ダメ男ホイホイ終わりの始まり
私が一体何をしたと言うんだろうか。
ただ───
ただ幸せになりたかった。
それだけなのにどうして。
薄れゆく意識の中、今まで付き合った男たちの顔が浮かび上がってくる。
初めての彼氏は少しヤンチャだが頼りになる一個上の先輩だった。
初デートは遊園地でアトラクションに乗ったり、お土産を見たり、ベンチに座ってアイスを食べたり。
「優香、これ初デートのプレゼント」
そう言って渡してきたのは、ここの遊園地でしか売ってない可愛いストラップ。
「え、良いの?ありがとう。すっごくうれ…」
あれ?違和感を感じ、言葉が詰まる。
彼とはほぼずっと手を繋いでいた。
先程行ったショップでもずっと手を繋いでいた。
今日はまだ、さっき行ったショップ以外にストラップが売ってるような所には行っていない。
嫌な予感がしてストラップの裏を見る。
ここの遊園地はお土産の値札を購入時に外してくれる。
しかし、私の手の中にあるストラップにはしっかりと値札が付いていた。
「ひろくんコレ…」
彼の顔を見上げると
「バレちゃった?てか、ずっと手繋いでたのに今の今まで気づかないのヤバ(笑)」
好きだったいつものいたずらっ子のような笑顔でそう告げた。
これがきっかけで私は初めての彼氏に別れを告げた。
その次に浮かんできたのは、次に付き合った同級生だった。
部活動が同じで、話も合うし部活後はしょっちゅう長話をしていた。
告白をされた時、恋愛感情があったわけではないが
話も合うし、良い人だったからOKした。
しかし、付き合い始めると…
「いまどこ?」
「なにしてるの。」
「家ついた?」
「5分も返信ないと心配になる」
「お願い。心配だから返信して」
とほぼ毎日下校後沢山のLINEが届き
挙句の果てには自傷行為の画像まで送られてくるようになりこの恋も幕を閉じた。
何だこの走馬灯、地獄か?
他にも、浮気男、金遣いの荒い男、ストーカー寸前の男——。
よくもまあ、こんなに見事にダメ男ばかり引き当てたものだ。
ダメ男のデパートか。
ただでさえ車に突っ込まれてこの世とおさらばって死に方なのに
走馬灯が歴代元彼(ダメ男)の走馬灯だなんて。
あぁ、神様
もしこの世に本当に存在してるなら
私にもう一度チャンスをください。
来世こそは絶対にダメな男なんかに引っ掛からず幸せになってやるんだから。
そう思った瞬間、走馬灯は終わり意識が途切れた。