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最恐オーガは他種族女子と仲良くなりたい【完結】  作者: あいだのも
ゴブリンの村
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4話 「小鬼の幼女」

 目が覚めた、

 俺はいつの間に、眠っていたのだろうか?


???


 目の前には傷だらけの、

 幼い女の子が横たわっている。


 浅黒い肌

 みすぼらしい服

 頭頂からは小さい角

 やんちゃそうな八重歯


 俺はこの種族を知っている。


 ゴブリン……


 おい待て!

 流石に俺は未成年には手をださんぞ‼


 ここはいつもの、ウィルと過ごしている草原…

 ついさっきまで、人間の王宮に招かれるような、話をしていた気が…


 いや、もっと重要な…


 俺は眠らされていた?


 なんだ?この状況は…


 「やあオーグン起きたかい?」

 近くにいたのは天狐だった。


 「俺は…寝てたのか?」

 「おう‼おいらの幻術は

 あのオーグンにすら効くんだぜ」


 どうやら天狐の幻術で眠らされていたらしい。


 どこぞやにサキュバスという、

 妖艶な夢を見させてくれる魔物がいるらしい。

 俺には効かないのであろう、と思って絶望していたのに…


  うぐっ ひぐっ


 「どうしたのオーグン?」


 「天狐お前の幻術は夢を操れるのか?」


 「ま、まあ出来なくもないけど、

 気が狂う奴も多いから、

 …その…友達には使わないよ!」

 天狐は少し恥ずかしそうに言った。


 俺の脳内に稲妻が走った。


 なんて素晴らしい魔法……

 いや危うい魔法だろう。

 夢の中のでは俺の望むような光景……

 いや眠らされて、幻術をかけられたら、

 確かに現実と幻術の狭間が、

 分からなくなるだろう。


 なんという魔法だ!


