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8.ちょっと待って。初心者のときって

完成した楽譜を見ながらピアノに目をやる。

そういえば、私むかしピアノを覚える時に、白鍵にも黒鍵にも文字が書いてあるやつで覚えたかもしれない。初心者の頃は、楽譜も真っ黒になるくらい意味も”ド”なら”ド”と下に書いたし、覚えてからも意味は書きこんでいた。

白鍵と黒鍵に書かれていて、楽譜に同じ文字と意味が書いてあれば、もしかしたら教えなくても広がって行くかもしれない。

明日、弾き終わった後に商業ギルドの人たちへ相談してみよう。取り合えず、そのサンプルも作らないとだめだよね。

ただ、この予備ピアノを持っていかれたんじゃたまったもんじゃないし、張り付けたりも出来ないし、どうしよう、と悩んだ結果、白鍵と黒鍵を紙に書いて、そこにサンプルとして書き出し、その下に楽譜を１列だけ書いて伝わるようにした。

スラムで文字なんて知らなかったので、日本語で書くよりかは、後から習って変えればいいやと記号などで簡単に書くことにした。

少し見にくいかもしれないけど出来た！と楽譜を上に掲げる。

貴重な紙を譲ってくれてありがとう！と商業ギルドの人に感謝したけれど、よくよく考えたら印刷も出来ないんじゃないか？

え？？じゃあ、これ意味無いかも、と肩を落とすが、もしかしたら印刷できる可能性が０では無い、と自分を励ます。

最悪、自分で印刷機を作ればいいんだ、そうだ無いなら作ればいい。前世もそれで修羅場だったなあ、なんて前世に思いを馳せる。