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ダメ男ホイホイ決意する




あれから暫くベッドの上で放心状態になっていた。



どのくらい時間が経っただろうか。



ふと扉がノックされる。



「お嬢様、お茶と軽食をお持ちしました。」



先程、両親と医者を呼びに行ってくれたメイドさんだ。



テキパキとお茶の準備をする彼女の手元眺める。



何一つ無駄の無い動きに見とれていると



「お待たせいたしました。」



椅子を引いて待ってくれている彼女の元へ駆け寄る。



「ありがとうございます」



そう言って椅子に座るとメイドさんは驚いたように目を見開いた。



あれ、私何かしたかな…


そう言えばお茶のマナーとかよく分かってない、どうしよう…。



内心焦りを感じていると


「お、お嬢様が、ただの使用人ごときにお礼を…!?」



口元に手を当て目には涙が浮かんでいる。



お礼を言っただけで泣かれるって、リリアナは一体いままで彼女にどんな扱いをしてきたのだろうか…。



そんな姿を横目に恐る恐るカップに手をつける。


美味しい。

一口含むと、口の中にほのかに甘い茶葉の香りが広がった。

体の奥から、ふわっと緊張がほどけていく。



軽食のお菓子もどれも美味しかった。


バター香るフィナンシェにサックリホロホロのアーモンドクッキー。


体の力が自然と抜けて



「美味しい」


自然と笑顔になっていた。



そうだ。クヨクヨしている場合じゃない。



来世こそは幸せになる。



死の間際に誓ったのは紛れもなく自分自身だ。



バッドエンドしか待っていない悪役令嬢に転生したからと言って



今死ぬ訳では無い。




破滅?断罪?



そんなの全て回避して今度こそ幸せになってやるんだから!!!




私は残りの紅茶を飲み干して勢いよく立ち上がった。



さて、これからやらなければいけない事が山積みだ!



まずはそう、この体の本来の持ち主



リリアナについて調べよう。


彼女はどんな人で、今は何歳で、周りとはどんな関係なのか。



他にも知りたいことは山積みだ。



メイドさんには疲れたから少し休むと伝え部屋を出てもらった。



「よし、やるか。」



私は机の上に並べられた手帳や手紙、アクセサリーボックスに手を伸ばす。


私はまだ、成長した"悪役令嬢・リリアナ"のことしか知らない。



けれど、今度こそ——


私は私の幸せを掴んでみせる。

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