第52話 六人の未来
【お知らせ】
・9月8日に三章で登場した人たちのおさらい
・9月10日の18時から第4章が始まります
翌日
「入るわよ」
「あ〜やっと来た!エレーナってば遅いよ!!」
エレーナは雫の部屋に入った。
「もうみんな居たのね」
「暇であったので早く来てしまったでござる!」
「エ、エレーナさん!おはようございます!」
「おはよう。それで朝から何をする気なの」
「時間になるまで暇だからなんか女子会をしようと思って!それにもっとエマとも仲良くなりたいじゃん!」
「そうでござる!!仲間ならもっと色々話したいでござる!!」
「それもそうね。それじゃあ昨日の陽翔について話しましょ」
「は、陽翔でござるか!」
「そうよ。やっぱりあれは凄かったわよね」
「そう!あの【もはや愛してる!!】ってやつ!」
「あ、あれは私のためにしぶしぶ言ったことであって・・・・!」
エリウは顔を少し赤らめた。
「まんざらでもないわね」
「え!どういうこと!!え!え!」
「な、なんでもないでござるよ!!!!は、陽翔の事で言えば最後の魔神倒したやつだって!!」
「あ、あれは凄かったです・・!」
「だよね!陽翔いつの間に刀に魔力を込めない状態での剣術なんて練習したんだろ」
「いいや、あれは通常時の刀ではなかったわよ」
「でも陽翔はあの刀で魔神を斬っていたでござるよ!」
「そこがよくわからないのよね。あの時は明らかに付与魔法が刀にかけられていた。でも陽翔は魔法攻撃が効かない魔神に攻撃を当てる事ができた。もうよくわからないわね」
「まぁ、いつか陽翔に聞けばいいよ!!」
「そうかもね」
「それよりレティシアさん凄かったでござる!」
「あれはもう人間の実力を超えてるわね。もはやあの人が勇者をやった方がいいわよ」
「確かに・・。あの人なら一瞬で終わりそうなのになんでやらないんだろ?なにか理由があるのかな」
「まぁ勇者はてきとうに選ばれてるわけではないからね」
「そうなんだ!」
すると雫達の部屋の扉をコンコンとノックする音が聞こえた。
「あれもう時間でござるか!」
「はーい」
雫は部屋の扉を開けるとそこには国王の女性の召使いと陽翔とエイトがいた。
「皆様、お時間でございます」
「それで昔あいつなんて言ったと思います?」
「【おにいとけっこんする!】とかですか!」
「正解は【おおきくなったらおにいをめっためたにするでござる!】です」
「ハハハ!!なんだかエリウらしいですね!」
「ですよね!あそこでそれを言ってくるかって思いましたよ!」
陽翔達は話に区切りがついたところでエリウの視線に気がつく。
「二人共なんの話をしているでござるか!!!!!」
「特になんもないよ!昔話だよ!ですよねエイトさん!」
「そ、そうですよね。エリウ陽翔さんに失礼だぞ」
「あの二人いつの間に仲良くなってるのよ」
@@@
その後陽翔達は女性の召使いに大広間まで案内された。
「こちらでございます」
「ありがとうございます」
召使いは陽翔達にそう言うと大広間の大きな扉を開いた。
「・・・!なんだこれ!!」
「すっごい人の数でござる!」
大広間の奥には国王とレティシアとカイト、リクシア、そして周りには数え切れないほどの人達がいた。
「どうぞお進みください」
そう言われ陽翔達は大広間にしかれたレッドカーペット通りに歩き出す。
「なんか私達すごいことしちゃったのかな?」
「き、緊張・・します!」
少し歩くと国王が話しかけてきた。
「こちらへ」
陽翔達は壇上の上に上がる。そして国王が大きな声で話始めた。
「この国に住む民達よ!先日の魔神襲撃でこの国は恐怖に包まれた。しかし犠牲になった者も多かったがなんとか魔神を倒すことが出来た。それも全ては今ここにいる英雄達のおかげである!!」
国王がそういうと大きな歓声があがる。
「「おぉおおおおおお!!!!!」」
「ここでこの英雄達に国の民を代表して私がお礼を申し上げる。本当にこの度はありがとう。君達のおかげでまたこうして平和が訪れた。そこでそんな君達にお礼の品を送る!!」
「お礼の品ですか?」
「あぁ!!まずこの国サフルテア王国騎士団副団長カイト・リー・カルバー。彼は魔神討伐に尽力してくれた。ありがとう。よって彼には金貨を贈呈する!」
「ほんとっすか!ありがとうございます」
「続いてサフルテア王国騎士団団長レティシア。彼女は魔神に致命傷を負わせ討伐に貢献した。また民の救助、多くの魔物討伐を行った。よって彼女には菓子五年分と金貨をする!」
「なんで菓子なんですか・・」
「あいつは異常なほどお菓子が好きなんだよ」
「ありがとございましゅ・・・。は!ありがとうございます!」
「そして次はエイト・エスヴァール。彼は魔神討伐に多大なる貢献をした。よって屋敷を贈呈しよう」
「あ、俺はいいですよ。この後のあてはあるので」
「そうか。それは残念だ。なら金貨を贈呈しよう!」
「ありがとうございます」
「最後に陽翔最強パーティーの陽翔・雫・エレーナ・エリウ・エマは魔神討伐、魔物討伐、負傷者の救助、治癒など多大なる貢献をしてくれた。よって各自金貨を贈呈する!」
「「「「「ありがとうございます」」」」でござる」
「やっぱこの名前恥ずかしいわよ」
「そうでござる・・・」
「良いだろ!これ!」
「そして!!!陽翔達パーティーにもうひとつ贈るものがある」
「まだあるですか!」
