第18話 卒業試験 参
「痛ってぇ。あの魔物、力強すぎだろ」
「大丈夫なの?本当に」
「あぁ!大丈夫だ。それより行くぞ!!まずはエリウはあいつを凍らせてくれ!」
「了解でござる!!」
「そのあと俺があいつの持っている武器を切り壊す。そしてそこに雫が炎で畳み掛けてくれ!最後にエレーナが全力でとどめを刺してくれ」
「わかったわ」
こうして陽翔の立てた作戦通りにみんなが行動し始めた。
「行くでござるよ〜!!!【氷剣】!!」
エリウが魔物を凍らせることに成功した。
「くらえ!!お前の武器はこうだ!!!!」
陽翔が切りかかったが魔物の武器に傷をつけることができなかった。
「どうなってんだ」
「恐らく耐久魔法ね」
「耐久魔法?」
「所持している物の耐久値を一時的に底上げする魔法よ。だから今の状態ではあれを壊すことが出来ないわ」
そうこうしているうちに魔物がエリウの氷を砕きまた動き始めた。
「ど、どうすればいいんだ」
魔物は攻撃をやめる気配がなかった。
「!?」
魔物はエリウに向かって攻撃した。エリウは剣で攻撃を防いだものの、そのまま吹き飛ばされてしまった。
「大丈夫か!エリウ!!!」
「だ、大丈夫でござるよ!!」
魔物は相変わらずずっと攻撃をしていた。
「エマ!どこに行くの」
「・・・・」
エマはアンゼの元を離れ歩き始めた。
「あ、あの。は、陽翔さん・・」
「!? どうしたんですか。エマさん?危ないから後ろに隠れといた方が・・・」
「け、怪我したところを出してください」
「え、あ、はい。わかりました」
「傷を癒やしその者に活力を与えよ。【ヒール】!!!」
すると陽翔の怪我はどんどんと消えていった。
「エマさんって治癒士だったんですか?!」
「ま、まだ、駆け出しなんですが・・・」
「そうなんですね!!ありがとうございます!頑張れそうです」
「は!はい。頑張ってください」
少し嬉しそうな様子でエマは返事をした。
「また陽翔が女の子を見てニヤニヤしてるわね。こっちは戦ってるっていうのに」
「エマさん、エリウも治癒してくれないか?」
「も、もちろんです」
エマはエリウのもとへ急いで向かった。
そんな様子を見ていたアンゼが陽翔のところに行き何かをいい始めた。
「今までごめんなさい。私も手伝いますわ!!合格するために」
「あぁ!!頼む!!」
そして陽翔達は一列に横に並んだ。
「雫、エリウ、エレーナ、アンゼさん、エマさん!!!これから力を合わせてあの魔物を討伐する!!!」
「「「「「おーーー!!!!」」」」」
陽翔の一言で気合が入ったみんなはまた立ち上がり戦い始めた。
「風よ、敵をその力で吹きとばせ!【暴風】!!」
アンゼが放った魔法により魔物が持っていた武器は吹き飛ばされた。
「よし今だ!!」
「くらうでござる〜〜!!!!」
武器のなくなった魔物に対して陽翔とエリウは斬りかかりエレーナと雫は魔物が余計なことをしないように後方から攻撃をした。
陽翔とエリウの剣は魔物の体を切り裂くことに成功した。
「はぁ、疲れた。剣ってやっぱ重すぎじゃないか?」
「慣れでござるよ!慣れ!!」
魔物は切り裂かれたあとチリになってどこかへ消えていった。
「ありがとう!!アンゼのおかげで私達倒せたよ!!」
「ど、どういたしまして」
アンゼは少しおどおどして答えた。
「エマさんもありがとう。回復」
「い、いえ。自分が出来ることをしただけです・・」
「俺のパーティー、治癒士がいないから助かったよ」
「確かに私達のパーティーには治癒士がいないわね。相当欠陥パーティーよ」
「うるさいな。別にいいだろ。それより早く先を急ぐぞ」
そのあとも何体か中級魔物が出てきたが陽翔達は全員で協力して乗り越えることが出来た。
そして18階層にたどり着いた。
「なんか前の階層より雰囲気が凄い」
「そうでござるな!何か強敵がいそうな予感でござる」
「どうやらそうみたいね」
「え?」
「懲りてなかったみたいね」
すると暗闇から足音が聞こえてくる。
「おい、何か来るぞ!アンゼさんとエマさんは後ろに下がって!」
足音はどんどん近くなってきていた。
「ご明察通り。またお会いしましたね」
そこにルレーイ迷宮にいた男が立っていた。
「あ、貴方は!!?」
アンゼがいきなり話し始めた。
「魔王軍の・・・」
「おや、知っておられる方がいたとは」
「ま、魔王軍!?」
「そう、私は魔王軍幹部のグレンドリアと申します」
「エマさんの治癒っていいですよね〜!なんか傷以外にも癒やされます」
「え、あ、そ、そんなことはないですよ!!」
「いやありますよ!!実際俺はそうでしたから」
「そ、そうなんですか?」
「はい!!!」
「陽翔ってエレーナが言うようにニヤ変ね」
「だからその略し方は何なんだよ!!!」
「ふふふ。仲がいいんですね」
「普通だよ、普通」
「そうだよ。普通!変なこと言わないで!エマ!!」
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「次回は【卒業試験 肆 〜力が欲しかった〜】です!!は、陽翔さんってなんだかんだ優しいですよね!」