17.ちょっと待って、声がいい
商業ギルドから、今回使った魔法の説明や簡易結界を張る前に呟いていたものの説明、簡易結界を張った後にやっていたことへの説明などを自分の持っている国語力を駆使して伝えることになった。
特に、音を遠くまで届かせる魔法については詳しく聞かれることになった。
アイドルを作るわけだし、ゆくゆくはご家庭にテレビみたいに映像を流せるようにしたり、ライブ会場で色々な色を使った光でアイドルを照らしたり、マイクみたいなのとかイヤモニみたいなものも魔法で作りたいんだよねぇ...
なんて、物思いに耽りつつも、商業ギルドの中で、うっかり口を滑らそうものなら明日からに備えて策が練れなくなると思い、しっかり話を聞いた。
明日からも歌うの私だよねぇ、なんて憂鬱な気持ちも多少なりともありつつも父親に抱っこされ、商業ギルドを後にする。
しかし、少し歩いたところで誰かにぶつかってしまったようで、父親がびっくりした声を上げる。
「うぉっ」
「...あ、えっと、ごめんなさい」
「いや、こっちこそぶつかってしまって悪かったな」
「あ、...いえ」
ぼそぼそと自信が無さそうに、顔が俯いたまま父親に謝る少年。
年は私と同じくらいで、髪も切ったりしてないのか髪がぼさぼさで前髪だって長い。
でも、聞こえてくる声が、凄く良い。
顔は俯いてるから全くと言っていいほど見えないけど、声は死ぬほどいい。
「パパ!」
「どうした、セレナ」
「...あの、僕はこれで」
「ちょっと待って!あなた名前は?」
「...な、まえ?」
「そう!私は、セレナ。貧しいところに住んでいるから苗字は無いけど」
「...あ、のなんで」
「いいから教えて!」
「...ぼ、僕はイスナ、」
「イスナね、覚えた!ねえ、イスナ、昼間の広場の音聞こえた?」
「...お、おと?」
思い返してみると、とんでもない誘い方だったと思う。
ソロデビューさせた訳でも、ソロデビューさせる気はないから広場で歌わせるわけにも行かない。
庶民かスラムの人か分からないけど、そんな人を数年働かせることもせず、この世界に浸透すらしていない変なもののために拘束させるという、この世界では考えられないほどの暴挙に出たんだから。
でも、ピーンときたもんは来たし、ダイヤの原石になり得て、二度と会えないかもしれないイスナをみすみす手放すわけには行かなかった。
「そう、音!私、音楽を...アイドルをこの世に広めたいの!手伝ってくれる?」
「お、おい。セレナ!」
「...お、オンガク?ア、イドル?」
「晴れの日、お日様がちょうどてっぺんに昇るころ、庶民街と貧しい人たちで区切られてる辺りにある広場に来て欲しいの。それで興味が沸いたらアイドルになって!」
本当に酷い告白の仕方だった…と思う。
「...ぇ、いや僕」
「お願い!」
「...1回見に行くだけなら」
「え?イスナくん本当に良いのか?」
「やった!!じゃあ、晴れの日、お日様がちょうどてっぺんに昇るころに広場で会おうね!!」
このころのイスナはトレス並みに自信が無かったのを良いことに無理やりお願いを通して、イスナを心配する私の父親をガン無視でその場を分かれることにした。
話の流れや、誰がどう出会うか、今後どうするかは全部決まってるんですが、おおまか過ぎて、前回の切り方からどうしたらいいか死ぬほど悩んでたら、1月経ってました…
本当に申し訳ございません。
不定期投稿ではありますが、これからもよろしくお願いします。