 「起きた?テンの幻術は凄いね。

 君ですら、意識を失うのが一瞬だったよ」

 「テン?」

 「あ…あ、おいらの愛称さ」

 そこにはいつも通りのウィルがいた。


 ウィルと天狐が仲良くなってくれた。

 なんだか感慨深い。


 幻術の話はおいおい聞かせてもらおう。

 俺は涙を拭った。


 色々脱線してしまったが、

 今はその話じゃない。


 「この子は?」


 この可愛いゴブリンだ。

 少しはだけた傷だらけの幼子に、

 反応しつつある、俺の性欲の高さ、、

 流石にうんざりする。


 聞けば帰り道、

 この近くで倒れていたから、

 面倒を見ているのだそうだ。


 ここは人間の領域と、

 魔族の領域の中間地点らへん。


 魔族には数えられない、

 魔物と呼ばれる知能の低く、

 弱い者の住みかになっている。


 なぜ魔法で治さないのか、と聞いてみたら、

 回復魔法は己の治癒能力を呼び覚ますもの。

 ゴブリンのような、

 生命力が乏しい者に使うと、

 逆に寿命を縮めることになるのだそうだ。


 500年も生きてて初耳である。


 兎も角、

 俺らはこの子の回復を待ち、

 この子の村に届ける事にした。


 基本的には俺もテンも、

 寿命が長い分暇だからな。


 たまには人助けもいいだろう。


 てか、耐えてくれよ俺の性欲……



 数日後、、


 ゴブリンは立ち上がれるまで回復した。

 名をアキナと言うらしい。


 ゴブリンは知能はあるものの、

 魔族として数えられない魔物であり、

 『他種族不干渉条約』

 に数えられていない種族である。


 人間と魔族両方の冒険者(略奪者)から、

 討伐され虐げられている存在。


 俺もゴブリンには初めて会ったが、

 言語は違えど、身振り手振りで、

 普通にコミュニケーションが取れる。


 何より可愛……

 やめておこう…


 アキナの村は森の奥にある。


 人知れず、

 ひっそり暮らしていたらしい。


 しかし、

 最近は新たな風習とやらで、

 成人前に女子は数日洞窟に連れていかれ、

 帰ってきた女子は、

 別者のようになっているんだそうだ。


 アキナはそれが怖くなって、

 村から出てきたものの、

 他の魔物や冒険者に襲われ、

 倒れていたそうだ。


 それを聞いて俺は安心した。


 ちゃんと大人一歩手前の子なら、

 発情して訳ないと…

 むしろこの状況に発情しないのは、

 アキナに失礼だと。


 うん、、

 わかっている。

 そうゆう問題ではない。


 とはいっても、

 村から出てきたアキナを、村にそのまま帰すのは、

 アキナを殺すようなもの。


 「新しい風習とやらが気になるね」


 ウィル…

 何故かこいつの言うことは当たる。

 「最近悪魔軍が活性化してきている…

 何か関係があるのかもしれない」


 「そうだな…

 そのまま送り返して、死なれても嫌だし、

 この子の村についていくか」


 そう、言葉通り…

 別にやましい気持ちがあるわけではない。

 顔にも出ていないはずだ。

女の子たちが不幸になる村をほっとけない。


 「テンはどうする?」


 「おいらだって行ってやるよ

 どうせこの先ずーっと暇だしな」

 こんな風に言っているが、

 アキナの面倒を一番見ていたのはテンだ。


 俺は抑制が効かなくなるためNG。

 ウィルは必要最低限しか構わない。


 そのためテンと二人で遊んでたり、

 言葉を教えていた。


 アキナもよく懐いていた。


 俺は「抑制」と言うものが、

 出来るようになってきたんだな。


 一人で生きているときには、

 考えもしなかった。


 誰かとの関わりと言うものは、

 心地よいものなのだな。



 草原から林へそして森の中へ、、


 ゴブリンは戦闘力も高くない。

 生き残るために、

 集落が見つからない事が重要だそうだ。


 方角が分からないような森の中、


 歩くこと数日、、



 山の中腹に木が生い茂る中、

 ぽつぽつと平らなところに家が建っている。


 「へぇーここに家を建てているんだ、

 これだと遠くから見ても気付かれないし、

 規模も分からないね」


 「どれどれ」

 俺が身を乗り出そうとする、

 のをウィルが制す。


 「そこから先は若干魔力が変わっている

 害はないだろうけど、

 今は近づかない方が良い。

 アキナ…家は全部でいくつある?」


 「あそこ…あそこ…あそこ…

 20………あるよ」

 アキナはここ数週間で、

 ボディランゲージだけでなく、

 単語で伝えられるくらい、言語を覚えた。


 聞き取りもまあまあ出来る。

 ゴブリンには俺らと違う、

 独自の言語がある。


 だが不思議なことに、

 ウィルや人間と魔族の言語は共通だ。


 ……知能ならオーガより、

 ゴブリンのほうが高くねぇか?


 俺よりアキナが賢いだけ、

 かもしれないけど。


 ウィルが言うに何にしても、

 偵察、状況確認が一番らしい。


 アキナに家の場所

 見張りの位置

 風習

 生活観等

 事細かに聞いていた。


 基本的に不自然な所はない。

 小さな魔物を狩って食糧にしたり、

 洗濯は川でしたり、

 家も木の枝と枯れ葉の質素なもの。


 問題の洞窟は常に見張りが二人以上。


 入り口は縄を締めたり、

 器があったり装飾が施されている。

 

