9.ちょっと待って。曲を作る必要があります!
これから先、アイドルの歌ってみたを続けてアイドルもどきを作るのは嫌だ。だけど、色んなアイドルの曲を聴いて参考にするのは良いことだと思う。
歌ってみたが悪いとは言わないけれど、私が納得できないものは仕方ない。だからこそ、新しく曲を作る必要がある。
私が作るかどうかはさておいて、新しい曲は欲しい。
沢山の音楽に触れれば触れるだけ影響は受けるけど、参考には出来る。
それに、前世の記憶が何十年後も色あせずに残っているとは考えにくいし、人間は声や音から忘れていくという。
だからこそ、これが何時まで続くか分からない。前世に干渉は出来なくても、前世の音楽を聴いたり探したり音だけは出来ないかな。
そう思い、頭の中に何時も音楽を聴いてたサイトを思い浮かべ、そこで検索して音楽を聴くイメージの魔法を作ってみる。
パンッと電気が走り、はじかれた感覚がした。
調べることも無理なのかな、なんて思いながらも、無い電波を繋げるイメージも加えて魔法を作る。
すると、頭の中に検索画面がホワンと出てくる。
成功したああ!とルンルンになりながら、1番最初にこの世界で弾いた曲を聴く。
映像を見ることは叶わないけれど、これが出来ただけで奇跡だ。
これが記憶の中で本来は聴けてなくて、私が弾いてる時よりも明確なイメージによる幻聴と幻覚の可能性だってある。
だからこそ、これが実際に聴けるものを作りたい。なんせ私は作業中に音楽を聴きたい人間だ。
スクリーンを作っても円盤が見れなかったら病むし、何時までも前世に縋っても居られない。
アイドルに思いを馳せて作ろうとしている時点で縋っているのかもしれないけれど
これを他の人が聞くのは良くない気がする。だからこそ、私だけの収納空間に入れて絶対に誰にも見せない、この遮音結界を作っているとき限定のものを作ろうとピアノなどを作る時に出た木片を丸いドーム状に魔法で変形させて、無理やりそれに付与を行う。
前世は魔法が無かったから、他にも素材が必要だったし、なんか黒いあみあみとかあっただけで、ピアノみたいに魔法の力技で聴きたい曲を流してくれるスピーカーが作れないだろうか、と考えた。
というかスラムなんだから手に入る材料や持てる物にも限度があり、木しか使えなかった。
まあ結論から言うと、今回の木への付与は流石に厳しかった。
ピアノには出来たのに!と思うが、電波すらないため厳しかった。
前世には木のスピーカーや、似た機能の木製はあったが、部品が足りないし電波があってのものなんだろうな。そのドーム状の木を指で突く。
でも、ひとまず音楽が聴けてるのか思い出してるのか分からないが前世の検索と音楽を何十年経っても聞ける可能性は出来た。
そうなってきたら、ひとまずアイドルを集めて、私かもしくは私が今後弾いていく中で、曲が作れるようになったりしてくれる人が居たら新曲は出来る。
他力本願だけど、趣味で歌詞は書いたことはあってもメロディを考えたことは無いんだから仕方ない。
けど、最初は私が作りたいんだよなぁ。
兎にも角にも新曲をアイドルの特訓をする頃までには作らない事には話にならない。
音楽が無い世界で、クラシックではなく、”アイドル”を作りたい、そう思った時から覚悟は決まってる。
本当は、遠くからきゃあきゃあしたかったけど、広まったら、いつの日か出来るかもしれないし。
そう言い聞かせて、伸びをする。
どの道まだ1人も集まってないのに、曲なんかある訳も無いし、自分が方向性を決めてても実際違うことになるかもしれない。
でも、私が作るアイドルだ。私が1曲目は作りたいなぁ。
そう思いながら、ドーム状の木をツンツンとまた突く。