「あぁ!これは多くの者と話し合い決めたことだ。全ての国の民よ!これまでこの国は様々な災害においては他国の援助を受け、難を逃れることが出来ていた。しかし今回の様な魔物が絡んだ事になると他国は魔王軍の報復に恐れ容易に援助することができない。その為我々は今までこの件をどうすればいいかと悩んでいた。きっと勇者が助けてくれるとも信じていた。アレス君がきっと助けてくれると。しかし彼はこの国に訪れることはなかった」
国王は少し暗い表情でそう話した。
「しかし今この国には陽翔達が来てくれた。そしてこの国に平和をもたらしてくれた。我々はどうやら今まで信じる相手を間違えていたようだ。今日の朝、世界の中心カメリア・ウェンバーグ王国国王デリク・ラドフォードから返事があった。それを今から一語一句同じに読み上げる。【私はカメリア・ウェンバーグ王国国王のデリク・ラドフォードだ。私は連絡を受け国際緊急会議を行った。その結果賛成九割、反対一割でこの議題が可決された。今ここに宣言する。陽翔、雫、エレーナ、エリウ、エマを二代目勇者パーティーの代理勇者パーティーとする】」
「「「勇者様ぁぁぁぁ!!!!!」」」
大広間は大歓声に包まれた。
「は?え、勇者パーティー・・・????」
「どういうことでござるか!!!」
「今の二代目を勇者から下ろすことは出来ないがその二代目の代理だ。実質正式三代目勇者みたいなもんだ!!」
「でも、いきなりすぎじゃないですか!!」
「サプライズってのもいいだろ!!どうだ?陽翔達はこれを受け取ってくれるか」
陽翔は少し悩んでいた。
「私はいいと思うわよ」
「エレーナ・・・・。わかった。受け取ります!!!」
「おぉ!!ありがとう!!」
国王は力強く陽翔の手を握る。
「あ、あと・・・!」
「どうした」
「実はもう一人パーティーにメンバーを・・・」
「おぉ!良いぞ!それで誰だ?」
陽翔は指を向けた。
「兄さんでござるか!!!!」
「アハハ!実は陽翔さんに誘われてな!受け入れちった!」
「陽翔も何考えてるでござるか!!!!」
「いやぁ・・・まぁそこは秘密だな!」
「でもエイトさんがいた方がより私達も強くなるよ!!!」
「そうでござるが・・・!」
「な?いいだろ?」
「もう・・わかったでござるよ!その代わり兄さんは変な事をしないことが条件でござる!!!」
「わかってるよ!」
国王が咳払いをする。
「それでは改めて。陽翔、雫、エレーナ、エリウ、エマ、エイト。彼ら六人を代理勇者、実質三代目勇者とする!!!!」
そしてまた大きな歓声に包まれる。
@@@
その後陽翔達はカメリア・ウェンバーグ王国に戻ることになった。
「陽翔、ほんとうにありがとう!」
「いえいえ!また何かあったら言ってください!」
「あぁ!!ぜひそうさせてもらうよ!」
国王は陽翔の手を握る。
「エリウ、元気でな!お前と一緒に戦えてよかったぜ!また戦おうな!!」
「同感でござる!!また戦いたいでござる!!」
エリウとカイトは手を互いに強く握りあった。
「陽翔達も困ったことがあったら頼ってくれてもいいですよ」
「レティシアさんありがとうございます!!」
二人は握手した。
「リクシア様も本当にありがとうございました。これからも何卒よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
二人は握手をした。
「皆さん馬車はあそこにありますので!!」
リクシアがそう言うと・・・・
「なら馬車まで競争でござる!!!」
「ちょっと!!待ってよー!!」
「わ、私も!」
「私も参戦します!!!」
「残念だったな!俺の方が早いぞ!!」
「兄さん大人気ないでござる!!!」
五人は馬車に向かって競争し始めた。
「アハハハ!本当に仲がいいですね!」
「逆に良すぎますよね」
「陽翔達も行かれたらどうです?」
「そうですね!皆さん短い間でしたが色々とお世話になりました!本当にありがとうございます!!」
陽翔は深くお辞儀をした。そして振り向き馬車の方に歩いていく。
「あ、そう言えば俺ら勇者パーティーになったけど抜けたり・・・・」
「なんで抜ける必要があるのよ。私はついていくわよ。どこまでも」
エレーナは微笑んで言った。
「そうか!なら良かった!」
「あそこの馬車に最初についた方が勝ちね」
「あ、え、ちょっと待てよ!!!!!」
エレーナと陽翔も馬車に向かって走り出した。
「陽翔達はいい人でしたね。いつか世界も平和にしてくれたらいいですけど」
「そうですね。きっとその頃にはカルバーもたくましい人になっていますよ」
「いきなりなんだよ。照れるだろ!!」
@@@
「エレーナ、意外に足はやいんだな」
「まぁ、それなりにわね」
「二人共早く乗ってー!」
「はいはい!」
「それじゃあみなさん出発しますね」
雫達は神様から与えられた使命の完遂に一歩近づくことができた。
そして六人は勇者パーティーとして新しい未来に向かうのだった。
これにて第3章サフルテア王国編は完結です!
三章では新たな仲間や新たな出会い、明かされたエリウの悲しき過去、ギルクの悲劇の復讐など内容ボリューミーでお送りしました。次の章である第4章では代理勇者パーティーとして様々な困難を乗り越えていきます!! さらに4章ではあの人達が戦います!! ぜひお楽しみに!!
前書きでも書いたように
・9月8日に三章で登場した人たちの紹介
・9月10日の18時から第4章が始まります!