謎から謎
そう...じゃあお気をつけてと
話を聞くと、魔物が突然現れたかと思えば人間に目もくれずに走り抜けたり、魔物が魔物を攻撃したり、ありえない異常行動の報告が4月に入ってから何件か上がっていたらしい。魔物のことはわかっていないことが多いが、今までの情報から考えれば明らかにおかしいと思えるものばかり。
町に戻ってもふたりはいなかった。
「どうしましょう」
「協会は持ち場で手一杯のようだ。手伝ってもいいが」
「...手伝わないんですか?この状況なら、依頼とは別に調査もあると思いますけど」
「この後どこへ行くつもりだと言っていた?」
「?ああ、エルですか。バフスです。ここの北東にあるボーアの南端の町です。歩けば2日ほどでしょうか」
「雨が降るでしょうか」
イヴが空を見上げる。
「少し怪しいですね」
一緒に町を出た二人組の一人が言う。
それでも引き返しはしなかった。
川に架かった橋を渡る。結局雨は降らなかった。
歩いている途中、奇妙な地形を見た。
丘が半径5メートルほどの球状に抉られたような痕があった。そこだけ草もほとんど生えていない。
「なんでしょうねこれは」
見当もつかなかった。
行く手のほうで音がして、一行は止まる。
「魔法の音だ」
注意しながら音のする方へ向かうと、ウィウェントたちが誰かに群がっていた。振り払われても次から次へととびかかる。トワたちが横から加勢する。
「いやー助かったよ」
バフスへの道を歩きながら話す。
「あの数は流石にきつかったから。まさかウィウェントが群れで襲ってくるなんて、びっくりしたよ」
「なんであんなところにお一人でいたんですか?」
「オレはいつもはバフスにいてさ、今日は散策」
「危なくないか?」
「こう見えて腕には自信があってねー。ある程度はなんとかできるつもり」
そうしているうちにバフスの城壁が見えてくる。
「そうだ、キミらは旅人?」
イヴが頷き、二人組は曖昧に答える。
「宿を貸すからさ、話を聞かせてくれない?」
イヴが頷き、二人組はあてがあるから、と断った。
丁国ボーアに入る。
バフスの町で二人組と別れて、先導についていく。
どこまで行くのかと
出来たらこんな話はない
油断したなー