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最恐オーガは他種族女子と仲良くなりたい【完結】  作者: あいだのも
ゴブリンの村
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7話 「女の武器」



  オーグン視点-----


 「かの者の力を呼び起こしたまえヒール」

 美しく優しい言葉とともに、

 俺の目が覚めた。


 一番最初に目に入ったのは、

 俺が最後に見た、

 洞窟の中とところどころにある、

 血の跡だった。


 見覚えがある場所、

 ここは人間が信じていた、

 「あの世」ではない。

 

 俺は自分の手を見た。

 皆が恐れるごっつい手…俺の手だ。

 生まれ変わりでもない。


 俺はオーグンだ。

 ウィルが助けてくれたんだ。


 「はぁ…」

 安堵のため息を着く。


 頭の裏の優しい感覚、

 天井を見上げてみる。


 綺麗な放物線を描いた、

 柔らかそうなお山が二つ…

 天井が見えない…


 などと思っていると、

 お山の間から顔が覗いた。


 整った美しい顔だ…

 オーガのような吊り目だが、

 欲望には無頓着な目


 可愛いより綺麗が似合うだろう。


 この人が助けてくれたのか、

 俺を見ても逃げ出したり、

 気を失うでもない。

 「ふふっ」


 ほ、微笑んでくれた、

 この人が人間の言う、

 天使というやつなのか、

 いや、違う俺は生きている。

 …ここは現実、


 「俺と結婚してください」

 言葉は自然に出てきた、

 せめて自分をアピールするため、


 震える手で、

 親指をいっぱいにのけぞらせた


 「おおおおい」

 「おおおい」

 「おおい」

 「おい」

 周りからの突っ込みが、

 洞窟内をこだまする。


 彼女はまた優しく微笑んでくれた。


 動きたくない。

 俺はこの体勢のまま、

 ウィルとテンから事の経緯を聞いた。

 アキナが俺の大きくなった所、

 をずっと蹴ってくる…


 いたい…

 いたいよ、、

 病み上がりだよ…


 ウィルは俺の状況に顔をしかめていたが、

 俺は死にかけだったんだ。


 そのまま話を続けた。

 

 オーガを殺したこと、

 メルサの事、

 メルサはこの地を統治するため、

 洞窟を神格化したんだと。


 確かにメルサはゴブリンの村の元凶だ、


 だが彼女を悪く思えない。


 俺は死を覚悟し死にかけた。


 それを救ってくれたのは、

 ウィルとメルサだ、

 そしてメルサは治癒魔法を、

 ずっとかけ続けており、


 なにより俺が目を覚ました時、

 優しく微笑んでくれたんだ。


 そりゃあ敵だなんて思えないだろう。


 「君は自分の命を守るため、

 オーグンに取り入ってるんだろう?」

 ウィルは強い言葉でメルサに言った。


 「そうですわよ、

 わたしだって死にたくないのですもの」

 とメルサは心の内をあっさりと白状した。


 その開き直り具合に、

 ウィルは頭を抱えていた。


 ウィルがこれほどまでに、

 手玉に取られているのは初めてだ。


 メルサは俺の顔を見て微笑んでいた。

 俺の顔が赤くなっているのを感じた。


 ああ、俺は彼女になら、

 騙されてもいいかも。


 あの死んだオーガも、

 こんな気持ちだったのだろうか?


 「馬鹿…馬鹿…」

 アキナはいまだに蹴り続けている。


 その顔は恨んでいるような顔ではなかった。

 少し顔を赤らめ目が潤んでいた。


 アキナも可愛いな… 

 

 アキナとももっと仲良くなりたいな…


 「も、もういいだろう…

 流石にオーグンでも、

 そんなにやったらつぶれちゃう」

 テンが止めてくれようとしてくれている。


 「はぁ…」

 ウィルが諦めのため息を付いた。


 ウィルはメルサの手を取ると、

 「あら…」

 メルサの手に六芒星の魔法陣が浮かび上がった。

 「素敵な模様ね」

 「君の魔法を封じさせてもらったよ」

 「素晴らしいわ、 

 このレベルの魔法陣を一瞬で描くなんて、

 あ、でも私、月に一回脱皮があるの…

 そこで魔法陣が消えてしまうかも…」


 「ちっ」

 ウィルが悔しそうに舌打ちした。

 脱皮で魔法陣が消えていたら、

 裏切ったとして、

 メルサを始末するつもりだったのだろうか…


 怖い…怖いよウィル、、


 「困ったわねぇ…

 そうだ!

