3.ちょっと待って。何から始めよう
家族にはいつも通りに接しながらも、頭の中でグルグル考える。
そう、何から始めれば良いのか欠片も分からない。
言うても、私が住んでいるところはスラム街で風邪が治ったら、働かないといけない。
5歳で保育園も無ければ、この調子じゃ学校も無いだろう。
なるほど、なるほど。前世で負のループがとかって偉い人たちが、教育をしていたのも頷ける。
薪を魔法で割らせながら、どうやったら良いか考える。
そもそも、楽器が無ければ大前提としてスタートラインに立てない。アカペラも良いけど、アイドルを作りたいんだ私は。
だったら楽器が必要だ。
あのオーバーチュアから始まる楽器の始まりもアイドルの中では重要だ。
それが嫌って人もいるかもしれないが、私は待ち時間のワクワクして止まらない瞬間も1音目も全部好きで、アイドルが出ていなくてもワクワクを掻き立て、今か今かと楽しくて仕方ない。
あの導入も会場の雰囲気も何もかもが大好きで仕方ない。
だからこそ、楽器は必要だ。
アカペラで1人で歌い始めるというのもカッコいいし大好きだけど、オーバーチュアだっていずれは付けたい。
ただ、大前提として私はアイドルオタクだったわけで、ピアノは弾けるが仕組みなんざ知ったことではない。
薪を手に取りながら、どうやって楽器を作ろうか考える。
「この木に音を付与してみたら行けるんじゃね?」
そう、何も現代日本などの常識に囚われる必要なんてない。
ここは異世界だ。
そう考えると、魔法創造も有難い能力のように思えた。
もし出来たら家族に頼って、私が木を取ってくるのもありだ。5歳だけど
そう思い、早速一つの薪をピアノの鍵盤の形に変えるようなイメージで魔法を発動する。
薪にする予定だったので、でかかったからか、1つの薪で5個分くらいの白鍵が出来た。
残念ながら5個の鍵盤だけで弾ける曲を存じ上げないが、今回は付与が上手くできるのか、音が変わるのか、知りたいのはこれだ。
1つの白鍵(ただの木)を握り、頭の中で大体の人が最初に覚える”ド”の音を付与しようと魔法付与を行う。
その木が一瞬あったかくなり、聞き覚えのある”ド”の音がずっと鳴り響く。
あまりにもデカすぎる音に急いで魔法消去を掛ける。
「なんで、こうなったんだろう」
いくら悩んでも分かる気がしなくて困っていたが、そういえば鑑定があるじゃないかと、その白鍵に”鑑定”を使ってみる。
木の破片:1度”ド”という概念が付与されたものの魔法消去された木の破片。
それは知ってるんだよ!!と、その触れれはしない鑑定画面を叩こうとすると、また注意という文字がチカチカと表示される。
この注意書きは、基本良いことが書いてあることが多い、とそんなに鑑定をしたわけでもこの画面を見たわけでもないが、今回もその注意を押してみる。
注意:付与された音は正確に”ド”だったものの、条件などが指定されていなかった為、永続的に音のなる木の破片になった。
推奨という文字もチカチカしているように見えるが、その注意書きというか説明書きを見て、なるほど、と1人で納得する。
確かに、というか考えてみたらそうだ。
前世にあった楽器たちだって押すなどの行為が必要だった。
条件なども付与には必要なんだな、と納得しつつ、どうしたら良いかと頭を抱える。
何度も言うが、流石にピアノを作りたいとは言え、自らの手で1から作り上げるのは難しい、というか普通に出来ない。
私は音楽が好きだし、アイドルも好きだが、ただの一般ピーポーだった訳で、出来る訳はない。
そうなってくると、何を付与してどういった形にしてピアノもどきを作り上げたらいいか困る。
しつこいくらいに推奨の文字がチカチカしているが、こういうのは自分で作り上げてこそだろ、とガン無視を決め込む。
多分、セオリーは無いけど、条件に触れた時や押したときに”ド”の音が鳴るイメージを持てばいいんだろうけど、ピアノの白鍵や黒鍵が硬いのは正直演奏しにくいような気もする。
木の素材を止めるか?なんて考えたけれど、正直スラムで手に入る素材なんて木以外にあるものでもない。
木を木の棒で叩いてもいいが、それだとピアノにはならない。
あの繊細な音色は、どうしてももう一度聞きたいし、ピアノだけで演奏されて弾き語りをするような静かな曲調のアイドル曲だって大好きだ。
こうやって、改めて楽器や音楽を作ろうと思ったら、先人が如何に偉大だったかが分かる。
そもそも本来は調律師も必要だし、木の破片もとい白鍵から音が出る物じゃない。
でも当然だけど、ピアノは弾けるけど仕組みは知らない私が調律なんて出来る訳が無い。
そんなことを考えながら、白鍵を見ていると普通の長方形をしているのに気付いた。
こんな形だから弾けないんじゃないか?と、手前が凹み奧はそのままの形をイメージして、再度作り上げる。それを押すと、ちゃんとピアノのような押し込み方になる。特に気にしたことは無かったけど、本物のピアノは形はきっと違うだろうな、なんて思いながら、そのピアノっぽい押し込みを楽しむ。
その白鍵に、付与魔法と条件をイメージしてかける。
”一般的なドの音を押したときのみ鳴る”と付与すると、その木がまた少しだけあたたかくなる。さっきと違うのはその一般的な”ド”の音が鳴らなかったというところだ。
付与できたかどうかを確認するために、その白鍵を押すと一般的な”ド”の音が鳴り、手を離すと音が止まった。
その作業を後4回繰り返すと、一般的な”ド”から”ソ”までの音が出る白鍵が出来上がった。
家の薪を使う訳にも行かないから、いずれ自分で木を取りに行ってピアノを作り上げよう、と胸に誓い、収納魔法に薪と出来上がった白鍵をすべて入れて家へと帰宅した。
プロローグを書くころには、ピアノを付与魔法で作る案はあったのに、何故かイヤモニやマイクを付与魔法で作り出す案が私の頭にありませんでした。
プロローグ書いた後に、3話でそれを書こうとして、待てよ??(時すでに遅し)となり、まあ!派手だし、マイク自体を作ると音量とかあるから、無くて正解かと思い返しまして、そのラグで3話が遅くなりました。
あれ?TVやカメラも出来るんじゃと思ったそこのあなた!いずれ作ります。ただ、浸透したり映像技術や編集技術は無いので、出来ても第2章、3章辺りです。
まあ、音声技術も無いので、結局マイクやイヤモニは作りはするけど、セレナの作ったアイドルが使う予定は未定です。(いつ作るかも未定)
リアルイベントが決まりましたが、なろうもイベント中なのでなるべく書いていきたい所存です。とか、書いたくせに、イベント間に合いませんでしたね((




