第8話 少女は魔法使い
謎の男と突如現れた少女は互いに見つめ合いながらその場に止まっていた。
「貴方、中々やる口みたいね」
「そちらもどうやらそのようで」
二人は陽翔達をおいて話し始めた。
「貴方みたいな人がなぜここにいるのよ」
「ただの任務ですよ」
その頃陽翔達はその状況を理解することが出来ていなかった。
「ねぇ、陽翔。あのちっちゃい子供知り合い?」
「いや〜、あんな妹みたいなのは知り合ったこともないぞ」
「いっとくけど私子供じゃないわよ。18歳だし!」
「年上だった・・・」
そんな会話をしていると男が先程と同じように黒い矢を無数に出現させ始めた。
「また来るでござる!!」
男は陽翔達に向かって矢を放ったがその矢をまたしても少女が全てフィールドで受け止めていた。
矢がフィールドで弾かれた時の大きな音が鳴る中で少女は陽翔に対してなにか話しかけていた。
「ねぇ、貴方少しくらい魔法出来るでしょ?私があいつに攻撃するから隙を見て攻撃して」
というと少女は魔法を使い始めた。
「あれ?もう終わり?なら次は私ね。【光撃】!!!」
少女が放った魔法は惜しくも男には当たらなかったが迷宮の壁に当たり大爆発を起こした。
「素晴らしいですね。初級魔法なのにも関わらずこの威力」
「避けれたのもたまたまなんじゃない?」
「舐められたものですね。では私も。【闇弾】」
「こんなの簡単に避けられるわよ」
「さぁ?どうでしょう?」
すると男が放った黒い弾はいきなり速度をあげ軌道が変わりラーニに向かった。
「!?」
間一髪のところで少女がラーニにフィールドを張ることが出来、弾を防ぐことが出来た。
「瞬時に弾より一回り大きいくらいのフィールド生成するとは。それに小さくすることで魔力が一点に集中しより強度の高いフィールドにする。これをあの短時間で行うとは、やはり只者ではないですね」
「至って普通のことよ。あ、そう言えばこれ、その男に飲ませなさい」
「これは・・・」
「回復液よ」
そういうと少女は陽翔に回復液を手渡した。
「カロルさん、これを!」
「ありがとう。ベルトほら口を開けて」
ベルトはむせながらも回復液を飲むことが出来た。
「どう?大丈夫?」
「あぁ!楽になったよ!ありがと!!!」
「随分用意周到ですね。戦いなれていますね」
「まぁ、ボチボチよ。それより私お腹がすいたからさっさと終わらせましょ」
「それには賛成です」
というと二人は一気に畳み掛け始めた。
「喰らいなさい!【光球】!!」
「全く、光属性は少し相性が悪いですね。【闇壁】」
少女の放った光の球は男の壁に吸収されてしまった。しかし・・・・
「そんな事したら前が見づらくなるわよ」
「なっ!?」
「光よ。あの者を閉じ込めたまえ!【光檻】!」
すると男の周りに大きな光の檻が現れた。
「姑息な事をしますね。ですがこれをしたとこで・・・・」
「貴方、今よ!!」
「おう!!」
陽翔は今まで使うことを躊躇していた魔法を男に向けて放った。
「!???」
「貴方、魔法の威力どうなってるのよ」
「さすが陽翔でござる!!!」
陽翔の放った魔法は案の定迷宮もろとも崩壊させてしまった。
「倒したのかな?」
「多分生きてるわね。あれだけじゃ死ななそう」
「ねぇ、ベルトなんか後ろから凄い足音が聞こえてくるんだけど・・・」
「まさか・・・・」
すると後ろから大量の魔物がこっちに向かってきて走ってきていた。
「急いで逃げろーーー!!!!」
「気持ち悪いでござる〜!!」
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「はぁ・・はぁ・・なんとか逃げれたな」
「陽翔さん達本当に助けに来てくれてありがとうございました」
「ありがとうございました!」
「いえいえ、あんまり何もすること出来ませんでしたし」
そんな風に脱出の余韻に浸っていると・・・・
「ねぇ、早く。お腹すいたんだから。馬車連れてきてるし帰るわよ」
「こんなに小さいのに一人でここまで出来るなんて凄い!!」
「子供扱いするな!!!頭撫でるな!!!」
「雫、そこら辺にしとけ。雷落ちるぞ」
そういいながら陽翔達は馬車に乗り込むのであった。
@@@
「あの魔法使いどこかで見た記憶が・・・それよりなんだあの男の力は・・一秒でもテレポートに遅れていたらこの怪我どころか死んでいたかもしれない。あの男・・・危険だ。消さなければ・・・」
「うわぁ!!かわいい!!なんでこんなに小さいのに強いの!!ほんとにかわいい!!」
「やめろ!!子供扱いするな!!年上だぞ!!撫でるな!!」
「はぁ!!かわいい〜!!」
「やめろ〜!!お前は見てないでこの女をどうにかしろ!!」
「雫はそうなったら気が済むまではどうしようもないからな・・・」
「よしよし!!かわいいね〜!」
「「やめろ〜〜〜!!!!!!!!」」
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「次回は【第9話 少女は食いしん坊】よ。ちょっ!!来るな!!撫でるな!やめろ〜!!!!!」