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天地の変  作者: 匹々
続釦の章
28/55

石の洞

リアとイヴとトワはレタの復旧作業を手伝う。

「建物の構造が全体的に単純ですね」

「あまり複雑でも困るだろ」

「?」

「冬は天気が多い日が多いから、季節で造り変えたりするんだよ」

「へー。地震は多いの?」

「たまに小さいのはあるな。けどここまで大きいのは滅多にない」

「まあ今回のはオズファとかボーアでも被害があったらしいよ。震源が遠かったみたいで」

「それは珍しい」

黙々と作業をしていたトワが口を開く。

「竜は?」

リアが答える。

「...いや、聞いてないね」

「地震は書かれていなかったんですか?」

訝しげに見たレタにリアが説明する。

「イルテンで資料を見たって言ったじゃん?それで、竜は天災と一緒に描かれてることが多いみたいで」

「...ああ」

「具体的な表現が少ないし、こいつにはこれ、とか必ずしも対応したのがあるわけじゃないから、個人的には被害の大きさを印象付けるものだと思ってたんだけど」

「今まで竜が出現するとき、不自然に小さな天災を伴っていた」

「地震の記録は...あったかな」

「ぼくが見たのは気象災害かそれに付随するものが多かったですね」

「オレもそんな気がするな」

「...今回ニヒツには死人は出なかったとはいえ、怪我人はいるし家は崩れた。このまま何も起きなければいいが」

そう言ってレタは作業に戻った。他の3人も口を閉じて作業を続ける。



メオとルカの2人は船で大陸側に渡った。

「ここを登るんですか」

「そう。上にヒョウたちがいるはずだから」

上、半島の先端には墓地がある。ここが崩れていれば大変なことになる。

先に斜面を登り始めようとするルカをメオは止める。

「...あっちから登ったほうが楽じゃ?」

「え、遠回りじゃん」

少し離れたところには緩やかに登る階段がある。

「ルカは真っすぐでいいかもしれないけど、わたしはここ登れません。というか人の道じゃない」

「そう。じゃあ回る?」

「...本当に変わらない」


崖の斜面に墓標が並んでいる。

「本当に丁寧なお墓ですね」

「メオは来たことないんだっけ?」

「まあ」

「ちなみにここは釣った魚までちゃんと埋葬するよ」

「...それはまた」

「あれ?そういえばヒョウたちがいない。船はあったのに」

高台から辺りを見回す。この場所は見通しがいい。

「...向こう側かな。まあいいや。端からね。アタシは上の段から見ていくから」


狭い足場で分担して作業をする。

「よし。こっちは異常なしでいいかな」

立ち上がったルカはメオが近づいて来るのに気づいた。

「どうしたの?なにかあった?」

「いえ、お墓のほうは異常がないんですけど」

近くにカラットが下りてくる。そちらに目をやってから再びメオが口を開く。

「崖の下に誰かいるって」

身を乗り出して覗き込むが、途中の葉に遮られて崖の下は見通しが悪い。


足場の悪い崖の下を慎重に歩いていたルカが突然駆け出した。

「コウ!ねえっ!?」

「...気を失ってるだけみたいです」

肩をゆするルカに後ろから追いついたメオが言う。コウの腕に巻かれた新しい包帯を見つけて息をのむ。

「...なんで...ヒョウは?」

辺りを見回したルカは別の人影を見つけた。

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