日記、そしてファイルの内容(1章終わり)
2017年四月のある日。
国語の時間だった。
4割を雑談で始めることで、多くの生徒に人気を集めていたった先生の授業。
その先生が突然、私たちに重い話題を投げ出してきた。
「お前ら、大人になるということはいったい何だろう?」
「自由に言ってみて」
色んな答えが出た。
その先生に好かれるため、馬鹿げた答えをした人。
「辛くても強くなること、それが大人の道です」と真剣に答えた人。
そして重い話題に対する答えが求められる時。
それを避けられない生徒もいる。
先生の次の視線は私を向いた。
私はじっくり考えてこう答えた。
「大人以前には「完全には」も取れないのではないでしょうか」
「まるでアイデア思う浮かんだ瞬間悲しくなる小説家のように」
「なぜ?」
「そのアイデアをもうすでに知ってしまったので、その作品を完璧には楽しめません。」
「ほお」
「大人になるのもそういうものかと思います」
「多くの可能性を得ると同時に、多くの可能性を失うこと」
悲しい予感がしたからかな私は言葉を濁した。
しかし、心を入れ替えて強くいった。
「それで、私は大人になっても今の可能性を大切にしていきたいです」
私が「高校生活の間作った一番大切なこと」
それは私が「文集と日記を読んだことで完成された」
私は再びパソコンをつけた。
そしてパスワードを入力した。
パスワードは『本物の「1」になろうとする君に』
パスワードが解除された。
そしてその中には、ファイルが一つあった。
タイトルは「0の境界人」
「1」の境界人 様
長い間お待ちしておりました。
「0」の境界人と申します。
「外」から来ました。
目線は動かなかったが、世界の焦点が揺れる。
ワードファイルから焦点がピンボケされる。
全ての消失点が廊下を分ける雄一なガラスドアに繋ぐ。
その先に歩んだら、見えるのはさっきの文芸部員。
「おめでたいことです」
「やっと2から1を作る小説家の資質が揃いました」
「長い間お待ちしておりました」
「私は0の境界人、外から来ました。