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底落ちて 現実ばかり 監獄で ゲームの中に 浸る日々
(そこおちて げんじつばかり かんごくで げーむのなかに ひたるひび)
開く扉に 帰る兄さえ 憎らしく また溺れては 深くに潜る
(ひらくとに かえるあにさえ にくらしく また溺れては 深くに潜る)
薄青い 空も心も 曇かな
(うすあおい そらもこころも くもりかな)
居酒屋の 歓喜の声が 我を刺す 彼等にしては 私は他人
(いざかやの かんきのこえが われをさす かれらにしては わたしはたにん)
大空よ 私は誰で 誰と会う
(おおぞらよ わたしはだれで だれとあう)
日は南 残ったパンと ジャムの箱
(ひはみなみ のこったぱんと じゃむのはこ)
いつもなら 苦い珈琲 今甘い
(いつもなら にがいこーひー いまあまい)
エンジンと 古い代車は ほら唸る
(えんじんと ふるいだいしゃは ほらうなる)
腹下し 薬を飲んで また歩く 終わらぬ道を どこまで歩く
(はらくだし くすりをのんで またあるく おわらぬみちを どこまであるく)
誠から 私は逃げる 本の中
(まことから わたしはにげる ほんのなか)
街場でも 閉じた新館 また寂れ
(まちばでも とじたしんかん またさびれ)
移る街 暮れる夕日は 何を見る
(うつるまち くれるゆうひは なにをみる)
某所から あがるあがると 騒がれて 雨で上がれぬ 哀れな花火
(ぼうしょから あがるあがると さわがれて あめであがれぬ 哀れな花火)
夕立よ 冷たい雫 跳ねる音 私も弾け 騒ぎたいかな
(ゆうだちよ つめたいしずく はねるおと わたしもはじけ さわぎたいかな)