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過去のお部屋

りんごの赤ワインコンポート

作者: スタジオ めぐみ

年齢イコール彼氏いない歴だった私。

しかし、22歳でそのイコールはなくなった。

働き始めて3年目、1人暮らしも3年目。

生活にゆとりができた時に恋に出会った。

付き合ってすぐに半同棲生活が始まる。

今日はどっちの家に帰る?という会話がしばしば。

どっちの部屋も2人じゃ狭い。

だけど一緒にいたいから、狭いを我慢。

狭い部屋にお互いの荷物があちらこちらに彷徨っている状態。

帰る家が2つあるのは、面倒くさいことだと思った。


誕生日は何もいらないから、一緒に住める大きめな部屋が欲しいという私のワガママを聞いてくれた彼。

誕生日は新しく借りた部屋でケーキを食べた。幸せだった。

家事は分担。仕事休みはバラバラ。

1日の中で一緒にいる時間が短いこともある。

だけど一緒に生活していることが楽しかった。

生活している中で彼が作る料理は美味しく楽しみだった。

その中で覚えているものがある。

オシャレなデザート。

それは、りんごの赤ワインコンポート。

バニラのアイスを添えて、お酒のお供に。

ビールが飲めない私だったが、毎日美味しそうにビールを飲む彼を見ていたら、いつの間にか私も毎日ビールを飲むようになった。

オシャレなデザートを知り、ビールの味を知り、私の知らない私になっていく。

良くも悪くも一緒にいる人から受ける影響は大きい。

着る服も変わった。

体重もいちいち気になるようになった。

背伸びをして付き合うのは大変だけど、背伸びをするのが楽しかったんだと思う。




りんごを沢山もらったので、初めて自分でりんごの赤ワインコンポートを作った。

りんごはしっかりと赤ワインを吸って、お酒の香りを漂わせる。

記憶が少しだけ蘇る。

美味しい記憶。美味しい思い出。


旦那にりんごの赤ワインコンポート食べるか尋ねた。

お酒が苦手な旦那。

食べないと返事がきた。

なんだか、すごく安心した。

体重を気にせずに1人で美味しく食べた。

りんごはくたくたになっていた。

少し失敗したが、味は充分美味しい。

昔の記憶と今を行ったり来たり。

少し失敗したが、私は充分幸せだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] いろいろと想像を巡らせてしまうお話でした。 だんなさん、お酒苦手なんですねぇ。 ワイン煮はアルコールもとんでると思うのですが(*´∀`)
[一言] 変わっていくことを描きながら 変わらない思い出を描いてる りんごとともに煮詰められたものが 甘さと酔いとを連れてきたのでしょうか 素敵な思い出のお話をありがとうございました。
[一言] 背伸びをするのは大変だけど……のフレーズが名言すぎます。全力で同意しました。結婚とはまた違う、恋愛の延長線上の同棲という感覚がひしひしと伝わってきました。 ふと思い出の味に触れ合った時、当時…
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