プロローグ
長かった。いや、長すぎた。
今日、ついに私の育成したアイドルのデビュー日だ。
受け入れられるだろうか?いや、受け入れさせる。
私はアイドルが好きなんだ。
前の世界では、アイドルは大衆ものと言われ馬鹿にされた時期もあったと聞く。
踊るなんてはしたないと散々言われたし、この世界に音楽を広めたいなら、アイドル曲ではないのは分かってる。
でも、そんなの知ったことじゃない。
私は、アイドルが好きで、アイドルを広めたいんだ。
「えっと、大丈夫かな?」
「レイ!何言ってるの!あれだけ練習したから、大丈夫よ!」
「でも、放送?するんでしょ~?許可、よく下りたね~。」
「アインス。そりゃあ、みんなの人生が掛ってるんだもん。当たり前じゃない!」
「…セレナ。俺、ちゃんと着れてる?」
「イスナ。そりゃあもう完璧に!」
「2組同時なんて、俺らに自信がないんだ…」
「そういう意味じゃないから、トレス。」
「よくこんな変わった人達を集めたね。」
「しかも、4人なんでしょ~?」
「…そもそも音楽自体なかっただろ」
「受け入れてもらえなかったらどうしよう」
「そりゃあ、ルームトンには厳しいだろうな。受け入れられるのは俺たち、Loppuだからな」
「アイザックだけですよ。私は、レイ様と敵対すると思ってもいませんでした」
「ルークはそうでしょ。普通、仕える側が反抗することもこんなことをするのも有り得ないもん」
「アイザック、ルーク、リュケの3人か。手強いな。」
ルームトンは、正統派アイドル。ロップは、ラップを取り入れたアイドル。
どちらも音楽を広めるには向いていないし、万人受けもしない可能性すらある。
でも、私が好きな音楽とアイドル達なんだ。
「ルームトン!行くぞ!!」
「ロップが一番だ!行くぞ!!」
私は、それを見て映像を映すために用意した演劇で使うステージの前に移動する。
演劇はあるのに、音楽ないの意味わかんなかったんだよなぁ。
この世界には魔法がある。レイのお陰で、この国に映像を流す許可は得た。
映像魔法を、この国の人たちが集まる場所や貴族で見たいと申し出た人たち、そして王様主催のパーティー会場へ同時に映し出す。映し出されてるか不安なので、自分の前にも出した。
すぐに音楽を流すわけでも映像を流すわけでもない。幕は開いて、ルームトンは立っているが、照明は照らさず、頭の中で思い描いた映像を送る。
ルームトン、ロップ
初公演
開幕まで暫くお待ちください。
マイクや拡声器などもないので、イヤモニみたいなイメージで編み出した音響魔法をルームトンのメンバー4人の口元へ出す。この世界には、煌びやかな色の違う照明もないし、アイドルなんて居なかったから照明できる人もいない。
いずれは作り、照明さんの仕事も作る予定だが、今日は良い。攻撃にも使えない、照明魔法を使う。
大丈夫、できる。と深呼吸をして、頭の中の映像を始める。
ルームトン
音楽開始まで
3
カウントダウンする映像を流し、0を表示した瞬間レイから順番にイメージカラーの照明を当てていく。
ようやく
ミュージックスタートだ!
レイは、国の王子でキラキラしてるから黄色
アインスは、名前が落ち着いてる気がするから水色
イスナは、けだるそうすぎて青が合うけど、被るので緑
トレスは、これまた青系の色だが被るので、紫
という違和感を通り越してぶっ飛んだイメージカラー
アイザックは赤
ルークは、別チームのため有難く青
リュケは、唯一の可愛い系なのでピンク
とこれまた、曲とは似ても似つかないイメージカラー
セレナは、主人公です。