婚約破棄を予知したので、腐りきった祖国なんか捨てて、他国で幸せになってやる4
カオリが暗殺専用スキルを修得した元凶の元暗殺者が登場する話です。
「どうしてアオイ達は激昂すると瞳や髪の色が変わるの」
「そ、それは教えられない」
「お願いだから、聞かないでくれる」
「秘密なんです」
カオリから俺達の体質についての質問をされたが、教える訳にはいかない。
口が裂けても秘密を話す訳にはいかないわ。
私達が南方の大陸出身であり、凶戦士の末裔だと絶対に知られる訳にはいきません。
「私の方こそ変な事を聞いてしまって、ごめんなさい」
どうやら不味い事を聞いてしまったらしいので、速攻で三人に謝罪した。
『久し振りだな。カオリ』
『アサン?』
「はぁはぁ」
どうしてアサンの予知夢を視るのよ。
あの男は処刑された筈なのに。
【回想開始】
「侵入者だ」
「捕縛しろ」
「ちぃ、囲まれてしまったか。仕方ない」
【毒注入】
衛兵の一人が血液中に毒を注入されて、苦しみながら、死を迎えた。
【心臓破裂】
もう一人は心臓を破裂させられて、瞬時に殺害された。
【全身麻痺】
更にもう一人は徐々に全身の神経が麻痺させられて、恐怖に怯えながら、命を落とした。
「・・・・・・」
私はお花を摘みに行こうとして、その現場に居合わせてしまった。
「ん、女のガキか。人質に丁度良いぜ」
「・・・・・・こっちに来ないでよ」
【拘束】
私に怖くなって、思わず拘束のスキルを発動させた。
「身体が動かねえ」
「今だ。捕縛しろ」
「畜生。離しやがれ」
残っていた衛兵達がアサンを捕縛した。
「カオリ、大丈夫。怪我は無い」
駆け寄ってきた師匠に思いっきり抱き締められてしまった。
「そのガキはカオリって名前なのか。覚えておくぜ」
捨て台詞を吐いて、アサンは連行された。
アサンは地下牢に投獄されて、数日後に処刑されたと聞いた。
【回想終了】
アサンが生きている筈が無いのに、不安な気持ちが治まらない。
「ごめんなさい。お花を摘んでくる」
私はお花を摘みに席を離れた。
「久し振りだな。カオリ」
「アサン?」
予知夢通りにアサンが現れた。
「そんなに怖い顔をするなよ。別に復讐に来た訳じゃねえ。それどころかお前の護衛に来たんだ」
「護衛?嘘を付かないでよ」
「本当だぜ。取り敢えず俺の話を聞けよ」
すす
アサンは処刑を免除される代わりに、大神殿の裏の仕事を請け負う事になったらしい。
そして大聖女様から私の護衛を命じられたとの事だ。
「そんな作り話なんて、信じられないわよ」
「作り話じゃねえ。俺が生きている事が何よりの証拠だぜ」
「貴方は私を恨んでいる筈よ」
「確かにあの時は恨んだが、今は恨んじゃいねえよ。お前は俺の弟子だしな」
「ふざけないでよ。誰が貴方の弟子なのよ」
アサンが戯言を吐いたので、猛烈に抗議した。
「惚けるなよ。お前は俺の暗殺専用スキルを修得してんだろう」
「・・・・・・」
私があの時に暗殺専用スキルを修得した事がバレている。
「無言って事は認めるんだな」
「・・・・・・そ、それは」
「そう警戒するなよ。安心しな。誰にもチクったりしねえよ。仲間なんだからよ。これから宜しくな」
「まだ聞きたい事があるわよ。大聖女様が私に護衛を付ける理由が不明よ」
「知らねえのかよ。お前は次期大聖女候補筆頭なんだよ」
「私が次期大聖女候補筆頭?」
とんでもない事を告げられてしまった。
「それから俺の事は他の連中には秘密だぜ」
「どうして秘密にする必要があるのよ」
「俺は裏の仕事を請け負っているんだぜ。目立つ行動は厳禁なんだよ。大体お前達は色々な意味で目立ち過ぎなんだよ」
「・・・・・・」
確かに私達は目立っているので、反論出来なかった。
「一言忠告しておくぜ。盗賊の所持金を奪うのは止めておけ」
「余計なお世話よ」
どうやら現場を目撃されたみたいだ。
「それじゃな」
【転移】
アサンは何処かに転移した。
「カオリ、あの男は誰なんだ」
「ルコ様、落ち着いて下さい」
「誰だって良いじゃないか」
「他人の恋路を邪魔するのは野暮よ」
「馬に蹴られてしまいますよ」
「彼は単なる顔見知りですよ」
アサンと話しているのを目撃されたみたいなので、単なる顔見知りだと説明した。
「彼だと。あの男と付き合っているのか」
「違います。本当にただの知り合いです」
ルコは不機嫌になるし、他の連中はニヤニヤとしている。
ハッキリ言って、鬱陶しかった。
それにしてもルコがこんなに嫉妬深いなんて思わなかった。
遂にカオリの前に姿を現してしまった。
【回想開始】
「ん、女のガキか。人質に丁度良いぜ」
「・・・・・・こっちに来ないでよ」
衛兵三人を始末した直後に女のガキを見つけたので、人質にしようと不用意に近付いた。
【拘束】
いきなり拘束のスキルを掛けられてしまい、動けなくされてしまった。
「身体が動かねえ」
「今だ。捕縛しろ」
「畜生。離しやがれ」
残っていた衛兵達に捕縛されてしまった。
「カオリ、大丈夫。怪我は無い」
駆け寄ってきた年増女がそのガキを思いっきり抱き締めた。
「そのガキはカオリって名前なのか。覚えておくぜ」
ガキの名前が分かり、捨て台詞を吐いてやった。
そして地下牢に投獄されてしまった。
「あのガキめ。必ず復讐してやる」
投獄直後は地下牢の中で復讐を誓ったが、徐々に気持ちが変化していった。
最初はガキの癖に高度なスキルを有している事に対する興味だけだった。
その内に感心の気持ちが生まれて、やがて好意的な気持ちに変わった。
最後には恨む気持ちより、愛しい気持ちが強くなった。
「俺はロリコンじゃねえ」
必死に否定したが、その度に愛しい気持ちが高まった。
「貴方に提案があります。大神殿の裏の仕事を請け負う気はありますか。もし請け負うならば、貴方を解放してあげます」
大聖女が想定外な提案をしてきたので、提案に乗ったが、それが間違いだった。
確かに解放されたが、従属のスキル付きだったので、裏の仕事でこき使われた。
【回想終了】
そしてカオリの護衛を命じられた。
何でもカオリが婚約破棄されて、行方を眩ましたらしい。
カオリに逢えると心の中で歓喜した。
カオリを見つけてから、ずっと密かに護衛してきた。
遂に我慢出来なくなって、カオリの前に姿を現してしまった。
読んでもらえたら嬉しいです。
次回の続編は未定です。