鍵は
マホが広間に戻ると、ルノが振り向いた。
「どう?」
「全員意識は戻ったが...身体に異常はないらしい」
ただ突然意識を失っただけ。
「さっきまで何しても起きなかったのに...」
「悪魔の力が関係してるのか」
「...ルノ、さっきの話だが――」
広間をフラフラと歩きまわっていたエルが、突然足を止めた。ルノがそちらを見てマホも口を閉じる。エルの顔がマホに向いた。
「連絡は来たんですか?」
「...来ていないようだが」
確認してマホが答える。
「どうして急に?」
「なんとなくです」
また歩き始める。机の周りを回る。
「訊いても無駄だと思うけど...何してるの?」
エルは顔を上げない。ルノとレタがため息をついた。
隣の部屋からイヴとラズ以外の全員が戻って来た。
「イース、それは?」
「兵隊」
イースは小さな人形を抱えていた。粘土でできている。
「ラズのだね」
地面に下ろされるとひとりでに動いてイースの足下に立った。
「それ魔法で動いてるの?」
「魔法」
ユーリの質問の意図を察してローチェが請け合う。
「大丈夫。ラズは与えることもできるから」
「...人形を動かす魔法は使い勝手が悪いんだったか」
「精密な操作はできない、短時間しか持たない、術者から離れられないとまあポンコツ魔法筆頭だね」
それから、机を囲んでしばらく静かに話し合いをしていた。
「さっきのが悪魔の子全員だったら話は単純なんだけどね」
「それならてきにもなにかしら」
「そろそろ何か起きないかなー」
「軽いです」
「こっちから動くわけにもいかないからね」
タダを見たマホが口を開いた。
「また竜が現れた」
いくつもの視線が集まる。
「...同時に三体。三体とも最初にファンゼルが目撃された場所の近くに」
ルノが頭をかいた。
「...なんで...」
「バレてるのかなーここ」
竜たちがその場から動く様子はない。
「目的はわからないけど、アタシらのせいかな」
「無関係ではなさそうだよね。まあここから出なければ安全だと思うけど。いくら竜でも」
「それよりやつらに気づかれるのが問題だろう」
「というか、今思ったんだが、やつらがこっちを無視して進んでたらどうしようもなくないか?」
「それはないと思うけど。いままで相当わたしたちに執着してたわけだし」
「この期に及んで新しいやり方を見つけたらちょっと笑っちゃうけどね」
「笑っちゃうって...」
「そうなったらまあウチらとしてはどうしようもないね」
「整列」
突然、イースが声を発した。どこからともなく数体の人形が出てきて足下の人形の後ろに並んだ。
「わー...」
「...どうしたの?イース」
ちょうど、イヴに連れられてラズが広間に入って来た。
気づくと、一同は草原にいた。
誰の台詞だかわかるのかな。今更だね
potato tomato
いやどうでもいいんだけど、なんでカタカナ表記に差があるのかなと思って