第37話 導く力
◇
「マリナどう思う?
マリサをベースにミスリル骨格&各部に【魔道躰:磁雷神】を組み込んで見たけど」
【魔道躰:磁雷神】は磁力を制御するスキルなんだよね。
これに磁属性付与した武器防具などを闇穴から取り出して自動装着するそんな感じの変身ギミックを興味本位で組み込んでるよ。
磁力の力で肉体の反射速度も向上してます!
ドリーが色々な格好良い装備作れる技能があるんだから活用したいと思うのは当然なのです。
『これにマリノが部分的に【再誕】で作ったミスリルと神肉を一体化した魔銀神筋を組み込んでいく感じなんだよね』
「そうそう」
私達は今作れる最高性能の躰作りに励んでいる所なの。
マリサの髑髏王笏は凄いのは分かるんだけど神肉ブーストした私の【鑑識眼】で見れないスキルだらけで訳わからない感じなんだよね。
マリサにどんな能力があるのって聞いて見たら
「私は永遠と思える様な時の流れに漂っていた間に色々損耗してしまっていてスキルも殆どが不完全な物になっています。
【世界記憶】が私の私たりうるスキルなのでこれが損耗無く残っているのは奇跡と言えるでしょう。
他のスキルで分かる範囲なのは
【増幅】【短縮】【思考加速】【多重詠唱】
【霊躰】【分神】【神言】[破損]…………」
長いので割愛、と言うか後半呪文の様で聞き流しちゃったし。
スキル数は元神様だから膨大だけど今は殆ど使えないんだって。
キュウビ様と同じ様に私達から魔力を受け取れば徐々に復活して行くだろうって言ってたよ。
私達の伸び代が凄い事になってるね〜
「一先ずこれで完成かな〜
チヒロの肉体で色々やった経験が生きたね!
肉体の伸縮や切り替えもスムーズ。魔眼も体内で切り替え可能!
それじゃ早速入って見ようかな〜マリサも準備は良い?」
◯マリサ
準備は万端です。何時でもどうぞ
私は今の躰から魂を抜き出し新たな肉体へと移した。
マリナは今のボディから血を吹き出させて新しいマリサ入りのボディを染め上げて行く。
傍目から見たらちょっとグロいかもね。
私はマリナの血、その全てが私達の中に入った事を確認して【同化】した!!
その瞬間思いも寄らない現象が起きる!!
「『なに!???何が起きてるの?????』」
なんか私達発光してます!!
スキル使ってないのに!!!
……
……
◯キュウビ
ほうほう〜これはこれは
オモシロイことがおきてるの〜
ワラワが見るに神格を得たようなのじゃ
◯ハク
マリノ・マリナお前達は神格を得て神の領域に入った様だな
「『なんで??私がキュウビ様の肉を取り込んでマリサが神の残滓だから???』」
◯キュウビ
とにかくスキルを見てみるのじゃ
そう言われて急いでステータスを確認してみる。
そこにはあるスキルがなんか金色で輝いてた。
ステータス表記って色変わったりするんだねぇ
そんな事思いながら見たスキルをキュウビさまに答える。
「『新たに手に入ったのは【導神】ってスキルでした。どんなスキルかキュウビ様は知っていますか?』」
現役神様のキュウビさまに聞いてみる。
知らない事は聴く方が早いからね!
◯キュウビ
そのスキルは信仰者が増えれば増えるほどツヨクなりチカラがみなぎるスキルじゃの
◯ハク
マリノ・マリナそのスキルは信仰される程魔力や生命力や純粋な力が増すのだ。その“想い”は変換され魔力・神力・生命力を補う力もある。
マリナ普段より魔力が切れないとか疲れ無いとか色々ある筈だが身に覚えは無いか?
そう問われたのでマリナが答えるよ。
『そう言えば最近配信してる時に妙に力が湧いてきたりしてた気も……?』
白姉さまが教えてくれる。神様のシステムって殆ど知らないから助かるね。
◯ハク
それが【導神】の力だ。今回マリノ・マリナ・マリサと同化した事でより顕著になりスキルとして昇華されたのだろう。
私の見る限りお前達はこの世界の亜神としても属してる筈だ
ほえ〜何か凄い事になったね〜
『つまり配信を見てる人達が私の信者って感じなのですか?そして彼等彼女等が私達を想い信仰が私の力となる?』
◯キュウビ
それであってるのじゃ
アリーとして配信してもそれはおヌシらの力となる
神力はスガタに拘らないのじゃ
「配信やって人が増えれば増えるだけ私達は強くなるって事か〜。確か今のアリドリチャンネルは登録者数一億人弱位だったからもっと上を目指さないとね〜」
◯キュウビ
エルフ界で英雄になっとるからそっちの信仰パワーも入ってるハズなのじゃ
◯ハク
それだけじゃない獣人界もマリノが母様と世界を救っている事を知っているからな。そこからの信仰も多少あるはずだ
獣人界でぐーたらしてただけだったのに信仰されてるとかちょっと申し訳無いなぁ
◯リリーファ
マリノ様は3900年苦しめられたオークの侵攻をほぼ単独で討ち滅ぼした大英雄ですよ。
エルフ界各国で銅像・絵本・劇、オークより奪った魔導技術による映像魔導具等あらゆる媒体でその英雄譚は未来永劫語り継がれる筈です。
光の精霊様がミスリルの鎧を操りオークを討ち滅ぼした伝説として!!
