表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天地の変  作者: 匹々
元一の章
12/55

州の宮

イルテラまでの道では魔物に出会わなかった。街に着くころにはガヅェンもいなくなっていた。

ここより東のフットゥ湖から海に向かって大きなエアズー川が流れている。丁国ボーアの王都イルテラは二又に分岐する地点の北にある。

「大きいですね」

街道の橋を渡って城壁を見上げたイヴが言った。

「こうでもしないと場所が足りないんだよ」

「城壁を広げるっていうのは相当大変らしいですからね」

他の町と比べて高い城壁の上には衛師がいる。


「宿はどうするつもりなんだ?」

「...え?泊めてくれるんでしょ軍のところに」

「...まあそうなるか。だが一人部屋はないぞ」

「仕方ないか」

「どうせここの宿は安いとこはみんなそうだよ」

中心に丁城があり、その周りに施設などがある。城壁に近い側に住居が集中しており、北東側のほうが高い。目指す場所は城の北にある。

ルカが遠くに目を向ける。その視線を追ってマホが笑う。

「懐かしいか?」

「...まあ」

「そういえばどうしてルカは学校をやめちゃったの?」

「...えっとね」

「勝負の約束をすっぽかっされたのは忘れていないからな」

「やっぱ覚えてたかあ...」

「勝ち逃げされたのを忘れられるか」

「それ以外全部一位だったんだからいいじゃん。それに今は隊長になったんでしょ?」

「そうはいかん。いずれ必ず」

「...ライバルだったの?」

「ああ」

「...一方的にライバル視されてたんだよ。運動だけアタシのほうが点数よかったから」

城の西側を回る。

「やっぱり他のとこの城に比べると丸い気がするな」

「この都の歴史も割と長いですけど、確かもとは街道の休憩所みたいな場所だったんでしたっけ」

「川があったからな」

「少し東に行ったら山になるし、ここを通る人が多かったんだろうね」

「交通の要所だから人が集まって国ができたんだっけ?」

「省きすぎだが間違ってはいないな」

最初の王は商隊の指導者だった。

「流石に人が多いね」

「いくつか企業の本社もあるんだったか」

「大陸西側の国々の交流も自然とここを介すようになったし、珍しい技術やものも集まるようになった」

「時間があったら市場にも寄ってみたいですね」

「ていうかルカたちはここには来なかったの?ずっと西側にいたんでしょ?」

「...機会がなくてほとんど来なかったね」

「いつ以来だろうな」


「あ、カラットだ。おーい」

ルカが下りてきたゼルドを見つけて声をかける。そのままマホの肩に留まる。

「...え?ゼルド?」

「その子は?」

「なんか懐かれちゃったんだってさ」

「聞いたことないんだがそんな話」

「私もない。今は仕事を手伝ってもらっている」

「仕事をですか?」

行く手に大きな建物が見えてきた。

「あれが丁軍本部だ」


集会室で留守の間の報告に目を通す。

「増えているな」

「でもやっぱり変なのが多いね」

隅でカラットに構っていたルカが振り向く。

「そういえば2人は?」

「今はいない」

マホが答える。

「じゃあ...えっと」

「君の交友関係を把握できていたわけでもないが、ここには君の知る者はほとんどいないと思うぞ」

「...そっか」


荷物を部屋に置いて集まる。マホは書類仕事に向かった。

「これからは?」

「アタシは集会所とかで噂程度でもきいてみよっかな。レタも来る?」

「ぼくは図書館に行ってみます」

「オレも行くよ」

「トワは?」

「市場か広場で話をきいてみるつもりだ」

「...できるのそれ?」

「だめそうだったら図書館に来てください」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