 私の脱皮をオーグンちゃんに、

 手伝って頂こうかしら。

 すべての皮が一気に剝けるから、

 中々大変なのよ…

 それなら脱皮の最中、私が裏切れないし、

 直後にあなたがまた、

 封印の魔法陣を描けば、問題ないわよね」

 ウィルの顔がひくついた…


 すべての皮が一気に剥ける…

 ってことは服とか全部邪魔になる…

 は、裸のメルサを手伝うのか…

 な、なんということだろうか、

 ピクッと反応すると共に、

 アキナの蹴りが一層強くなった…



 俺らは回復するまで、

 洞窟で過ごすことにした。

 オーガとパージの死体を片付ければ、

 一応くつろげる空間が出来た。


 アキナはむくれながらも、

 村長に連れていかれた。


 テンは洞窟内の物を漁っている。


 オーガが使っていた魔道具


 ・水晶玉のような形をしたもの

 周囲へ感覚器官を広げるもの、

 オーガがこれで村の状況を確認していた。

 ウィルが感じたのはこの魔道具だろう。


 ・見えない布

 周囲の光の屈折度合を変え透明に見える。

 暗いところでは奇襲を食らったが、

 明るいところでは布がなびくため、

 意外と目立つ。


 それらをメルサは、

 「あなたたちが勝ったのだから、

 好きに使うべきだわ」

 と言っていた。


 悪魔軍の物であり、

 かなり貴重な物ばかりだと。


 他にも拘束する魔道具や、

 風を起こしたり、

 火を起こしたりするような、

 便利な魔道具があった。


 でも、ウィルがやってくれること、

 売るように取っておこう。


 テンによると、メルサは核心のところは、

 話していないらしい・

 しかし敵意は一切ないとのこと。


 日中寝ていたので、

 夜は目が覚めていた。


 今日の事を思い出していた。


 アキナの事、

 アキナの事好きだ、

 見た目によらずかっこいいところ、

 尊敬する部分も沢山ある。

 これからもずっと一緒に居たい。


 メルサの事

 ウィルは嫌ってはいるが、

 俺は嫌いになんてなれない。

 もちろん美しいということもある。

 この村を陥れていたっていうのも分かっている。

 俺もいいように使われているのもわかっている。

 でも、俺はメルサも好きだ。


 死んだパージの事

 彼とはほとんど関りがなかったが、

 彼の死は今になって考えさせられる。

 今まで考えてこなかった…

 何のために戦うかなんて。

 戦士とは何かを守るために戦うって言ってたが、

 それは甘すぎる考えだと思う。

 実際、彼はあのオーガに瞬殺された。

 信念なんて力の前では無意味なんだ。

 その力も大抵は種族によって決められている。

 力弱き者は信念を持っていけないのだろうか…

 逆に力強き者は信念を持たなくては、

 無差別殺人鬼になるのだろうか。

 ダメだ分からない…難しすぎる…

 でもなんか大事な事の気がする…


 死んだオーガの事

 俺はあいつのことを知らなかったけど、

 あいつは俺を恨んでいたようだ。

 自分が…仲間が殺されそうだから相手を殺す。

 当然のことだ。

 でも、俺が彼に昔、

 傷付くことをしたのかもしれない。

 オーガの村では周りを考えず、

 好き勝手やっていたからな…

 死んだ今何で恨んでいたのか、

 聞くことも出来ないが…

 結局誰であれ殺してはいけないのではないのだろうか…?


 そう考えると少し暗い気持ちになった。

 そのままふて寝ように眠りに入った。








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