反応が薄くてさ。みんな、同じ写真だから」


「毛布の色は変わったろう」


「季節の色だ。季節の色って、見慣れるのが早い」


彼は笑い、少し首を傾げた。

「そういえば、うちの部署、ボランティアの募集をやめたんだ。『提案型善行』で足りるって。誰がやっても同じだから」


「誰がやっても同じなら、誰もやらなくなる」


「そうかな」


彼は鈴を鳴らした。アプリの通知だ。

「悪い。予約の時間だ。行ってくる。十五分」


彼は透明の箱に入った。扉が静かに閉まり、白い光が彼を包む。

私は立ち止まった。ガラス越しに彼を見る。目を閉じ、深呼吸している。毛布が膝に落ちる。タイマーが進む。

私はふと、自分のカードを取り出した。灰色の文字が、いつもと同じ場所にある。「倫理の小分け体験(合計15分)」。私は、画面をスクロールした。最下部に、小さく新しい項目が追加されていた。「代替行為(任意)」。説明はこうだ。


——本気の善悪は推奨されません。代わりに、無害な擬似行為で心の重さを調整しましょう。


私は息を吸った。肺に入る空気は軽い。軽さは、空洞の別名だ。

そのとき、センターのスピーカーが、全館放送を始めた。審査官の声だ。


「本日より、プレミアムの『試用権』特典の対象拡張を検討するための、社会実験を始めます。枠の拡大ではありません。“分割”です。十五分を、三百秒に分解します。秒単位の小分けで、より細かい境界感覚を——」


ロビーがざわめいた。

私は自分の心臓の音を数えた。アプリが呼応する。〈心拍、安定。逸脱確率、低下〉。

私はふいに笑ってしまった。何も面白くないのに。笑いは、軽い。軽いから、上にのぼる。


その夜、私は封筒を取り出した。机の端で、さらりと音がした。

カードを手に取り、玄関を出た。ビルの壁の古い落書きの前で立ち止まる。

「路上落書き(3分)」の画面を開く。

私はチョークを取り出した。アプリが言う。


「指定エリア内でお願いします。通行の妨げにならないようご配慮ください。タイマー、スタート」


私は白線の中に一文字を書いた。

二文字目。

三文字目。


タイマーが鳴った。

私はチョークを離した。

「本気で」


白線の外に出た言葉は、灰色の霧になって消えた。霧はすぐ透明になった。

私はしばらく立っていた。

通行人は、私の足元の白線を見て、何も言わずに通り過ぎた。

鈴が鳴った。心拍は安定。逸脱確率は、低い。

私はチョークをポケットにしまい、歩き出した。


翌朝、ニュースはさらに平穏だった。

司会者は笑顔で言う。「今月も犯罪件数は過去最低を更新。街は静けさを取り戻し……」

別の枠では、ボランティア団体の解散が報じられる。画面の隅に「寄付の伸び鈍化」「助け合いアプリの利用停滞」と流れる。

私はテレビを消した。窓の外では、小鳥が一声だけ鳴いた。続きはなかった。


仕事帰り、センターに寄った。

ロビーには人がいたが、声は小さい。全員がタイマーの音に気を配っているせいだ。

私は審査官を呼んだ。彼は現れた。相変わらず白い名札。ため息は小さめ。


「どうかしました」


「“本気”は、どこへ行った」


審査官は少しだけ首を傾げて、言った。

「どこにも行っていませんよ。置き場所を変えただけです」


「どこに」


「社会の外です。実害がない場所。墓場とは言いません。倉庫ですね。使わない家具を入れておく」


「倉庫に入れた家具は、いずれ捨てる」


「リユースします。倫理の資源化。回るのです」


彼は笑った。笑顔は、やはり壊れていなかった。

私は頷いた。倉庫の鍵は、誰が持っているのだろう。私か、社会か、アプリか。

鈴が鳴った。〈セルの空きがあります〉。

私は断った。ボタンを押すと、アプリは静かになった。


外に出ると、風が吹いた。

透明のセルが並ぶ通りに、風はよく通る。

私は風の音を聞いた。音は、少なかった。

芯が抜けた街ほど、音は響かない。

それでも、風は通った。風は、通り道がある場所を好む。


その晩、私は机にカードを置いたまま、灯りを消した。

寝つけなかった。

暗闇の中で、私はゆっくりと数を数えた。

十。二十。三十。

昔、怒りを落ち着けるためにやった方法だ。アプリの前から、世界にあったやり方。

四十。五十。六十。

鈴は鳴らなかった。

七十。八十。九十。

私は眠った。

夢を見なかった。

朝になって、枕のへこみは消えていた。


数日後、通りで、あの古い落書きが消されているのを見た。

——ここではないどこかで、本気で会おう

白線の中に、新しい言葉が書かれていた。

——ここでなくても、かまいません


私は立ち止まった。

白線の中の言葉は、正しい。正しいから、安い。

私はチョークを取り出し、白線の外に、小さく点を打った。

点はすぐ灰色になり、透明になった。

アプリが震えた。〈代替行為の提案:深呼吸(30秒)〉。

私は息を吸った。吐いた。

風が通った。

風は、軽かった。

軽さは、空洞の別名だ。


私は歩き出した。

歩きながら、カードを指で弾いた。

カードは、軽い音を立てた。

音はすぐに消えた。

街は、静かだった。

静かは、たしかに善だ。

善は、たしかに軽い。

軽いものは、よく飛ぶ。

飛んだ先が、倉庫の棚であっても。


——終——

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