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天地の変  作者: 匹々
続釦の章
36/55

牙、翼、棘

「...見間違いかな。スェトナに出たと聞いてたが」

ファンゼルが地面の一点に向かって急降下する。その先で骨の怪物が根をおさえたまま形を変えて迎え撃つ。ぶつかると雷のような光が閃いた。

「やっぱり結界は意味ないか...」

3人は人影が見えた場所の近くに走る。

辺りを見回したとき、音を立ててすぐそばの建物が地面から持ち上げられる。その下から根が現れる。

「こんなところにも...!」

そしてさらにその下から巨大なヘビのような頭が現れる。

「!」

地面から這い出すように胴体が出てきた。短い肢があり背中に無数の棘が並んでいる。何本かの棘は触手のように曲がってその先は地中へ伸びていた。

「...飢...。...ヒルシュタン...」

「...竜が二体...?あの根っこみたいなのはコイツのか」

すぐ横で身構える3人に目もくれずどこかへ向かおうとする。その前に骨がファンゼルを巻き込みながら突っ込んできた。遅れて向かってきた根に巻き込まれないよう慌てて避けた。根はヒルシュタンの背から伸びていた。

体勢を立て直したファンゼルが空中へ飛びあがり、翼を振り上げた。振り下ろされるより早く回り込んだ骨が体当たりする。

「...竜は何かを追ってる。あの骨みたいなのが止めようとしてる...?」

争いを横目に竜が攻撃を仕掛けようとしていた方へ向かう。

後ろから向かってきたヒルシュタンの触手に骨が噛みついて逸らす。飛び上がったファンゼルの足に伸ばした尻尾を絡ませて止めた。

「なんなんだあれ...。竜相手にあそこまで」

行く手の地面が割れた。その衝撃に打ち上げられるように瓦礫と一緒に人影が飛んだ。

「!」

大きく弧を描いて飛んだ人影がその先で見えない壁にぶつかったように見えた。宙に浮いたまま藻掻いているそれを別の人影がすぐ近くで見上げていた。レタはその焦色の衣には見覚えがあった。

「...邁莢...だったか」

地面から出てきたヒルシュタンの触手も届く前に止まる。

走り寄る3人に一瞥をくれてから邁莢は反対へ走り出した。人影が宙に浮いたままそれについていく。3人がその後を追う。

突然、逃げる邁莢の足下からサメの顎の形に変わった骨が飛び出してきた。人影が真下に向かって落ちる。地面に激突する直前に滑り込んだ骨の上に乗る。

「地面をすり抜けた?」

「ように見えたね」

飛び降りようとする先にヒルシュタンの触手が二本向かう。骨が人影を包むように丸くなってそれを弾いた。

「あれだね。はっきりわかった。間違いない」

「でもなんで?」

「先にこの状況をどうにかしないと。この町がなくなる」

さらにファンゼルの攻撃を防いで隙間ができた。その隙間から人影が浮かび上がった。空中で藻掻きながら、いつの間にか近くにいた邁莢のそばまで移動する。

「下ろせ!」

その叫びに返事はなかった。

骨が手を伸ばしてつかもうとするが、見えない壁に阻まれる。ヒルシュタンの触手も同じように止められた。

「あれは?防御魔法じゃないよね」

その場から去ろうとする邁莢の背に走りながら声を投げる。

「待て!」

「まだいたのか死にぞこないども」

さっきと同じように走って逃げる邁莢に宙に浮いたままの人影がついていく。背後から繰り出されるいずれの攻撃にも反応すらしない。

その二人を先頭に、骨と二体の竜とリアたち3人が追い、やがてスォーツカの町の端についた。

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