第7話 謎の男
〚ルレ―イ迷宮 17階層〛
「急ぐんだ!きっと何かあったに違いない!!」
「だいぶ近いでござる!もしかしたらこの下かもしれないでこざるね!!」
陽翔達が全速で走る最中にも迷宮内で大きな音が響き続けている。
「ねぇ、陽翔階段が見えてきたよ!!!」
「ホントだ!行こう!」
陽翔達は階段まで走るとすばやく階段を駆け降りた。するとそこにはDランク冒険者らしき人達が必死に走ってきていた。
「君達、逃げろ!!早く!!」
「大丈夫です!!俺達はあなた達冒険者パーティーを助けに来ました!」
「本当か!?でも君達じゃ・・・・」
すると冒険者の言葉を遮るように突如として謎の男が黒い霧と共に現れた。
「また新しい人達が来たのですか。面倒なことをしてくれますね」
「お前は誰だ!!」
「またその質問ですか。いい加減飽き飽きしてきたのですが。それより私は時間がないので早く終わりにしたいのですが」
「ふざけるなでござる!!!」
「エリウ!!」
エリウは剣を抜き謎の男に飛びかかっていった。しかしあのエリウの剣は何度も何度も男に切りかかっても簡単にあしらわれてしまった。
「なんで私の剣が効かないでござるか!」
「愚かですね。私には物理攻撃は効かないというのに。見た感じもとからいる冒険者は一人が剣士、2人が魔法使い。しかし二人ともほとんど魔力が残っていない。そして今来たあなた達は一人が剣士、そしてほぼ一般人同然の人が二人。もはやあなた達には勝ち目などないのです。なのでさっさと諦めてください」
陽翔達は男の発言によりどうしていいか分からなくなっていた。男が言うように物理攻撃を除いた攻撃手段はあるもののそれらは不完全で曖昧な為使いようがない。その様な状況下に陥った今優勢なのは間違いなくあの謎の男である。
しかしDランク冒険者の二人の魔法使いの魔力さえ回復することができればこの状況を少しでも変える事ができる。だが魔力の回復には時間がかかるためその間の時間を稼がなくてはならない。
「あれ。どうしました。終わりですか。無様ですね、太刀打ち出来ないとわかった瞬間怖気ついてしまうなんて。あれほどの魔物を倒しておきながら。その威勢は一体どこへ」
少しの沈黙をおいて陽翔があることをいい出した。
「冒険者の方今からダッシュで階段を上りましょう」
「は、はい!」
陽翔達は大急ぎで階段を駆け上がり始めた。
「おやおや。逃げるとは」
男はゆっくりと歩いてきている。
「後ろを振り返らずに全速力で走ってください!」
「はい!!」
全員が一段一段と駆け上がっていく。気づくと男の姿は後ろにはなかった。
「いなくなったのかな?」
「さぁ?まぁ、先を急ごう」
しばらくして陽翔達はルレ―イ迷宮第2階層まで戻ることが出来た。
「もうすぐですよ!!」
「よかった!」
陽翔達はもう少しで無事に脱出することが出来るはずだったのだが・・・・
「陽翔!!前!!」
「簡単に逃がすわけがないでしょう」
前にはあの謎の男が立っていた。男は手を上に上げると黒い矢が現れそれを陽翔達に向けてはなった。
「陽翔さん!!!!」
ベルトはとっさに陽翔の前に立ち男が放った黒い矢はベルトに突き刺さった。
「ベルト!!」
「ベルト・・・・!」
「はぁ、は、陽翔さん、だい・・・じょうぶでした・・・か・・」
ベルトは大量の出血をしながら陽翔にそう言った。
「お前!何やってるんだ!!どうして・・・どうして!!」
「何をとは?私は目的の為にやっているだけですが。皆さん仲良くあの世で再開させてあげますので。それでは」
男はベルトに放った矢と同じ物を無数に出現させた。
「陽翔・・・・」
「皆様一同おやすみなさい」
男は無数の矢を陽翔達に向けて放った。
「!?」
「はぁ。またですか。面倒くさいですよ」
上から大きな音と共にガレキが落ちてきたと思いきやそこには・・・・
「そんな事言われても知らないわよ。依頼なんだから」
陽翔達の前には一人の見たこともない少女が立っていた。その少女は男の放ったあの無数の黒い矢を全てフィールドで塞いでいたのだった。
「これ終わったら貴方達ご飯おごりなさいよ」
「やっと面白そうなのが来ましたね」
「ベルトさんってカロルさんとラーニさんとはどういう関係なんですか?」
「あぁ、カロルとは付き合っててラーニは俺の妹だよ」
「え?そうだったんですか?でも名前呼びですけど・・・」
「恥ずかしいからそうしてもらってるだけだよ」
「ところで陽翔は雫さんとエリウさんとはどんな関係なんだい?」
「あ〜雫とは幼馴染ですよ。エリウは助けたら仲間になりたいって言ってきて」
「へ〜、これからってことか」
「え?それってどういうことですか!!」
「いやいやなんでもない!」
「気になるじゃないですか!!」
「そのうちわかるって!」
@@@
「次回は【少女は魔法使い】だ!カロルご飯はまだか〜?」
「うるさい!!」
「すいません・・・」