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朝霧や
朝日に刺され
逃げ惑う
(あざきりや
あさひにさされ
にげまどう)
水垂れて
頂点刺さり
崩れてく
一人寂しく
聖夜祝って
(みずたれて
いただきささり
くずれてく
ひとりさびしく
せいやいわって)
輝きも
生気の足らぬ
樅の四肢
君は凄いね
人前恥じぬ
(かがやきも
せいきのたらぬ
もみのしし
きみはすごいね
ひとまえはじぬ)
朝六時
眩しい朝日は
人起こす
何故何故回る
歯車達は
(あさろくじ
まぶしいあさひは
ひとおこす
なぜなぜまわる
はぐるまたちは)
想い人
如何に居ますと
降誕日
(おもいびと
いかにいますと
こうたんび)
雪中に
地をふむ足は
悴んだ
袋の取れた
手は凍ったか
(せっちゅうに
ちをふむあしは
かじかんだ
ふくろのとれた
てはこおったか)
東雲や
全てが白く
美しや
凍った路は
いつ滑るかな
(しののめや
すべてがしろく
うつくしや
こおったみちは
いつすべるかな)
鬱蒼な
夕に追われて
何里やら
逃げる術など
一つも持たず
(うっそうな
ゆうにおわれて
なんりやら
にげるすべなど
ひとつももたず)
不格好
逢魔ヶ刻に
星に乗る
流れる星よ
うんと向こうへ
(ぶかっこう
おうまがどきに
ほしにのる
ながれるほしよ
うんとむこうへ)
流星の
溜まり場たるは
一煙
(りゅうせいの
たまりばたるは
ひとけむり)