 明らかに不自然だ、

 そこだけ文化が違う。


 「まさか…人間が関わっているのか…?」

 「なぜだウィル?」


 「何かを信仰し、

 一族の連帯感を高めるのは、

 人間のやり方だ。

 オーガには信仰などの

 概念分からないだろう?」


 ウィルは人間の宗教について語りだした。

 「楽園追放、箱舟など、

 前の物語があるんだが、

 今一番信仰されている、

 ウィンザード教。

 2000年以上前人間と魔族は

 互いの領域を争っていた。

 魔族に対し、戦闘力が明らかに劣った人間は、捕食対象。

 人間は逃げ回り生きながらえていた。

 しかし、強い人間が生まれた。

 彼の名はウィンザード


 ウィンザードは剣を駆使し、

 襲い来る魔族をすべてはねのけ、

 今のオルミナ王国を作った。

 彼は人間が安心して生きられるように、

 魔族と『相互不干渉条約』を結び今に至る。

 今はウィンザード歴2002年

 人間が魔族から権利を獲得した年から、

 それだけ経っている。


 信者は武神の残した、

 剣の振り方を教わることが出来る。

 ウィンザード教を信仰することで、

 万が一魔族が襲って来ても、

 対抗出来るのだと。


 武神の子孫とされているのが、

 僕ら国王一族。

 彼の死後十何十代と、王は変わっているのに、

 信仰は変わらない。

 生まれた時から、守り神の末裔。

 武神の生まれ変わり、とのことで、

 国民から崇められる。


 君たちもわかる通り、

 この神話は都合の良い嘘だ。

 その嘘を国民は信仰している」


 分からない、、、


 オーガは歴史が無い、

 生きている今がすべてだから。


 オーガにとって重要な事は強さだ。


 死んだら弱かった者として、

 親しき者以外には忘れられる。


 生まれ変わりなんて、

 考えたことない。


 ウィルは続けた

 「人間は優れているから、

 死後の世界を知っている。

 国ではそう教わるが、

 そんな馬鹿げた話はないだろう?


 生まれ変わりなんて、

 バカバカしい…

 僕は僕だ。


 …つまり宗教は都合の良いように、

 人間を団結させる道具。

 それが外と交流の無い、

 ゴブリンの集落にあるとなると…」


 ウィルの表情が険しくなっていく、

 ウィルは種族間交流は賛成なはずだ。


 それほど宗教は恐ろしいものなのだろうか。


 テンも黙って聞いていた。

 テンの場合は、宗教ではなく英雄伝の被害者、

 らしいが似たようなものらしい。


 思うところがあるのだろう。



 村には活気が無かった。

 隠れて過ごしいるからではなさそうだ。


 女の人の顔に表情がなく、

 男は男の威厳を、

 全て削がれたような顔をしている。


 ただ子供だけは元気。

 子供は無邪気…

 という理由だけでもなさそうだ。


 子供は大人のゴブリンに比べて、

 大差ないほどデカイ。


 泣きいているのを母親が宥めるだけで、

 身が心配になる程。


 力が有り余ってるのだろうか、

 子供とはそうゆうものなのだろうか。


 「異様だね…」

 ウィルの表情が優れない。


 俺でもその異様さは感じ取れた。


 ただ、衣食住不自然なところはない。

 聞いてて感じたが、

 オーガの集落と大差ない。


 「むかし…違う…洞窟…入るな…みんな…元気ない…」


 全ての元凶は洞窟にある気がする。

 俺でも分かる。

 行けば分かる。

 立ち上がったところを、

 ウィルが土魔法で制した。


 「なんだ!

 あの洞窟の中に入れば分かるだろうが。

 女の子たちがこんな顔をしてる村を、放っておくのか!」


 「まってオーグン…作戦を立てよう、

 あの見張りも好きで、

 見張っている訳じゃなさそうだ。

 戦いになるのは避けよう」


 見張りを注意深く見てみると、

 確かに目に光がない。

 絶望している。


 「それに襲って解決したとして、

 アキナはこの村にかえれるのか?」


 確かにそうだ。

 うまくいけば元凶を取り除いた良い奴、

 でも、下手すれば村を壊滅させた悪い奴、

 それでは何も解決できない。

 「じゃあどうすんだ?」


 「いい考えがある」

 ウィルが珍しく気味の悪い笑みを浮かべた。

 俺はとても悪い予感がした…



「良かった」と思ってくださったら

是非ブックマーク、★★★★★をお願いします。

筆者が泣いて喜びます。




⚫︎囚われ姫は魔王に救われる

https://ncode.syosetu.com/n1925ii/


恋愛に憧れるが運命を定められた姫を封印が解かれた暴君魔王が攫う物語です。

勇者が姫を救おうとするが、姫は運命か自由かの選択を迫られます。



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