表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天地の変  作者: 匹々
次寇の章
25/55

各喧

基城の廊下に舌打ちが響く。

たった今出てきた議堂の扉を振り返る。まだ続いている国会の声が聞こえる。

(取り返しのつかないことになる前に早く手を打たなければならないのに...今他国を気にしている場合か?)

拍手がここまで聞こえる。

(このままでは...この国はあいつに乗っ取られる...)



背後の窓から風の音がする。思ったより早かった。

「聞いてないわよ」

案の定聞こえてきた声を聞き流す。振り返らず黙ったまま。

「どれだけの人々を巻き込めば気が済むわけ?」

何も言わなくても一方的に続けられる。

聞かなくてもわかる。

(甘いな)

あるいは、なんの罪もない人間を不幸にして罪悪感がないとでも思っているのだろうか。



「...ここを落としたのか」

斜面を見上げてラズが言った。その足下には石や土の塊が散らばっている。

「人の兵をなんだと思っていやがる」

「...エルだよ」

隣でローチェが言った。

「賭けがしたくなったんだってさ」

「...もう貸さんぞ。...それで?」

「受け取ってはもらえたみたい。あとはその内容が伝わるかどうかなんだけど」

ラズが反対側の沖を見る。

「エルは?」

「...知らない。いつの間にかいなくなってた」

「やつらは?」

「しばらくニヒツにいるみたい。多分オズファの動きとも関係ある」

「そうか」

「また竜が出たりしたらわからないけど」

「...エルはあの連中に何をさせたいんだろうな」

ローチェが無言で肩をすくめる。

本格的に協力するつもりにしては与えた情報は断片的過ぎる。

(...ずっと振り回されっぱなしなのはボクらも同じか)

自分の言いだした作戦を半ば放棄して運に任せるとは。

「...話を戻すけど、これからは?」

ラズが再び振り返ってイースを探す。

イースは黙って西を見ていた。その先のボアロ山には笠雲がかかっている。

ラズが顔を戻してローチェとお互い仮面ごしに目が合う。

「...それ意味あんのかな」

「知らん。...オズファンは」

「流石に危ないでしょ」

ラズが少し考える。

「...一度帰ろう。イース」

呼ばれて白い無地の仮面が振り返る。

集まった3人は玉を取り出した。

「目的」

イースが静かに言う。

「...わからないよイース。ボクらにはもう」

音がして、3人は世界から消えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