第30話 異世界探訪エルフ編③
マリノ視点
◇
「ほれリリファ好き嫌いせずにちゃんと食べよ!
ここのエルフは肉も魚も食うのだからちゃんと食べないと心身に悪い影響がでるぞ」
〈ハク様私はもう1000年以上食べ物は食べていませんでしたから食べなくても大丈夫です!
ミルクは良いですがお魚は臭くて苦手なので……
あっあががが〉
……
モニュモニュ
……
モムモム
……
〈意外とイケますね〉
◯キュウビ
まさかハクが母性にメザめるとはの〜
◯マリナ
食べなくても生きていけるから食べ無いは良く無いよね
私達も別に人間的な食事不要だけど食べる方が心が豊かになるものね
◯ドリー
赤ちゃんでも歯が生え揃ってて良かったよ
美味しく食べるには歯が大事だからね
◇
(※第29.5話がここに入ります。)
◇
そんなやり取りがあったのは数ヶ月も前の事
私達がオークに占領された土地を取り戻す為に単身で切り込みまくってたので、一時期よりだいぶエルフ側も持ち直したらしい
【天網】で逐次情報確認出来て便利!
取り返した地域で【光糸網】を使えば神様の支配力が上がってオークの再侵攻を暫く抑えられるんだとか
まあ私はそんなの関係なく絶賛オークの死体集めだね
強いオークはデカい魔石持ってるしオークの肌に刻まれた紋様も興味深い
自らを改造し魔導具化する【魔導躰】って技術があるんだけどこれがとてもとても便利なんだよね。
魔石と肌の紋様セットで発動するらしくそれを集めるのが最近の私の趣味になってます!
お肉なスライムの私に組み込めそうな技術なので研究して取り込む予定なの
本当は全部キュウビ様の再誕エネルギーに回した方が良いんだけどキュウビ様は急いで無いって言うから趣味に回しちゃう!
◯キュウビ
ヨイのじゃ時間はたっぷりあるのでな
それにマリノーがやる事をミルのたのしいのじゃ
◯マリサ
私の世界でも似た技術があった様な気がします。
うー、でも肝心な情報が抜け落ちてるので役立てそうにありません。
◯ハク
マリノどこにおる
早くオークの食糧庫に向おうぞ
マリナの闇穴で全部掻っ攫ってやるわ
◯リリーファ
ハク様私たまごサンド食べたいです
◯ハク
分かった。そうしよう
マリノもそれで良いな
「たまごサンド美味しいよね
地球の料理レシピ本をマリナに色々買ってもらって良かったよ。
調味料違っても参考になるしね」
オークを蹴散らした戦場跡でそんなユルユルな会話を私達は話していた。
流石に異世界に来てオーク狩りも安定すると緊張感は無くなって来ちゃうよね。
オークの要人がいる所を優先して狙ってたし侵略側のオーク軍自体が相当弱体化してるってのもある。
私の取り込んだ脳から記憶を読み取る力がマジで利便性高すぎ!
でも見たい情報は中々手に入らないんだよね。
こっちに来てるオークは職業軍豚か雇われ傭豚
農豚さんやオーク世界の侵略した国から徴兵した民豚とかそんな感じ。
技術班はこっちに来てないんだよなぁ
欲しいのは入れ墨と魔石を使った肉体の魔道具化技術、他近代的な魔法武装の数々なのに
あ!
良いこと思いついちゃった!
「皆さんに一つ提案があります!」
◯マリナ
なに?
◯ドリー
また変な事思い付いた顔していますね
◯リリーファ
たまごおいしいです
◯マリサ
何でしょう?
「私は次の要塞攻略時にオークの重要人物を捕まえて記憶を取り込んで成り済まそうと思います!!」
◯マリナ
記憶取り込むの何時もやってる奴じゃない?
◯チヒロ
豚皮に肉を詰め込んでオークごっこも何時もやってますよね?
豚皮の肉詰めを【傀儡】化して敵を誘導したりと戦術的にも有用ではありますが
◯リリーファ
正直な所、敵とは言え死骸を弄るのはあまり良い趣味だと思いませんが、マリノ様の行動が我らエルフに絶大な貢献をしてるのは事実です
◯ハク
私はリリファの子守りで忙しいから好きにしろ
「ちょっと冷たくない〜?
今回は違うんだよ!!
敵の偉い人に成り代わって負傷したふりして撤退するの!
そしたらオークの根城であるブレイクしたダンジョンに重要豚物なら連れて行かれるでしょ?
運良ければ向こうの異世界にも行けるかも知れないと思ってね!」
◯リリーファ
敵の本拠地への偵察ですか?確かに有効な作戦だと思いますけど、マリノ様が敵地に潜入するのはダメだと思います。今の戦線を維持出来てるのはマリノ様が[ヘラクレス]で散発的に大暴れしているからですし
「それは大丈夫【分霊】で魂を分けて潜入する予定だから!
ただ今まで見たいに昼も夜も動き続ける事は出来なくなるね。今までは【分霊:気概】と【分霊:欲望】の二交代制で片方休ませながら戦ってたからそれが無理になるよ。
今までよりちょっと活動が減るだけで敵地偵察が可能だからとても価値が高い作戦だと私マリノは思います!」
敵地視察はあくまでそれっぽい理由付けでしかないよ
本命は技術を盗み見・盗み聞きしてパクる事とオーク世界の観光だ。
◯マリナ
私はマリノに危険な事して欲しくないな〜
◯ハク
お前の擬態能力なら紛れ込むのも可能ではあるだろう。行くのは構わないが向こうでオーク相手に暴れたりはするなよ
オークの神に目をつけられたら面倒だからな
エルフの神は負けてるから私達を受け入れてるが侵略側はだいたい神の治世は盤石な事が多い
◯マリサ
マリノが見聞きしたモノは全て私が【世界記憶】で観測していますから諜報活動のサポートはお任せ下さい。緊急事態の時は【闇穴】でお戻りになられますし大丈夫だと思います。
◯リリファ
私としてはエルフ界での活動に問題無いのであれば敵方の情報も手に入りますし拒否する理由がありません。
マリノ様の魂が半分出て行かれてる間、私が頑張らせて頂きます!私は【人形繰り】のスキルを持っていますので[ヘラクレス》]も操作可能な筈です!練習必要だと思いますけど!
◯マリノ
意外と肯定意見多くてビックリ
でもまあ、【鑑識眼】や【地獄耳】で見聞きするだけなら許可します!危険を感じたら即逃げてね
「マリナママありがとう〜
持つべきものはファミリーだね!」
じゃあ計画を遂行する為に色々準備しなくちゃ!
◯ハク
その前に食糧庫に行くぞ!
リリファの夕餉を準備しなくてはな
「はいはい!
ハクママの言う通りにします〜!」
白姉さまのママ化進んでるなぁ
最初はキュウビさまの冗談だった気がするけど今は本気だ
思い入れが強すぎると別れる時が辛いから今から心配だよ。
白姉さまがリリファちゃんを本当の娘にするにしても異世界の子を連れて行くって可能なんだろうか?