昔の夢
空港は昔から私が一番好きな空間だった。
室内は湿度が感じられないくらい快適で、少し人工的な匂いはしたが透き通った空気を感じる廊下を歩くときは、私は何にもつまずかずに自由だった。
同時に空港は「マージナルマン」であることを一番直観的にわかる場所。
昔から「日韓関係の架け橋になれたらいいね。」とよく言われた。
聞いている最中に、いつの間にか道義感のように日韓関係の改善をよくかたるようになったのいも、実際にできるという自信でいっぱいだったことも好きだった。
日韓両国の空港は私が選べる可能性だけでいっぱいな気がした。
そして私はいつまでもどっちかを選ばずに生きていけると思った。
「架け橋」自体が私の未来だと考えた。
しかし、時間が過ぎていくたびに本当にそう思っているのか、またはコンセプトに飲み込まれたのか段々わからなくなった。
そうして空港での切ない感覚も段々薄くなっていく。
けれど今日だけはそのほのかな思い出を満喫しながら空港を歩きたかったが、思わなかった伏兵のせいであせってしまった。
入国書類を書きなぐる。
焦っているのにペンの止まらない滑り音は潔いリズムを作り出した。
私はこのリズムをよく覚えている。
書くときは自覚はないけど数秒後、リズミカルな楽譜が頭の中に残る。
そうして入国収束を終えて、集荷物を取ったとたん素早く長野行き空港バスに乗った。
急いだおかげで、2時間の感覚で予約しておいた二つのバスの中、前のバスに間にあった。
少し前、飛行機で外を見ている時は空に穴でもできたように凄く降り始めた雨が今は鈍くなった。
そらの涙を受け入れるには下の世界はあまりにも冷たい。
私の心と同じ温度になったと思ったら何となくほろ苦くなった。
それもちょっと。
夜景を向けて橋を渡る時は晴れはこないかと思ったが、ネオンサインが輝くまちが開く。
寒さなどどうでもいいと透き通るレストラン、明るい人たちでまちは明るい。
私のまちも明るくなれたらどれほどよかったか。
私の夢は未だ寒いまちを歩き回っている。
パン、パン、パン。
スパイクがコートを割る音が瞬間。
私は高校を選ぶ三つの選択肢の中で、一番よい決心をした。
人には誰でも玉を破り、大きく成長できる瞬間がある。
しかし誰もがその瞬間を経験できるわけではない。
難関だが、こえることができる適切な壁が建てられ、それを共に越える友達と先生。
この全てが揃った時、我々はその甘い瞬間を味わえる。
私が選んだ高校は学生が成長できるようにいい姫垣を作ってくれるところで、そこで成長する間私は幸せだった。
凄く悩んで選択したため、その選択をした私自身がとても満足だった。
世界がきれいにしか見えない時期だったと思う。
私は未だその選択をした初冬の夢を見る。