アレ?エルフ界でそんな感じになってるの?
予定ではリリファちゃんを英雄にする感じだったのに光の精霊様に信仰が集まったのね。
そこにドリーとチヒロがやって来て自らの変化を教えてくれたよ。
◯ドリー
マリノ様マリナ様今回新たな亜神へとなられた事を大変嬉しく思います。私は只の眷属だった筈なのですが私のステータスにも変化がありまして【眷属神】になっていました。
後【アドリの加護】と言うスキルも増えてますね。
チヒロもそうなんだよね。
そう促されたのでチヒロもそれに合わせて答えてくれたよ。
◯チヒロ
はい。ただのモンスターだった私にも【眷属神】と【アドリの加護】は付いています。なんと言う事でしょうか!
私の持つ全てのスキル能力が加護の影響で向上していて今からダンジョンで力を試したい気持ちでいっぱいです!
「アドリって私達の名前??アリドリじゃないんだ……
まあチヒロが暴れたいのは構わないけど程々にしてね。後で手合わせも付き合ってあげるから………………」
あ!!良いアイデア思い付いた!!
「話は変わるけど、マリサ【分神】って分身を作れるスキルなんだよね?それを使ってマリノとして活動してみてよ」
【分神】とは力を分割して複製を作るスキルなんだよ。
元に戻る事も可能なの。
私の【分霊】も似たスキルだけどこっちは魂を分けるだけ【分神】は物理的に肉体を複製して魂を分割する。この場合髑髏の王笏が能力半分で増える感じかな?
◯マリサ
私がですか?記憶媒体が増えるのは便利ではありますが力も落ちちゃいますよ?
「落ちた力は私達でカバーするよ〜やって欲しいのはチヒロと二人でマリノナに成り代わって貰いたいの!!」
これにはちゃんとした理由がある。
「【導神】って信仰してくれる人が多ければ多い程良いでしょ?アリドリチャンネルは順調に登録者数伸びてるけど最近は鈍化気味なの。そこに新たな風を入れたい!私考えました。今まで敢えて日陰に生きていた私達本来の姿たる痩身の美女姉妹マリノ・マリナを表舞台に立たせようとね!」
『マリノ。チヒロとマリサに私達の変わりに表舞台で活躍して貰うなら、普通にアリドリとパーティ組めば良いんじゃないかな?華やかになるしね。
探索者マリノナはG級スタートだから組める様になるには時間がかかるけど私達が推薦したら多少早く昇級出来るよね』
◯チヒロ
戦えるなら何でも構いませんよ。マリノ様として思う存分に私の力を見せ付けてやりましょう。
マリサ貴方は妹としてマリナ様になりきり私をサポートお願いしますね。
◯マリサ
チヒロ勝手に色々決めすぎよ。でもまあ私は後方で良いわ
計画性なんてゼロの思いつきだけど悪くないアイデアだと思い始めたよ
「それじゃアリドリチャンネルとマリノナチャンネル両方で登録者数と視聴者数増加を目指すよ!
切れ長和美人の浜崎アリー桃金髪褐色巨乳美少女土屋ドリーとはまた別の美しさを持つマリノナ姉妹の参戦は話題性抜群!
そして信仰を集める為に海外のダンジョンも攻略しまくって配信しまくってやるの!
ダンジョンブレイクが怪しまれてるダンジョンから長年攻略されずに強くなってるダンジョン全部攻略して行こうよ!
私達は一応神様なんだしこの世界を安定させる為にダンジョンで暴れ回るのは正しいお仕事だからね」
◯チヒロ
いつも見てるだけで物足りないと思っていた所でした。マリナ様達の容姿はとても優れているので今からコーディネートが楽しみだわ〜
ちゃんと私がマリサの分の服も繕ってあげるから安心していいわよ!
◯マリサ
私は戦闘は苦手なのですが魔法師として戦闘は出来ます。チヒロには負けませんよ
チヒロ服はお揃いでお願いしますね
チヒロとマリサも結構乗り気で良き良き!
◯ドリー
パーティの役割分担を考える必要は無いとは思いますが一応最初は私達が指導している体でやりましょう。
そうと決まれば早速告知の準備だね!
―備考―
【分神】遠い遠い過去にマリノ・マリナの前神がマリサを逃がす為に使ったスキル