第33話 サフルテア王国
翌朝
「ふわぁああ!あ、おはようございます」
「おはようございます。早起きですね」
陽翔が馬車に向かうと女性の御者の人が既に起きていた。
「まぁ、一応?それよりみんな起きてます?」
「まだ寝てますよ。どうします?寝てる間に進んじゃいますか?」
「そうですね。周りは俺が見とくので」
「ありがとうございます。じゃあ行きますね!」
そう言い女性は馬車を動かし始めた。陽翔もその馬車と共に歩き始めた。
朝に出発してから一時間ほどが経った頃、エマが最初に目を覚ました。
「ふにゃぁ。ん。あれ、進んでる?」
「おはよう、エマ」
「あ、おはようございます」
「エマは朝起きるのは早いんだな」
「陽翔だって・・早いですよ」
エマは眠たそうな声で話しながら馬車から「よいしょっ」と降りた。
「なんで歩いてるの?」
「一応警護と思ってな。エマはまだ馬車に乗ってていいんだぞ?」
「いや、歩きます!」
エマは陽翔に少し近づきそう言った。
「ど、どうしたんだ?!」
「なんでもないですよ!」
「ならなんでこんな近いんだ!?誰か起きて見られたらどうするんだ」
「起きてるわよ」
「起きたならなんか言えよ!!!」
「そうだったわね。おはよう」
「おはようさん」
「随分仲が仲がいいのね」
そう言ってエレーナも馬車から降りてきた。エマは少し頬を「ぷく」っとさせていた。
「朝はやっぱり歩くのがいいわね」
「で、ですよね!空気が冷たくて好きです!」
「それわかるよ。てか雫達起きるの遅いな」
「私達が早すぎるのよ」
「仕方ないだろ。木で寝かされたんだから」
「馬車だって狭いわよ。それとも何?女子の間に挟まって寝たかったの?」
「そんなことあるか!!!」
それからさらに三十分経つとリクシア、雫、エリウの順番に目を覚ました。
三人が目を覚ましてから少し時間が経った頃、陽翔達はサフルテア王国にようやく着くことが出来た。
国の門を抜けると正面には大きな銅像がおいてあった。
「この銅像の人ってだれなんだ?」
「この方が一代目勇者様ですよ!!」
「へ〜かっこいいなぁ」
それから数十分ほど進んでいると馬車は王城に到着した。
「ウェンバーグのも凄かったけどここも凄いな」
「勇者の国だからお金が沢山入るんでしょ」
「めたいことを言うなよ」
そんな会話をしていると王城の扉から男が出てきた。
「リクシア様お待ちしておりました。冒険者の皆様もどうぞこちらへ」
陽翔達は王城の中へと入ったあと王城の中をしばらく歩き客室に案内された。
「リクシア様と冒険者の皆様、本日はお忙しい中お越しくださいましてありがとうございます。私はサフルテア王国の国王【エリック・ド・ヴェルタン】と申します」
「よろしくお願いします。それでは早速本題に入りますが・・・・・・」
リクシアはその後サフルテア王国に来る道中で立てた仮説をいくつかエリックに話した。
「確かにその様な可能性もありますね。となると国周辺に監視を置いたほうがいいですかね」
「やめといた方がいいわよ。周辺に監視を置けば内側が脆くなっていざって時に対応が遅れるわ」
「ならいる可能性がある魔人はどうやって見つけるんだ?」
魔人を見つけるにはどうしたらいいか全員が頭を抱えて考えた。
「魔物は暗い場所や暗い時に活発に行動するでござるからやはり夜か森とかを私達が見回ったりするのがいいと思うでござるよ!」
「非効率ではあるけど残念ながらそれが一番の解決策ね」
「それでは我々の騎士団も何部隊かお使いください」
「ほんとですか?ありがとうございます」
「君、呼んできてくれ」
「わかりました」
「今騎士団の方を呼びに行かせましたので少々お待ち下さい」
陽翔達を案内した男は騎士団を呼びに部屋を出ていった。
「それにしても魔物に指示なんて出来るの?」
「そうですね。魔人でもそんなことを出来る者は限られると思いますが・・・・」
「あとは魔具ね」
「魔具?」
「一定量の魔物の命を吹き込んだ特殊な道具の事よ」
「ですが魔具は作るのが難しくこれまでにも存在は2つしか確認されていないんですよ」
「魔具でも魔王軍幹部でもどんなやつが相手でも叩きのめすでござる!!!」
「相変わらずエリウは張り切り具合が凄いな」
そんな会話をしていると騎士団を呼びに行った男が帰ってきた。
「エリック様連れてまいりました」
男がそう言うと後ろからスラッとした女性が入ってきた。
「何か御用でしょうか。国王様」
「じ、次回は【第34話 サフルテア王国騎士団】です。こ、これからどんなことがあるんでしょうか・・・」