異常事態そのなんとか
「あれ?トワとイヴ?」
通りに差し掛かった時、聞き覚えのある声が聞こえた。喧騒が裂かれて場が静まり返る。
「やっぱり!また会ったね!」
市場のほうからルカが駆け寄ってきた。
「こっちに来て正解だったよ!ね!?」
呆気にとられたイヴに早口で捲し立てて来た方を振り返る。
「...まず落ち着け。声がでかすぎる」
歩いて来たレタに言われてルカがとりあえず口を閉じると、徐々に市場は騒がしさを取り戻していった。
「...誰?」
「途中で会いました。移動しながら士師をしているそうです」
「へー...」
しばらく考えてからルカとレタに向かって声をかける。
「ねえ。少し話を聞かせてくれない?」
「...誰?」
「オレはリア。向こうの研究所で所長をやってる」
「...遅い」
研究所に着いたリアが文句で迎えられる。
「留守にするなら言っといてって、いつも言ってるでしょ」
「ごめんって。こんなに開けるつもりはなかったの。それで、お客さん連れてきたんだけど、泊めていい?」
「私に訊くこと?それ」
「泊めるね」
「...まったく」
研究所には合わせて五人ほどがいるらしい。研究所の大きさを考えるとかなり少ない。
「心配させちゃったかなー。といっても毎度のことでみんな慣れてるから、未だにあんなふうに言ってくれるのはキウだけなんだけど」
廊下を歩いていると、誰かが作業をしている音が聞こえる。
「みんなやってることはバラバラで、やりたいことをやってるかんじ。互いに手を貸したり借りたり」
端の大きな空間まで歩いて振り返る。
「二人は宿は?」
ルカとレタに向かって訊く。
「今朝町に入って、探してたとこだ」
「じゃあここに泊る?部屋いっぱい余ってるんだ」
キウが来て部屋に置いてあった荷物をどかしてきたと伝える。一応4部屋。
「ありがと」
「あまり迷惑かけないようにね」
「まーね」
キウは他の者の手伝いがあるからと戻って行った。
「...ありがたいんだけど、余り過ぎじゃ?」
「いろいろあって」
荷物を部屋に置いて、5人は椅子に座る。
「この2人には途中で、助けてもらたんだ」
「「...」」
「2人はどうしてここにいるんですか?」
イヴがルカとレタに訊く。
「...別れた後、西のフフトナまで...お前いつまで黙ってる気だ」
「なんかテンション上がっちゃって。落ち着けない。アンタが話せばいいじゃん」
「あんま得意じゃないんだよ慣れてないから」
「...フフトナについてすぐに、竜が出たの」