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天地の変  作者: 匹々
元一の章
2/51

旅人たち

地球は自転する。その一周を1日。地球は公転する。その時間を1年。1年365日、4年に一度閏年で366日。


ほかの陸地から離れたクロートゥ大陸は中心の禁域を囲むように各国が位置する。


樹暦2018年4月2。大陸南東、向・果・比国境。


国境の町ザガドには閉門の直前に入った。

「賑わってますね」

宿へ向かう途中でフードを外したイヴが言う。

「国境でこれですからね」

頑丈そうなレンガ造りの宿に入ったとき、旅人らしい三人組とすれちがった。

「?どうしました?」

トワは向き直って首を振っただけだった。

宿の受付で手続きを済ませる。

「今日のうちに店を見ておきましょうか」

宿を出て、町を見ながら歩く。目新しいものが多くあった。食料を少し買った。


しばらく歩きまわってふたりは宿の近くの店に入った。店内は混んでおり、相席で広いテーブルに通される。さっきの三人組がいた。

「二人はどこから?」

注文をすませると、そのうちのバンダナを巻いたひとりが話しかけてきた。騒がしい店内でも響く声だった。ほかのふたりは何も言わずに見ている。

「南の...ツァドルのほうから」

イヴが答える。

「今日から、スェトナを進む予定です。征都まで」

「テドムにずっといたの?」

「いえ、旅の途中で通りました」

「旅の途中?」

「はい。東から来たので。チェグナから南へ行って、テドムの街道辺を通って」

「...どこだっけ?東海岸?」

急に隣に訊く。髪飾りをつけている。

「...チェグナはタグルの港都。テドムを通る南海岸沿いの街道がここまで通ってる」

「へー。...ってことは大陸の外から?」

「はい」

「大陸の外は行ったことないからよくわからないや。わかる?」

「いやまったく。...訊いてばっかだなお前」

「ここはやっぱり人が多いんですか?」

イヴが訊くと、バンダナは髪飾りを見る。

「...街道が交わるところだから、行商人とかはよく見るみたいだな。俺もずっといるわけじゃないから詳しくは知らないが」

ため息をついた髪飾りが答えると、ちょうど定食が運ばれて来た。

「お待たせしましたー」

「ありがとうございます!...先に食べていい?」

髪飾りが苦笑してイヴは頷いた。

「いただきまーす!」

いい匂いがする。


「ごちそうさまでしたー!」

混雑した店を出て屋根のある広場で話す。夜でも明るい。

バンダナはルカ、髪飾りはレタと名乗った。聞けばふたりは士師。南東の内陸部の国カッハゴから来たらしい。

「それで」


「アタシたちは西に用があるんだけど」

もうひとりはエルと名乗った。白いフードを目深に被っている。商人らしい。

「北に行くってならさ」

行商を営むものは多いが、町と町の間の移動は危険が多いので大抵は邑師を雇う。

「途中で会って、ここまでは一緒にこれたんだけど、この先からね。邑師を雇うのはいやだっていうんだけど、一人だと危ないじゃん?」


「それも悪くないですね。ガラトゥまで同行を依頼します」

白い仮面が顔全体を覆っていて、表情は窺えない。

イヴがトワを見ると、静かに頷く。

仮面を着けてるとかいった次の文で表情を描きそうになる

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