118話:ココとの再会
ランスの帰還と私への爵位授与、婚約者確定を発表する舞踏会は当初予定から大幅に遅れて開催されることになった。ただ、あの悪魔のような三人の裁判もあり、死刑もあったのだ。重苦しい雰囲気が王都では漂っていた。
だがこの舞踏会を行うことで、不幸を幸福で上書きできる状態になる。それに今回、ココを王都に呼ぶこともできた。
結局、ナイト・フォレストではなく、王都での再会となり、ココは心配そうに尋ねる。
「サラはずっとこの先、王都で暮らすの?」と。
それに対する私の答えは……。
「それはね、ランスとも話し合ったの。平日はランスも執務があるでしょう。でも長期休暇とか、週末とか、ちょっとした時間ができたら、ナイト・フォレストに行こうと思うの。私と一緒に普段は王都に暮らし、別荘気分でナイト・フォレストの家に行くのもいいと思わない? もしくはココとホークでナイト・フォレストに住み続けて、ランスと私が遊びに行くのを迎えてくれてもいいのよ。どっちがいい?」
ココとホークの答えは一択だった。
「「サラと一緒にいたい!」」
「ではナイト・フォレストの家は別荘に決定ね」
こうしてココとホークは、王宮において、役職を与えられた。
ココは私の専属侍女。ホークは専属護衛騎士だ。
そう、私には王宮に一室、既に部屋を与えてもらっていた。
そこにはターニャの部屋もある。
そのターニャはと言うと。
今回の舞踏会で正式な王室付き魔女として発表される。
あのソルモンは失脚し、もうこの世界にはいない。
この国を守る魔女はターニャというわけだ。
「でも思うのだけど、大魔法使いがいるのよ。そしてその嫁は魔女。あたし、必要?」
くだんの舞踏会が行われるこの日。
冬晴れで気温も上昇したので、サンルームでターニャ、ココ、ホークとティータイムを楽しんでいた。王太子妃教育は、正式に婚約者として発表されてからスタートするので、束の間の休息でもあった。
「必要です! 大先輩ですから、ターニャさんは!」
やはり持つべきは魔女友だと思うのだ。
ターニャは長生きしている分、知識も豊富だし、頼りになる!
「そういえばターニャさん。ご自身がランスにかけた老化の呪い。あれの結晶化した魔力の塊をランス殿下から預かったのですよね? それはどうするのですか?」
「あ、あれね。あれは個人的に使うつもりよ」
ターニャはニッコリ笑う。
「え、誰かを呪うのですか!?」
「うーん。呪うのとは違うかしら? 因果応報、というか。まあ、サラさんが気にする必要はないわ。安心して」
「サラ、そろそろ舞踏会に向け、着替えの時間ではないですか」
スカイブルーのセットアップを着たランスがサンルームにやってきた。今日の執務は早めに切り上げ、これから着替えをすると言う。
「サラのドレス姿を見るのが楽しみです」
ランスは椅子に座る私のそばに来ると、「ちゅっ」と頬にキスをする。
そういうスキンシップ、ランスはみんなの前でも平気でするので、私の心臓はいつも爆発しそうになる!
ホークは「またいつものこった!」という反応で、ココは「素敵♡」とウットリ。ターニャは「マーク団長に会いたいわ」なんて呟いている。
こうしてティータイムは終了で、ドレスへ着替えることになった。
◇
爵位を授かり、婚約も発表される。
まさに新たな門出となるのが今日の舞踏会だった。
よって選んだドレスは白の生地。
その生地全体に淡い桜色と空色のぼかしが入っており、さらに銀糸で美しい刺繍があしらわれていた。その上で銀粉を散らしたかのようにビジューが飾られている。さらに爵位を授かるにあたり、私のための紋章が用意された。雪の結晶とリーフが表現されており、この紋章が刺繍された白いマントも着用することになっている。
さらに王家の宝物庫から、この日のためにわざわざ取り寄せてくれたプラチナ製のティアラをつけることになっていた。ランスがくれたパライバトルマリンのイヤリングとネックレスも勿論つけているし、婚約指輪もバッチリだ!
一緒にドレスの着替えをしていたのはココ!
今日は特別に侍女としてではなく、招待客として舞踏会に参加する。
ふわふわのチュールたっぷりのミルクストロベリー色のドレスを着て、ツインテールにしているココは、本当に愛らしくて可愛い!
そしてココをエスコートするのが……。
「よお、サラ、ココ、準備は整ったか?」
ホークだ!
王道の黒のシルクのテールコートは、ホークによく似合っている。
ココと並ぶとラブリー系&ワイルド系となんだか異色の組み合わせだが、それはそれでいい感じ。
「まあ、なんだかウェディングドレスにも思える素敵なドレスですね、サラさん!」
ターニャは胸が大きく、腰はくびれ、ヒップもキュッと上向いているので、深みのあるワイン色のドレスも、もう完璧! ぷっくりとした唇にその近くのほくろもセクシーだ。そしてターニャをエスコートするのはマーク団長!
ゴールドの装飾品があしらわれた黒の軍服で、ビシッと決めている。
そしてランスは……。
私の白のドレスに合わせてくれたのだが、テールコートではない!
白の軍服にシルバーホワイトのローブを着用しているのだ。
装飾品は銀細工で、サッシュはセレストブルーで、それがいいアクセントになっていた。
「王室付き魔法使いが着用するローブです。現在、魔法使いが不在のため、代わりに僕が着用することになりました。この軍服は有事や災害時に着用する王太子専用のものです。といっても戦争もないからね。儀礼用として着ることがもっぱらです」
初めて見るランスの軍服姿。
スーツは三割増しというけれど、制服系もハンサム度が増し増しになる気がします……!
「ではみんな、会場となるホールへ向かいましょう」
ランスにエスコートされ、その後ろをターニャ&マーク団長、ホーク&ココが続き、ホールへ向かい、移動を開始した。
お読みいただき、ありがとうございます!
次回は「第119話:いよいよその時が」です。
き、緊張するわ……!






















































