第20話 卒業試験 伍 〜大切を守ると〜
「あの短期間で会得したと?ですが会得したところでその歴は埋まりませんよ」
「だからなんだ?全力で戦わないで意味があるのか?」
「ふっ。面白い人ですね。だからこそ消さなくてはならない。では始めましょう」
「陽翔!その状態で戦うのは危ないでござる!!!」
しかし陽翔は聞く耳を持たない。
「消えろ!陽翔!!!【闇弾】!!!」
グレンドリアは陽翔に向けて無数の魔法を放った。
陽翔はその魔法を全て刀で切り刻んでいく。
「ならこの量ならどうだ?」
グレンドリアは先程放った倍の量の魔法を陽翔に向けて放った。
陽翔は無心で弾を切り裂くがその数に対応することが出来るはずもなく数発が体に命中した。しかし陽翔はグレンドリアに近づくことをやめようとしなかった。
「何なんだお前は・・・」
すると今度は走り出し近づいていく。
「来るな!!【闇弾】!!」
陽翔はまたも弾を避けて駆け抜けていく。
「陽翔!!?」
陽翔は今になって今まで受けていた痛みが襲いかかってきた。すると陽翔は一瞬足がつまずきかけるとそこにグレンドリアの放った魔法が貫通する。
陽翔は大声で叫ぶ。
「どうやらここまでの様ですね」
グレンドリアが陽翔に近づいていく。
「やめるでござる!!!」
エリウがグレンドリアの行く手を阻むも弾き飛ばされてしまった。
「陽翔には近づかせないわよ」
「わかりましたよ。っというとでも思いました?」
そう言うとグレンドリアは闇魔法でエレーナも弾き飛ばした。
「あなたは私を久しぶりに追い込んだ者として称え最後に一言だけ聞いといてあげましょう」
「・・・そうだな。お前の負けだ。アホが」
「グハッ!!!!」
グレンドリアは背中から闇に纏われた刀で突き刺されていた。
「ど・・・いうこ・・とだ・・」
「俺だって・・・魔法使えんだよ・・・。刀だって・・好きなように・・動かせるんだぜ・・」
「だがこれだけでは終わらないぞ」
「陽翔まずいわ!!逃げて!!」
グレンドリアは手を前に突き出した。
「【命契魔法】!これで終わりだ!!」
しかしグレンドリアの命契魔法は発動しなかった。
「なぜだ!!なぜだ!!【命契魔法】!なぜ発動しない!!」
「何が起こっているでござるか!?」
「まさか・・!結界魔法だと?あのクソ野郎が!ふざけやがって!!」
「これでお前も終わりだーー!!!!!」
陽翔はその隙に最後の力を振り絞り刀を手に取りグレンドリアに攻撃した。
「やめろ!!死ぬわけに・・・・」
陽翔はグレンドリアの心臓めがけて刀を突き刺した。
グレンドリアは血を流しながらその場に倒れ込んだ。
「守れた・・・」
陽翔も同様にその場に倒れ込んだ。
「陽翔!!」
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陽翔が目を覚ますとそこは見知らぬベッドの上だった。
「は、陽翔さん!!大丈夫ですか!?」
「ここは・・・」
「学園の医務室です!!よかった・・生きてて」
「──試験はどうなったん・・ですか」
「もうすぐアンゼとエレーナさんが最終階層から帰ってくると思います!」
アンゼ達はあの戦いのあと・・・・
「試験は終わらせないといけないからエマとエリウは二人を連れて行って。私とアンゼは最後の階層まで行くわよ」
ということがあったのだ。
「そうか・・・。雫は・・?」
「雫さんも命に別状はないですよ!!それよりまだ安静にしていてください!完全に回復したわけではないので!!」
「ありがとう・・もう少し寝るよ」
そう言い陽翔はもう一度眠りについた。
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陽翔は夢を見ていた。
〘なぁ、雫。俺はお前を守れたのか?〙
〘うん。それにみんなを守れたよ〙
〘みんなを?〙
〘そう!みんなを。陽翔は近くにいるみんなをこれからも守ってね。私だけじゃなくて〙
〘でも・・・!〙
〘今の陽翔には大切が増えたんだから。大切は守らないと!〙
〘大切を守る・・・〙
〘それが陽翔の力になる。そして努力が役に立つ!〙
〘わかったよ。守ってやるよ!俺の大切を全て!!!!〙
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(!! 陽翔さんがやっと笑顔になった。どんな夢を見てるんだろう)
こうしてグレンドリアとの戦いに決着をつかせることが出来た。
これにて陽翔達の魔法特訓はなんとか終わるのだった。
「陽翔さん!陽翔さん!!元気になりましたか!?」
「おかげさまで!」
「それはよかったです!!ところで陽翔さんのパーティーって治癒士が本当にいないんですか?!」
「そうだよ、悲しいことにいないんだよ」
「そうなんですね!!よかったです!!」
「よかったです・・???」
「あ〜!!なんでもありません!じゃあ!お大事に!!!」
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「次回は【卒業試験 終】です!! 陽翔さんには治癒士がいない!!いないんです!!」